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黄火/メール

一日一火神くん。
黄火で、メールを送る二人。
7/30分。



- メール -


今時、ラインじゃなくてメール?って、思うかもしれないけど、俺たちは、メールを送る。
簡単な言葉の投げ合いじゃなくて、少しだけ長い会話を投げる。下手くそな日本語も、誤字脱字も愛おしい。この文章を打っているときの彼を想像する。
俺が送るのよりも文字数は少ないし、絵文字もないけど、夜のやり取りをとても楽しみにしている。
寝る前に、交互に送る。返事は翌日の夜に順繰りのやりとり。本当は、ベットに横になった時に、彼からのメールを見て、すぐに返事を返したい。たまらなくなって、電話をかけてしまうことも有るけど、明日返事を送り、そのまた明後日に戻ってくる内容を考えたりする。
あぁ、愛おしい。
目を閉じて、スマホの画面をおでこに付けて、噛みしめてしまう。

「恋人になったら何をするんだ?」
運よくお互いに好き合っているということが分かった。火神っちは、イメージと違って、どうやら面食いらしい。というより、綺麗な顔が無意識に好きらしい。彼が憧れている氷室さんはとても綺麗な顔をしているし、いがみ合ってる癖に、緑間っちの顔も結構好きなのを俺は知ってるっス。
そんな中で、俺を選んでくれた彼。他の綺麗な顔の連中への油断は禁物だけど、今は・・・いや、今後も俺だけの君でいて!
彼は、意識せず、周りの人を惑わしてしまう魅力を持っている。それに惑わされた一人かも知れないけど、俺は、この掴んだ手を絶対に放さないから!
「きーせぇー?」
おっとおっと、いけないいけない。今は、彼との大事な時間だった。バスケを餌に呼びつけて、汗をかいて、少し日陰でクールダウンしてる。恋人になったからと言って、これといった変化が無いまま数か月。
今まで付き合ってきた可愛らしい女性たちとの恋人との過ごし方を思い浮かべても、彼相手には何故かしっくりこなかった。
「え、なんスか?」
「だから、恋人になったら何をするのが普通なんだ?」
普通・・・普通ってなんスかね。自分でもわからない。隣に座る彼の顔を見ると、全く分かってない顔で逆に覗きこまれた。うん、可愛い顔してるっすね。
「俺もわかんねっす。何が良いんすかねぇ~」
手に持った少し温まった水のペットボトルを煽る。グビリと喉が鳴って、少しだけ頭がすっきりした気がした。
「今ん所、今までと変わんねぇなぁって。いつも通りバスケしててさ」
それでも全然いいんだけどさっと。
「えー、じゃぁ、連絡一杯するっす」
今まで付き合った女の子たちは、俺が一言送るだけで喜んでくれた。写真なんかも送った。
「連絡ってなんだよ」
「えー、ライン?」
「俺、部活の連中とのラインも殆ど返事しないんだけど・・・」
「・・・じゃぁ、交代で寝る前に、メールをやり取りしましょう」

寝る頃に一通のメールを送る決め事をした。
今日食べたもの、学校の事、バスケの事、どんなことでもイイから、メールで教えてくれと。
一日に一通、交互に送る。何か急ぎの連絡や、デートの約束(バスケのお誘いも含む)は、返答を待つので素早くラインや電話にて行う。
初日に俺の元に届いた彼からのメールは、「今日から順番によろしくな、おやすみ」
たった一言だった。それを思うと、やり取りをすることで彼も慣れてきたのか、もう少し長くなった。ただの文字の並びが愛おしいとは、俺の恋心は案外可愛らしい思考みたいだ。
今日はなんと送ろう。この所、会えてないので、顔が見たい。次会ったときは、我慢できなくて抱きしめてキスしたいっすと、正直に綴ってみた。恥ずかしがりの彼の事だから、俺の送ったメールを読んで今頃、布団の中で恥ずかしがってるかなぁ?っと、想像していると、枕横に置いたスマホがラインメッセージの受信を知らせた。
軽い音を立てたスマホを反射でアプリをタップすると、先ほどメールを送ったばかりの彼だった。短く「俺も」っと、一言。
「ちょっ!!!!」
驚いて、画面を見ながら声が出てしまった。マジっすか。えっ、マジ?
すぐに電話をしたが、長いコール音の後に、電話口に出てきた彼は、長いだんまりをきめた。恥ずかしいなら、俺もっと、送らないでよ。たまらないよ。この沈黙も、恥ずかしがってるんだって思うと、可愛くて可愛くて。
「愛してるっすよ」っと、投げてみたら、小さな声で「バカ」と、返された。バカでもイイから、もっと、君のことが知りたいっす。

「明日のメールも楽しみにしてるっす」

そう言って、電話を切った。



end.
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