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木火/大きな手

一日一火神くん。
木火で、お互いの手が好きな二人。
7/27分。



- 大きな手 -


木吉先輩の手が好きだ。
大丈夫だぞっと、背を叩かれるのも。褒めてくれる時に少し乱暴な手つきで頭を撫でられるのも。
バスケをやっていると、自分よりも体格の良い選手に会うなんてのは、多々ある。だけど、こんなにも、安心できる手を持ってる人に会うのは初めてだ。
いつもニコニコと、笑っていて、優しいし、おっとりとしているのに、きっちり怒ったりもする。だけど、怒った後に、「分かったな」と、頭を包むように大きな手でポンッと触れられると、ドキドキする。

部活の休憩中、水分を取り横に並んだ時に一度、「先輩って、なんか、親父っぽいです」と、自分としては褒め言葉だったつもりなのに、
「おやじかぁー」っと、少し寂しげに零した。
自分は褒めていたので、笑顔を向けていたので、同じように笑顔が返ってこないのが不思議だった。
あれ?また俺ミスったか?っと思っていると、優しい手が俺の頭を撫でる。
よしよし、よしよし。少し強めで、乱暴でない手つき。
だけど嬉しい。へへへっと、笑うと、先輩も今度は笑った。
「手が大きくていいですよね」
「ん?バスケに有利そうだって?」
「や、それもそうなんですけど、デカくて、包まれた感じが」
「そっか、ちょっと、お前も俺の頭撫でてみてくれよ」
そういって、少しだけ身をかがめてきた。始めてみた相手のつむじに、何故か少し笑ってしまった。
「なんだよ、頭見て笑うとかやめてくれよ。まだ若いんだから禿げてないぞ」
「いえ、そういうんじゃねーですよ」
人の頭なんて撫でたことなかったので、恐る恐る手を伸ばしてみた。
自分より少し硬い手触りの髪の毛。指に触れる髪が逆に指を撫でてるように感じて心地よい。
「おっ、なんか不思議だな。頭撫でられるのって」
新鮮だ、なんだと、先輩は喜んでいる。可愛いなっと思って、首にかけてたタオルで緩んだ口元を隠した。
「そろそろ休憩終わりよっ」と、元気な監督の声が聞こえた。
二人して声のしたほうを振り返り、「ありがとう」と、御礼を口にした先輩が再度、俺の頭を撫でてくれた。
撫でるよりも、撫でられたほうが、心がフワフワするなっと、思いつつ。俺に撫でられて喜んでいる先輩を見るのも、また良かったなっと考える。
また練習へ戻るため、タオルを置いたタイミングで喜んでる声を思い出して、耳がくすぐったく感じた。



end.
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