赤火/不思議な夜
一日一火神くん。
赤火で、一緒に夜空を見る二人。
7/22分。
- 不思議な夜 -
「とても素敵なプラネタリウムが有るんだ」
そう言われて、食えもしないし、風景とかも今日見ない俺としては、どうすれば良いんだろう、ぐらいに思った。
赤司はいつも突拍子もない。
彼の顔を見ると、どこか危うげで、怪しげで、ドキドキするなぁっと、思っていた。
それを桃井に話した。ストバスで青峰、黄瀬、緑間、高尾、黒子と集まった時に「こんな暑い時に外でバスケするなんて、自殺行為よ。せめて私がキッチリ、水分補給とか管理してあげるわ!」っと、青峰と一緒に現れた彼女と、交代で休憩よ!っと、時間を計り、俺の順番が回ってきたときに、何となく。
もしかしたら、暑さでどうかしていたのかもしれない。
冷たいスポーツドリンクを喉に流し込んで、日陰となるベンチに腰を下ろし、ホッと息が零れるのと同時に、「あのさ」と、話しかけていた。
目の前では、緑間と青峰がボールを取り合いしていて、黄瀬と高尾が足りなくなったドリンクを買出しに行き、黒子は、早々に暑さにやられ、もう一つとなりのベンチで、ダラッとしている。相変わらず体力がない。
なぜ彼女に話したのかわからない。別段親しくもなく、俺はどちらかというと、少し苦手なにかもしれないなぁっと、考えていた相手に、何とも言いきれない赤司への思いを漏らしていた。
そして、自分では形容しがたいと思っていたこの気持ちを、彼女は、目をキラキラさせて「恋よ!!」と、言い切った。
「こ、恋・・・・」
「かがみん、ちゃんと自覚するのよ。私がテツくんを好きなように。あなたも、彼の事が好きって事よ」
「え?」と、驚いて、そのままその日一日、どう過ごしたのか忘れてしまった。
気づいたら、家にいた。バスケだけはキッチリやりきってみんなと別れて気もするし、あまりにもぼんやりとしているものだから使い物にならなくて帰るように言われたような気もする。
気づいたら、シャワーを浴び終え、ソファにボンヤリと座っていた。
時計を見ても、いつからココにいたのかわからない。どうしていたっけ?
「俺が恋してるかぁ」と、自然と独り言が落ちた。
言葉が見えるわけもないのに、落ちた言葉を探すように、視線を足元へ向けたタイミングでピンポーンと、チャイムが鳴った。荷物でも頼んでいたっけ?
それとも、親父から何か送られてきたのかもしれないなっと、チャイムボタンを押すと、扉前に立つ人物の映像が映し出された。
「あっ、赤司!?」
「やぁ、大我。ココを開けてくれるか?」
ニッコリとした表情が涼しげな声で俺に呼びかける。おうだとか、わかったとか何と返事をしたか、また気づいたときには、赤司が目の前に立っていた。
スッとした顔立ちが俺を見上げてくる。この気持ちが恋なのかもしれないと、まだ疑惑ではあるが、”恋”と名前を付けられてしまったせいか、意識してしまう。
そして、赤司が言った。
「とても素敵なプラネタリウムが有るんだ」
また「え?」と、驚いている間に、部屋着から、外へ出る服へ着替え、赤司の用意した車に乗っていた。とても高級な車。何より、一緒に乗る相手が、対面している。
ドキドキしていると、「大我、昼間僕の話をした?」と、声をかけてきて。こいつは、何処まで知っているんだろうか?まだ本当に恋とも判別していないこの気持ちさえ、赤司には、ちゃんとなんていう気持ちなのかわかってしまっているんじゃないかと思わせた。
「え?」と、聞き返すふりをして、時間を稼ごうとしたけど、あっさり相手はネタばらしをした。
「桃井に聞いたんだ」
「え?」今度は、聞き返すわけでもなく、理解できなくて自然と声が漏れていた。
「もしかして、聞いた?」と、小さな声で続けて尋ねると、「何がだ?」と、にっこりと笑いかけられた。ドキリと胸が跳ねた気がする。
「今から、夕食を食べ、プラネタリウムを見に行こう」
「えっ、どうして俺と」
「君と見たいと思ったから」
それが、さも当然という風に、赤司は、返事をした。本当に突拍子もないし、急にあらわれる。
連れて行かれた料亭では、自分の服装で入っていいのかもわからないし、少量を沢山綺麗な器に盛られて、少しずつ出てきた。「足りないだろう?もっと頼んでもらって構わない」と、手渡されたメニュー表には値段が記載されていなかった。
もうずっと、驚いてばかりで、料理は本当においしいはずなのに、味を楽しむ余裕がなかった。
「ココの料理美味しいかい?口にあったかな?」
問いかけられても、「美味しい」としか返事が返せなかったし、緊張からか普段より食べれなかった。
再度、車に乗せられ、件のプラネタリウムへ連れてかれた。
夏の間だけオープンするプラネタリウムで、クラスの女の子が「あそこ行ってみたいんだよねぇ」とか、「今度行くんだ」等、話しているのを耳にしたことがあった。
良かった、想像もつかないような所に連れて行かれなくて。
「赤司、悪い、俺、あんま持ってねぇから、飯代は今度返すから、あとでこっそり教えてくれ。プラネタリウム代は大丈夫だ」
と、耳打ちすると。
「バカだね大我。これは、僕が君に来てほしくて連れ出したデートだから、当然僕のおごりだ、気にするな」
「・・・・デッ・・・・!!!??」
デート??!!?き、聞き間違いだろうか。もしかしたら、昼間の熱さにやられて、倒れて、現在夢を見ているとか?!
自分が信じれなく、頬をつねる。痛い・・・。
「何をやっているんだ?僕にもやらせてくれ」と、反対側の頬を引っ張られた。
「やわらかいな」と感想を残し、赤司がプラネタリウムの入口へ歩いていく。「早く来るんだ」と、声をかけられて、頬を抑えながら後についていく。
「席はココだよ」
促されるまま、席に座る。隣に赤司も腰を下ろた。一つ一つの椅子は、それぞれに肘掛がついていて、ゆったりとした広さと、ふかふかのすわり心地。身体を預けると、ぐーっと、後ろに凭れ掛かって、上を見やすい。
「す、すげぇ、フカフカだな」
顔を赤司の方へ向けると、俺の方を見ていたようで、驚いて、語尾が浮ついてしまった。
ふふふっと、柔らかく笑い、「フカフカだな」と、返され、恥ずかしさを誤魔化すように「でも俺、こんな横になって上見てたら、寝ちまいそうだぜ」と、言うと、
「起こしてやるから大丈夫だ」と、肘掛に乗せていた手の上に赤司の手が乗ってきて、また驚いてしまう。ドキドキと心臓がうるさい。
「赤司・・・??」
「言っただろ、これはデートだ。僕は君をエスコートしてるんだ。満足させたい」
「お、おう・・・」
「後で言おうと思っていたが、折角だし、僕が今日誘ったのは、告白するためだ」
「え?」
「今日は驚いてばかりだな、大我。でも、そんな君も愛おしいよ。もちろん僕とお付き合いしてくれるだろ?」
その問いかけには、答えることが出来なかった。
館内放送が入り、もう少しで始まることと、足元が暗くなることの注意と、おしゃべりは禁止です、最後に、「存分に夜空をお楽しみください」と締めくくられ、返事を返そうと開けた口を赤司は人差し指を押し当て、「しー」と言った。
しーと、言うなら、俺の口ではなく、自分の口にあてがう指が、唇に触れる。暗くなった部屋に夜空の星たちの淡い光が、赤司の顔を照らす。
結局、俺は、眠ることは出来なかった。握られたままの手の感触と、混乱とドキドキで、落ち着くことが出来なかった。
プログラムが終了し、他のお客さんも席を立つ中、ゆっくりと、上体を起こすと、赤司がニッコリと上品な笑顔を浮かべ、「僕たち付き合おう」と、決まったことみたいに言って、覗き込むようにキスをした。
驚いて声を上げそうになった俺に、「大我、しー、だよ」っと、今度は、自分の唇に人差し指を当てて注意をした。
さっき触れ合った唇を意識するようで、赤司の唇を見て、顔が熱て仕方がなかった。
end.
赤火で、一緒に夜空を見る二人。
7/22分。
- 不思議な夜 -
「とても素敵なプラネタリウムが有るんだ」
そう言われて、食えもしないし、風景とかも今日見ない俺としては、どうすれば良いんだろう、ぐらいに思った。
赤司はいつも突拍子もない。
彼の顔を見ると、どこか危うげで、怪しげで、ドキドキするなぁっと、思っていた。
それを桃井に話した。ストバスで青峰、黄瀬、緑間、高尾、黒子と集まった時に「こんな暑い時に外でバスケするなんて、自殺行為よ。せめて私がキッチリ、水分補給とか管理してあげるわ!」っと、青峰と一緒に現れた彼女と、交代で休憩よ!っと、時間を計り、俺の順番が回ってきたときに、何となく。
もしかしたら、暑さでどうかしていたのかもしれない。
冷たいスポーツドリンクを喉に流し込んで、日陰となるベンチに腰を下ろし、ホッと息が零れるのと同時に、「あのさ」と、話しかけていた。
目の前では、緑間と青峰がボールを取り合いしていて、黄瀬と高尾が足りなくなったドリンクを買出しに行き、黒子は、早々に暑さにやられ、もう一つとなりのベンチで、ダラッとしている。相変わらず体力がない。
なぜ彼女に話したのかわからない。別段親しくもなく、俺はどちらかというと、少し苦手なにかもしれないなぁっと、考えていた相手に、何とも言いきれない赤司への思いを漏らしていた。
そして、自分では形容しがたいと思っていたこの気持ちを、彼女は、目をキラキラさせて「恋よ!!」と、言い切った。
「こ、恋・・・・」
「かがみん、ちゃんと自覚するのよ。私がテツくんを好きなように。あなたも、彼の事が好きって事よ」
「え?」と、驚いて、そのままその日一日、どう過ごしたのか忘れてしまった。
気づいたら、家にいた。バスケだけはキッチリやりきってみんなと別れて気もするし、あまりにもぼんやりとしているものだから使い物にならなくて帰るように言われたような気もする。
気づいたら、シャワーを浴び終え、ソファにボンヤリと座っていた。
時計を見ても、いつからココにいたのかわからない。どうしていたっけ?
「俺が恋してるかぁ」と、自然と独り言が落ちた。
言葉が見えるわけもないのに、落ちた言葉を探すように、視線を足元へ向けたタイミングでピンポーンと、チャイムが鳴った。荷物でも頼んでいたっけ?
それとも、親父から何か送られてきたのかもしれないなっと、チャイムボタンを押すと、扉前に立つ人物の映像が映し出された。
「あっ、赤司!?」
「やぁ、大我。ココを開けてくれるか?」
ニッコリとした表情が涼しげな声で俺に呼びかける。おうだとか、わかったとか何と返事をしたか、また気づいたときには、赤司が目の前に立っていた。
スッとした顔立ちが俺を見上げてくる。この気持ちが恋なのかもしれないと、まだ疑惑ではあるが、”恋”と名前を付けられてしまったせいか、意識してしまう。
そして、赤司が言った。
「とても素敵なプラネタリウムが有るんだ」
また「え?」と、驚いている間に、部屋着から、外へ出る服へ着替え、赤司の用意した車に乗っていた。とても高級な車。何より、一緒に乗る相手が、対面している。
ドキドキしていると、「大我、昼間僕の話をした?」と、声をかけてきて。こいつは、何処まで知っているんだろうか?まだ本当に恋とも判別していないこの気持ちさえ、赤司には、ちゃんとなんていう気持ちなのかわかってしまっているんじゃないかと思わせた。
「え?」と、聞き返すふりをして、時間を稼ごうとしたけど、あっさり相手はネタばらしをした。
「桃井に聞いたんだ」
「え?」今度は、聞き返すわけでもなく、理解できなくて自然と声が漏れていた。
「もしかして、聞いた?」と、小さな声で続けて尋ねると、「何がだ?」と、にっこりと笑いかけられた。ドキリと胸が跳ねた気がする。
「今から、夕食を食べ、プラネタリウムを見に行こう」
「えっ、どうして俺と」
「君と見たいと思ったから」
それが、さも当然という風に、赤司は、返事をした。本当に突拍子もないし、急にあらわれる。
連れて行かれた料亭では、自分の服装で入っていいのかもわからないし、少量を沢山綺麗な器に盛られて、少しずつ出てきた。「足りないだろう?もっと頼んでもらって構わない」と、手渡されたメニュー表には値段が記載されていなかった。
もうずっと、驚いてばかりで、料理は本当においしいはずなのに、味を楽しむ余裕がなかった。
「ココの料理美味しいかい?口にあったかな?」
問いかけられても、「美味しい」としか返事が返せなかったし、緊張からか普段より食べれなかった。
再度、車に乗せられ、件のプラネタリウムへ連れてかれた。
夏の間だけオープンするプラネタリウムで、クラスの女の子が「あそこ行ってみたいんだよねぇ」とか、「今度行くんだ」等、話しているのを耳にしたことがあった。
良かった、想像もつかないような所に連れて行かれなくて。
「赤司、悪い、俺、あんま持ってねぇから、飯代は今度返すから、あとでこっそり教えてくれ。プラネタリウム代は大丈夫だ」
と、耳打ちすると。
「バカだね大我。これは、僕が君に来てほしくて連れ出したデートだから、当然僕のおごりだ、気にするな」
「・・・・デッ・・・・!!!??」
デート??!!?き、聞き間違いだろうか。もしかしたら、昼間の熱さにやられて、倒れて、現在夢を見ているとか?!
自分が信じれなく、頬をつねる。痛い・・・。
「何をやっているんだ?僕にもやらせてくれ」と、反対側の頬を引っ張られた。
「やわらかいな」と感想を残し、赤司がプラネタリウムの入口へ歩いていく。「早く来るんだ」と、声をかけられて、頬を抑えながら後についていく。
「席はココだよ」
促されるまま、席に座る。隣に赤司も腰を下ろた。一つ一つの椅子は、それぞれに肘掛がついていて、ゆったりとした広さと、ふかふかのすわり心地。身体を預けると、ぐーっと、後ろに凭れ掛かって、上を見やすい。
「す、すげぇ、フカフカだな」
顔を赤司の方へ向けると、俺の方を見ていたようで、驚いて、語尾が浮ついてしまった。
ふふふっと、柔らかく笑い、「フカフカだな」と、返され、恥ずかしさを誤魔化すように「でも俺、こんな横になって上見てたら、寝ちまいそうだぜ」と、言うと、
「起こしてやるから大丈夫だ」と、肘掛に乗せていた手の上に赤司の手が乗ってきて、また驚いてしまう。ドキドキと心臓がうるさい。
「赤司・・・??」
「言っただろ、これはデートだ。僕は君をエスコートしてるんだ。満足させたい」
「お、おう・・・」
「後で言おうと思っていたが、折角だし、僕が今日誘ったのは、告白するためだ」
「え?」
「今日は驚いてばかりだな、大我。でも、そんな君も愛おしいよ。もちろん僕とお付き合いしてくれるだろ?」
その問いかけには、答えることが出来なかった。
館内放送が入り、もう少しで始まることと、足元が暗くなることの注意と、おしゃべりは禁止です、最後に、「存分に夜空をお楽しみください」と締めくくられ、返事を返そうと開けた口を赤司は人差し指を押し当て、「しー」と言った。
しーと、言うなら、俺の口ではなく、自分の口にあてがう指が、唇に触れる。暗くなった部屋に夜空の星たちの淡い光が、赤司の顔を照らす。
結局、俺は、眠ることは出来なかった。握られたままの手の感触と、混乱とドキドキで、落ち着くことが出来なかった。
プログラムが終了し、他のお客さんも席を立つ中、ゆっくりと、上体を起こすと、赤司がニッコリと上品な笑顔を浮かべ、「僕たち付き合おう」と、決まったことみたいに言って、覗き込むようにキスをした。
驚いて声を上げそうになった俺に、「大我、しー、だよ」っと、今度は、自分の唇に人差し指を当てて注意をした。
さっき触れ合った唇を意識するようで、赤司の唇を見て、顔が熱て仕方がなかった。
end.
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