黒火「大きな彼、小さな彼」
※ 火神君が成長できない病気って設定です。
パロです、苦手な方はスルーしてください。
ー 小さな彼、大きな彼 ー
彼と出会ったのは、高校一年生の春。
制服に身を包んでいるけど、僕よりも身長の低い、まだ小さく、中学生なんじゃないかと思うぐらいの体格しかない。まだ出来上がってないヒョロヒョロの身体だ。
同じクラス、席も前後で、僕は彼の独特な髪色を見ながら退屈な先生の話を乗り切った。入学してから考えることは、これからどうやって三年間を乗り切っていくか。
彼を見るのも飽きて、鞄から読みかけの文庫を取り出して、こっそりとページをめくった。
彼を再び、認識し直したのはバスケ部でだった。バスケをする人間としては背の低いとされる僕よりも小さな彼がバスケ部の門をくぐるのは以外だった。
マジマジと、彼を見てしまった。他のメンバーにも「背が低いな、身長は?」と、聞かれていた。
まだまだ成長期だから大丈夫なんて、笑っていた僕たちはすぐに、罪悪感に襲われることとなる。
簡単な自己紹介。どこの中学校出身だとか、現在のクラスに名前、経験者かどうか、なんかを一人ずつ言っていく。
僕の前に立っていた彼の番だ。名前は火神大我と言うらしい。帰国子女であまり日本語は上手じゃないらしいこと、そして、生まれつきあまり大きくなれないと、言った。
彼も要領を得ていない説明で、先輩たちの突っ込みに下手な言葉遣いで説明する。
文字通り、大きくなれないらしい。
病気と言うよりは、遺伝、なのだそうだ。
彼は、中学生には言った頃に、それがわかったらしい。成長期なのに、伸びない身長。周りの同級生が成長通が来たとハシャいでいるのを見ながら、全く変わらない低い視野から彼らを見ていたらしい。
今も変わらない場所から僕たちを見上げている。
そんな病があるなんて知らなかった。知らないからといって、彼を傷つけていたのかな?と、顔を伺ってみても、対して気にした素振りもなく、カラカラと笑っていた。
彼はとても真っ直ぐで大きな人間だ。
強い瞳でいつも次を見据えていた。もしかしたらの奇跡が有るかもしれない。だから、奇跡を信じて、俺は準備万端にしとかなくちゃ。
そう言って、背が小さいことも忘れさせるぐらいの跳躍と、努力で、全身でバスケを楽しんでいた。体格のことで勝ち目がないと思うことない。いつか俺は、大きく成長するかもしれないだろ。
絶対なんて言い切れるものは少ないけど、俺がバスケ好きってのは、今のところ絶対だからな!
どこまでが本当で、どこまでが嘘なんて、彼には関係ないんだろう。すべて、本当に信じている。
彼の輝きはいつまでも色あせなかった。
僕の中学生の時のメンバーを見返したいと言うゆがんだ気持ちも彼は受け入れ、共にバスケをしてくれた。お前のしたいようにしろよ、俺もしたいようにするから。
突き放すわけでもない言葉にとても救われた。
同じように、試合や、合宿などで彼の真っ直ぐな諦めない気持ちに当てられたのか、キセキの世代も、前を見るようになった。
彼に救われる人間は沢山いる。彼につき動かされて、変わってきた。変わらず小さいままの彼も、今年で30歳になる。
相変わらず小さな手が僕を揺り起こす。心地よい睡眠の世界から無理矢理、意識が戻ってくる。眠たげな顔で彼の方を見れば、ピカピカ太陽の笑顔で「起きろよ」と、声をかけられた。
昨日、緊張でなかなか寝付けなかった僕は、眠い目をこすった。時計を見て、再度引き締めようと思ったのに、ダメだった。「はい」と、返事をしようとして、身を起こしたら、同時にあくびが襲ってきて、「ふぁぁ~い」と、間抜けな声が出た。締まりが悪い。
それに笑った彼が、「今日は野菜オムレツ~♪」なんて、口ずさみながら寝室を出ていく。
結局、僕は、彼の光に引っ張られるままに、放れられず、ずっと一緒にいる。彼も「お前といるの楽しいから」と、一緒にいることを許してくれている。
喧嘩もする、さすがに小さな彼に手を挙げるような喧嘩はしないが、彼も僕もまだ熱くなりやすい。表情があまり顔に出ないらしい僕の小さな変化を読みとるのに慣れた彼。
僕の一生に一度の告白も「おう」の一言で受け入れてしまった。
高校からの知り合いで、大学は別々だったけど、僕が火事全般ができないからダメもとで一緒に住みたいと言えば、簡単に了承してくれたし、社会人になって数年後、小説家になるよっと仕事をしながら書いていた小説が10冊を越えたタイミングで専業になることも「良いんじゃね?」と笑って、背中を押してくれた。
その笑顔に押され職業小説家だけになった。専業小説家は、それなりに締め切りに追われたり、新しい知識や興味にあふれた生活をしなくちゃいけないので、大変だけど彼となら、何でも乗り切ってしまえるのかもしれない。
彼が学生時代、身体に見合わない跳躍を繰り返して膝を壊してからも、軽いバスケなら良いだろっと、簡単に切り替えてしまったのも、僕は見ていた。
小さな身体に大きなモノを持っている。僕じゃ到底無理だ。もし僕が彼の立場だったら、壊れる前に大好きなバスケを諦めていたかもしれない。
先日、ついに指輪を買った。
僕と付き合うことは「おう」の一言だったのに、なかなか指輪を買うことを了解してくれなかった。同性で結婚ができないのは、もちろん知っていたけど、彼なら、一言でOKをくれると思っていた僕は驚いた。
断られることなんて、全く考えていなかった。
「なんでですか?」と、何度もしつこくも理由を聞いた。そうして、何度も断られ、うやむやにされた。やっと口を開いた彼は寂しそうな顔で、「俺そんな長生きできないかもしれないから」と、言った。
添い遂げれないのに、お前に悪いんだろ?と、口にした彼に僕は怒って、力任せに彼を引き寄せ、強く強く抱きしめた。
腕の中の小さな身体。
なんでそんな大事なことを黙ってたんだ!と、腹が立った。成長できない病は、老いも感じさせない代わりに、若く早いうちに死ぬ例が多いそうだ。小さな声で、ごめんなと、背を撫でられる。
「僕は怒っているんですよ?」
「うん、ごめんな。黒子、泣くなよ」
言われて自分が泣いていることに気がついた。怒りで震えているわけでなく、悲しくて寂しくて、辛かった。彼はいつから、あまり長生きではないと知ったのだろう?
「今までだって、僕と一緒にいたんですから、これからも一緒にいてくれないとイヤです」
駄々をこねるのは、筋違いだ。彼だって、余命を宣告されたわけでもないのに、いつもは奇跡を信じるくせに、なんで、今回は信じないんだ。
彼が信じれないなら、今度は、
「絶対なんて言い切れないって言うなら、僕が絶対にしてみせます。僕は火神君と最後まで一緒にいます。絶対です。逃げません。期間が長いとか短いとかでなく、君と一緒にいれるなら、いれるときまで一緒にいましょう」
僕の真剣さが伝わったのか、「そうか」と、笑って、「じゃぁ、行こう」と、僕の手を引いた。その日のうちに揃いの指輪を注文した。
小さく細い指にハマったソレを見る度に嬉しくなる。ジュエリーショップで「彼に合うサイズのモノをください」と言ったときは、店員さんが笑顔の裏に「ショタ・・・・?!・・・変態???」の気持ちが見え隠れしていた。
彼はパッと見は中学生のままだ。
僕と初めてであったときのまま、成長も老いもない。僕だけが先を行くように30歳の大人の外見になった。彼は、見た目は子供だけど、内側に沢山のモノを持っている、とても大きな人間だ。
そして今日、スーツケースを引きずって、彼の父親に挨拶にいく。指輪を買った日に、飛行機のチケットを問った彼は、海外にいる父親に電話をして、「すげぇ、大事な奴を連れていくから、空けといて」と、とても嬉しそうに告げていた。
僕は、急に親に挨拶に行くなんて、緊張しまくっているのに、火神君は、「お前の両親にも、挨拶行かなくちゃな」と、ケラケラと笑っていた。
伸ばされた手には、指輪がはめられている。その手を握って、落ち着かせようと深呼吸した僕へ追い打ちをかけるように「タツヤにも会いに行かなくっちゃ」なんて、言うもんだから、別の意味で、新たに頭が痛くなった。
他の友達にも連絡しなくちゃなっと、笑った顔がまぶしくて、目を細めた。
end.
パロです、苦手な方はスルーしてください。
ー 小さな彼、大きな彼 ー
彼と出会ったのは、高校一年生の春。
制服に身を包んでいるけど、僕よりも身長の低い、まだ小さく、中学生なんじゃないかと思うぐらいの体格しかない。まだ出来上がってないヒョロヒョロの身体だ。
同じクラス、席も前後で、僕は彼の独特な髪色を見ながら退屈な先生の話を乗り切った。入学してから考えることは、これからどうやって三年間を乗り切っていくか。
彼を見るのも飽きて、鞄から読みかけの文庫を取り出して、こっそりとページをめくった。
彼を再び、認識し直したのはバスケ部でだった。バスケをする人間としては背の低いとされる僕よりも小さな彼がバスケ部の門をくぐるのは以外だった。
マジマジと、彼を見てしまった。他のメンバーにも「背が低いな、身長は?」と、聞かれていた。
まだまだ成長期だから大丈夫なんて、笑っていた僕たちはすぐに、罪悪感に襲われることとなる。
簡単な自己紹介。どこの中学校出身だとか、現在のクラスに名前、経験者かどうか、なんかを一人ずつ言っていく。
僕の前に立っていた彼の番だ。名前は火神大我と言うらしい。帰国子女であまり日本語は上手じゃないらしいこと、そして、生まれつきあまり大きくなれないと、言った。
彼も要領を得ていない説明で、先輩たちの突っ込みに下手な言葉遣いで説明する。
文字通り、大きくなれないらしい。
病気と言うよりは、遺伝、なのだそうだ。
彼は、中学生には言った頃に、それがわかったらしい。成長期なのに、伸びない身長。周りの同級生が成長通が来たとハシャいでいるのを見ながら、全く変わらない低い視野から彼らを見ていたらしい。
今も変わらない場所から僕たちを見上げている。
そんな病があるなんて知らなかった。知らないからといって、彼を傷つけていたのかな?と、顔を伺ってみても、対して気にした素振りもなく、カラカラと笑っていた。
彼はとても真っ直ぐで大きな人間だ。
強い瞳でいつも次を見据えていた。もしかしたらの奇跡が有るかもしれない。だから、奇跡を信じて、俺は準備万端にしとかなくちゃ。
そう言って、背が小さいことも忘れさせるぐらいの跳躍と、努力で、全身でバスケを楽しんでいた。体格のことで勝ち目がないと思うことない。いつか俺は、大きく成長するかもしれないだろ。
絶対なんて言い切れるものは少ないけど、俺がバスケ好きってのは、今のところ絶対だからな!
どこまでが本当で、どこまでが嘘なんて、彼には関係ないんだろう。すべて、本当に信じている。
彼の輝きはいつまでも色あせなかった。
僕の中学生の時のメンバーを見返したいと言うゆがんだ気持ちも彼は受け入れ、共にバスケをしてくれた。お前のしたいようにしろよ、俺もしたいようにするから。
突き放すわけでもない言葉にとても救われた。
同じように、試合や、合宿などで彼の真っ直ぐな諦めない気持ちに当てられたのか、キセキの世代も、前を見るようになった。
彼に救われる人間は沢山いる。彼につき動かされて、変わってきた。変わらず小さいままの彼も、今年で30歳になる。
相変わらず小さな手が僕を揺り起こす。心地よい睡眠の世界から無理矢理、意識が戻ってくる。眠たげな顔で彼の方を見れば、ピカピカ太陽の笑顔で「起きろよ」と、声をかけられた。
昨日、緊張でなかなか寝付けなかった僕は、眠い目をこすった。時計を見て、再度引き締めようと思ったのに、ダメだった。「はい」と、返事をしようとして、身を起こしたら、同時にあくびが襲ってきて、「ふぁぁ~い」と、間抜けな声が出た。締まりが悪い。
それに笑った彼が、「今日は野菜オムレツ~♪」なんて、口ずさみながら寝室を出ていく。
結局、僕は、彼の光に引っ張られるままに、放れられず、ずっと一緒にいる。彼も「お前といるの楽しいから」と、一緒にいることを許してくれている。
喧嘩もする、さすがに小さな彼に手を挙げるような喧嘩はしないが、彼も僕もまだ熱くなりやすい。表情があまり顔に出ないらしい僕の小さな変化を読みとるのに慣れた彼。
僕の一生に一度の告白も「おう」の一言で受け入れてしまった。
高校からの知り合いで、大学は別々だったけど、僕が火事全般ができないからダメもとで一緒に住みたいと言えば、簡単に了承してくれたし、社会人になって数年後、小説家になるよっと仕事をしながら書いていた小説が10冊を越えたタイミングで専業になることも「良いんじゃね?」と笑って、背中を押してくれた。
その笑顔に押され職業小説家だけになった。専業小説家は、それなりに締め切りに追われたり、新しい知識や興味にあふれた生活をしなくちゃいけないので、大変だけど彼となら、何でも乗り切ってしまえるのかもしれない。
彼が学生時代、身体に見合わない跳躍を繰り返して膝を壊してからも、軽いバスケなら良いだろっと、簡単に切り替えてしまったのも、僕は見ていた。
小さな身体に大きなモノを持っている。僕じゃ到底無理だ。もし僕が彼の立場だったら、壊れる前に大好きなバスケを諦めていたかもしれない。
先日、ついに指輪を買った。
僕と付き合うことは「おう」の一言だったのに、なかなか指輪を買うことを了解してくれなかった。同性で結婚ができないのは、もちろん知っていたけど、彼なら、一言でOKをくれると思っていた僕は驚いた。
断られることなんて、全く考えていなかった。
「なんでですか?」と、何度もしつこくも理由を聞いた。そうして、何度も断られ、うやむやにされた。やっと口を開いた彼は寂しそうな顔で、「俺そんな長生きできないかもしれないから」と、言った。
添い遂げれないのに、お前に悪いんだろ?と、口にした彼に僕は怒って、力任せに彼を引き寄せ、強く強く抱きしめた。
腕の中の小さな身体。
なんでそんな大事なことを黙ってたんだ!と、腹が立った。成長できない病は、老いも感じさせない代わりに、若く早いうちに死ぬ例が多いそうだ。小さな声で、ごめんなと、背を撫でられる。
「僕は怒っているんですよ?」
「うん、ごめんな。黒子、泣くなよ」
言われて自分が泣いていることに気がついた。怒りで震えているわけでなく、悲しくて寂しくて、辛かった。彼はいつから、あまり長生きではないと知ったのだろう?
「今までだって、僕と一緒にいたんですから、これからも一緒にいてくれないとイヤです」
駄々をこねるのは、筋違いだ。彼だって、余命を宣告されたわけでもないのに、いつもは奇跡を信じるくせに、なんで、今回は信じないんだ。
彼が信じれないなら、今度は、
「絶対なんて言い切れないって言うなら、僕が絶対にしてみせます。僕は火神君と最後まで一緒にいます。絶対です。逃げません。期間が長いとか短いとかでなく、君と一緒にいれるなら、いれるときまで一緒にいましょう」
僕の真剣さが伝わったのか、「そうか」と、笑って、「じゃぁ、行こう」と、僕の手を引いた。その日のうちに揃いの指輪を注文した。
小さく細い指にハマったソレを見る度に嬉しくなる。ジュエリーショップで「彼に合うサイズのモノをください」と言ったときは、店員さんが笑顔の裏に「ショタ・・・・?!・・・変態???」の気持ちが見え隠れしていた。
彼はパッと見は中学生のままだ。
僕と初めてであったときのまま、成長も老いもない。僕だけが先を行くように30歳の大人の外見になった。彼は、見た目は子供だけど、内側に沢山のモノを持っている、とても大きな人間だ。
そして今日、スーツケースを引きずって、彼の父親に挨拶にいく。指輪を買った日に、飛行機のチケットを問った彼は、海外にいる父親に電話をして、「すげぇ、大事な奴を連れていくから、空けといて」と、とても嬉しそうに告げていた。
僕は、急に親に挨拶に行くなんて、緊張しまくっているのに、火神君は、「お前の両親にも、挨拶行かなくちゃな」と、ケラケラと笑っていた。
伸ばされた手には、指輪がはめられている。その手を握って、落ち着かせようと深呼吸した僕へ追い打ちをかけるように「タツヤにも会いに行かなくっちゃ」なんて、言うもんだから、別の意味で、新たに頭が痛くなった。
他の友達にも連絡しなくちゃなっと、笑った顔がまぶしくて、目を細めた。
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