忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

黒火/猫神くん

半獣火神くんと、ちびっこ黒子くん。




- 猫神くん -


 僕は、猫が大好きだ。もちろん、犬も好きだけど。
 僕が生まれた時と同じ頃、隣の家に一緒にやってきた彼の名前は、“ 火神くん ”と、言う。彼は、正確に言うと、半獣と言って、見た目は、人間で、人間の耳もあるけど、頭には猫と同じように三角の耳と、お尻には尻尾が生えている。しなやかな身のこなしと、ひょいっと、飛び上がるジャンプ、ピカピカの笑顔で僕に戯れ付いてくる。
 彼は、昔、アメリカで暮らしていたけど、飼い主の都合で隣の家に引っ越してきたらしい。子どもの僕が、彼を認識したのは、5つの時。庭で遊んでいる時に、隣の庭でひなたぼっこをして居る彼を目にした時から、僕は彼の虜だ。目が惹き付けられて、大好きで仕方が無い。
 そして、僕の行動は早かった。両親にお願いをして、隣の家に連れて行ってもらい、挨拶をしに。お隣さんは、とても良い人で、僕が火神くんと遊ぶ事を許してくれた。
「お願いします」と、頭を下げた時は、既に、火神くんを僕に下さいっとでも言う、気持ちだった。
 歳は、ちょうど8つ違う。半分、獣だけど、歳は人間のカウントと同じだ。そして、僕は今現在9歳。小学生の生活にも慣れて、図書館で借りる本が好きな男の子。火神くんも普通に学校に通っている。家から近い半獣だけの特別クラスがある学校に。

 集団下校で重たいランドセルを背負って帰ってきた。大事に持っている鍵で玄関を開けて「ただいま」と、一声。返ってくる返事はない。共働きの両親は、帰ってくるのが8時過ぎだ。
 だけど、僕は一人で居ても全然怖くないし、お隣に遊びに行くから大丈夫。お隣さんのご好意で僕が火神くんの家に遊びに行っても良いし、火神くんが僕の家に遊びにくるのも了解済みだ。彼は料理が得意で、僕に美味しいご飯も振る舞ってくれる。
 時計を見て、あと1時間程したら火神くんが学校から帰ってくる時間だと確認をした。タイマーを50分後にセットして、借りてきた本を開いた。

「おかえり」と、玄関を開けると、眠たそうに、気怠げに、火神くんがクワッと欠伸をしながら、「にゃーん」と、鳴いた。
 火神くんは、人間の言葉を基本的に話すけど、たまにニャーッと、鳴いてしまう癖があるみたいだ。咄嗟の反応や、ボンヤリと気の抜けている時等は、少しだけ高い声で、鳴く。首元に巻かれた鈴が合わせるように、チリリと鳴った。
 お出迎えをした僕に、火神くんがノソノソと近寄ってきて、僕の身体に自分の身体を擦り寄せる。昼間は学校だったはずなのに、温かな匂いがする。柔らかい火神くんの匂いと合わさって、心地よい。
 屈んだ火神くんの頭をワシワシと撫でて、「散歩に行きましょう」と、声をかける。耳の後ろを掻いてやると気持ち良さそうに目を細めた彼は、「おう」と、言って、背中に隠していたバスケットボールを取り出した。
「ストバスいくんですか?」
「ダメか?」と、聞いてくる彼の猫耳が、下を向く。「うぅん、行こうか。もう夕方だから、少しだけだけど」と、靴を履き替えると、ピカーッと満面の笑顔を浮かべた。ストバスへ向かう間、嬉しげに尻尾がユラユラと揺れているのを横目で見ながら歩いた。

 今日は、両親の帰りが遅いと事前に言ってあったので、火神くんが家に泊まりにくるように言ってくれた。お隣さんは、元から仕事が忙しい人で、殆ど家に帰ってこないらしく、よく彼の家にお呼ばれすることに。念のため、お母さんに電話をして、彼の家に泊まる旨を知らせる。
「迷惑にならないように」と、言われ、「うん」と、応えた。こうやって、電話をするたびに、彼は、僕が泊まれるかどうかを気にして、横に居る。
「泊まって良いそうです」と、伝える。横で心配げに、ひょこひょこと揺れていた尻尾。ソレを掴んでやると、「やめろよ」と、口にする。
 僕は、彼の家に泊まるたびに、嬉しくて仕方が無い。彼の顔を見上げると、頭を少々乱暴に撫でられる。「飯にするか」と、彼がキッチンに消えて行くので、僕も慣れたようにお風呂の準備をしに行く。
 キッチンに戻ると、ササッと料理をしている彼を見る、皿を出すように言われて、指示通りに机にそれらを並べて行く。まるで家族みたい。何度でも、そう思う。簡単だけど、美味しいご飯が並ぶ。時間短縮で常備されてる常備菜なんかも。いつでも良い奥さんになれますね。
 席に着くと、彼も向かい側に座る。彼の前には、料理を取る小皿と、ビスケットに似ている食べ物が4枚程皿に乗っている。それは、半獣用フードで、彼らは人間が食べる物で栄養を取るのが上手くないので、もし人間と同じ物だけを食べると、ものすごい量を用意しなければいけない。もちろん、コストもかかるので、開発されたものだ。
 前に、お腹いっぱいまで同じ物を食べている彼を見た時は驚きはしたが、それ以上に、口一杯に食べ物を詰めて、美味しい美味しいと言う彼があまりにも幸せそうだったので、僕は心に誓っていた。いつか、家族になったら、思う存分食べさせてあげれるように頑張って稼ごうっと。
 二人そろって、「いただきます」と、手を合わせて挨拶する。「美味しいです」と、言えば、食べる事に集中してたのか「にゃー」っと、返事をした。


end.
発情期火神くんと、ませガキな黒子くんの話を誰か書いて下さい。
16歳で発情期きて、自分の身体の変化に驚いてる火神くんの所に、「僕、本で読んだ事有ります!」と、手を出してくる黒子くん、年下のくせに〜〜。
PR

カウンター

プロフィール

HN
ナオ太。
連絡先
kuroyagi_yuubin☆yahoo.co.jp
(☆→@に変更)

リンク