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亮御/眼鏡拭き

亮さんが眼鏡だったら良いのにな、の妄想。



- 眼鏡 -


正月休みに、実家に帰った際に、眼鏡を作った。
赤いクリアのデザインフレーム。春市が、「良いねソレ」と、褒めてくれたから決めた。
部活を引退して、受験勉強に打ち込んだら少しだけ視力が落ちた。日常的にはかけなくても良いぐらいの軽度な視力低下。
親に言ったら、正月に可愛いの買いましょうっと、提案された。別に見えれば関係ないけど、他者の意見は大事にしておこうと、春市を連れて眼鏡屋に行った。
眼鏡を買うのは初めてだけど、デザインはすぐに決まったし、簡単な視力検査と、質問に答えてしまえば、あとはお金を払って、待つだけ。ちょうど、自分に合うレンズも有るらしく取り寄せる時間もないらしい。
待っている間もブラブラとフレームを見て居たら春市が「見て、御幸先輩みたいな眼鏡」と、黒ブチ眼鏡を指差した。「ほらほら」と、眼鏡を付けてみせるけど、彼の顔には黒ブチの強い印象は合わなかった。
ふーんっと、なんと無しに見て、「春市ならコッチのが似合いそう」と、キレイな色の物を指差した。すぐ横にキレイな布があったから、手を伸ばした。


「御幸ぃ?」
寮に帰ってきて、すぐに彼を探した。やっぱり、休み明けよりも早いのに1人ココで練習してた。バットを振っていた彼が振り向くタイミングで、わざと見せつけるように赤い眼鏡をクイッと引き上げた。
「わっ」と、俺を見た瞬間に赤い顔をした彼は挨拶も無しに顔を、いや、眼鏡をマジマジと見た。
「お疲れ」と、笑ってやると、慌てて、「お疲れ様ですっ!」と、声を上げてから、「お久しぶりです、眼鏡どうしたんですかぁ〜?」と、ヘラヘラ笑う。
「相変わらず嘘っぽい笑顔だね、眼鏡だからよく見えるよ」と、彼の頬を引っ張ってやると、いひゃいっすよぉ〜っと、器用に困り笑いの顔をした。笑って誤摩化そうとしてるけど、顔が赤い。
御幸は俺のことが好きらしい。俺も、まぁ、満更ではないけど、まだまだからかっていたい。派手な顔のくせに初心な御幸からの告白から大分経ってるけど、幾度かコッソリ、キスをしてやった。
告白の返事も返してないのに、だ。何度しても御幸は真っ赤になって、練習中とか普段はハキハキと自信満々に話してるのに、俺のこと好きってスイッチの入ってるときの御幸は、なかなか可愛いと思う。
雑誌なんかでも注目のイケメン球児なんて紹介されて、学校外でファンが居るらしく「モテる男は、どうしようもないっすねぇ〜」と、笑って倉持あたりに締め上げられてるくせに。
「め、眼鏡、買ったんですか?」
「うん、正月にね」
引っ張られてた頬に手を当てて、赤い顔を隠そうとする。眼鏡のかけてる見慣れない顔を見たいくせに、見たら御幸自身の顔も見られるからと目が彷徨ってる。
「そんなに、悪いんです?」
「ちょっと、見えづらいぐらい。普段はかけないつもりだけど?」
「に・・・・」
恋する目の前の男は分かりやすい。野球をしてる時の彼は読ませない奴なのに。
「春市が、選んでくれたよ」
「そっ、そうですか、とても似合いますよ。赤色」
「そ?御幸も、赤、似合うね」と、赤い顔の彼をからかってニヤニヤと視線を向けると、「意地悪しないで下さいよぉ」と、顔を背ける。
「ね、どのぐらい好き?」と、久しぶりの台詞を口にしてやった。告白されてから、どれぐらい?と、悪戯に何度も聞いては、なんと言えば良いのか分からない彼の反応を楽しんだ。
「えっ、あーっと」
「ほら、早く」
助け舟を出すように口元を指差してやると、ハッと、した御幸がギュッと、目を閉じて顔を寄せてくる。コレが高校野球界注目の選手のキス顔ねっと、色気もへったくれもない顔に笑いながら、彼の口元に薄いプレゼント。
「えっ?」と、目を開いた御幸が、目を寄せて、口元の物を見る。
「眼鏡拭き、あげる、お年玉」
良い子の一也くんにっと、わざと口にする。驚きつつ照れる顔が見れると思ったら、ポカンっと、馬鹿みたいにビックリした顔をして固まってるので、「ホラ」と、彼の手に押し付けた。
包み紙がガサガサと音をたてる。
数秒後、手の中のプレゼントと俺を交互に見て居た御幸が「あー!」と、大きな声を上げながら、その場にしゃがみ込んだ。耳まで真っ赤にしてる。実感枠の遅いよ。
「ウルサいよっ」と、軽く足を踏んでやると、「大事にします」と、小さな声が聞こえた。
「んっ」と、短く返事を返しながら、眼鏡の位置を整えて、彼のあまり目にしない形のいい頭とチラリと見える赤い顔を見た。



end.
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