亮御/キスの味
亮御、なんで、ないんですか??
- キスの味 -
「好きです」
男、御幸一也、人生初めての自分からの告白。ドキドキと耳元に心臓があるみたいに音が大きい。野球の試合とは違う高揚感と、緊張に包まれて、中途半端な笑顔を浮かべてしまう。頬が熱い。恥ずかしい気持ちも膨らんで、複雑な心境を上手く説明できない。
ブゥーンと、自販機が低く唸って、ライトが暗くなった辺りを照らす。
目の前の風呂上がりでサッパリとした、いつもと変わらない涼しい顔をした先輩は、「ふーん、そう」と、言って退けた。軽い。俺のこの気持ち、どうしてくれるんすかっと、泣きつきなる気分をなんとか押さえる。もしかしたら、そう言う意味の好きとかってのが伝わってないだけなのかもしれない。
先輩は髪の毛を首にかけたタオルで拭きながら、「で、御幸は、どのぐらい俺のことが好きな訳?」と、聞いてきた。
「どっ・・・・!」
どのくらいってなんだろう。大きさであらわせれる物なのか?今のところあまり回らない頭では答えが出せるとは到底思えない。眼鏡の位置をなおすふりをして、赤い顔を隠した。余裕の無い自分が嫌なのに、この人の前ではソレでも言いと思えるぐらい好きって、どんだけ、自分のこと余裕のある人間だと思ってるんだよ俺。
自分の中では色々な言葉が膨らんでは、自分でツッコミを入れて却下されていく。サイズ?大きさであらわすのか?距離?長さ?何かで例えるのか?
「なに?俺を呼び出してジュースも奢ってくれないし、ちゃんと言う事まとめときなよね」と、笑われた。えっ、ジュース欲しかったのか!と、すぐにジャージのポケットに手を突っ込んで、小銭を探るも、手持ちはゼロ。
クスリと笑われて、逆に先輩がポケットから小銭を取り出した。ゴトッと音をさせてパックジュースが出てきた。
はい、これっと、ジュースを手渡された。味は甘ったるい蜂蜜レモン味。パッケージに描かれたハチがニッコリと俺に笑いかけている。でもこれ、あんまり美味しくない。
「俺、御幸のそう言う所好きだよ」と、先輩は先ほどジュースを手渡した気軽な物言いで言い放った。
えっとか、はっとか、驚いてる俺を他所に先輩は、また小銭を入れて豆乳のボタンを押した。ゴトッと音がして、ソレを取り出し、告白の返事に好きと返したばかりなのに、普通通りの行動で、パックにストローをさした。
「そう言う所?」
「恋愛慣れてそうなのに、恋愛下手」
ぐっと、ノドの奥が詰ったのと、顔がカッと熱くなったのが同時だった。
「可愛いね」と、笑った先輩は無茶苦茶かっこよかった。惚れ直すとかじゃなく、より一層惚れた。もう、赤くなった頬なんて関係ない、間抜けな顔をしていても仕方が無い。
「ねぇ、どのぐらい好き?」と、再度同じ問いかけをし、やっぱり、考えあぐねいても言葉の出てこない俺に、「じゃぁ、態度で見せて?」と、挑発的に笑った。
何しても怒らないよっと、最後に付け足された言葉に俺は背中を押されるように、いや、雰囲気にのまれていたのかもしれないけど、一歩、先輩に近づいて、チュッと、触れるだけのキスをした。
少し腰を屈めて、横に向けた唇を寄せる。息の仕方も忘れてしまって、息を止めて。
一瞬なのに、最高にトキめいた。ドキドキを越えてバクバクと走ったみたいに心臓が高鳴って、ヤバい。語彙力が著しく低下してる、ヤバいしか出てこない。
ゆっくりと距離を離し、目を開けると、先輩は、変わらず笑っていた。気の聞いたことも、冗談に出来るような言葉も出てこない。いつものノリで笑い飛ばせることも出来ない。ただ、ジッと見つめていると、急に首の後ろに手が伸びてきた。
「へっ?」と、驚いた声をあげて、何?と問いかけるよりも早く、引き寄せられて先輩からキスをされた。ソレは俺がしたような触れるだけの物と違って、ネットリと舌を舐め上げるエロいキスだった。
急に引っ張られて屈んだ体勢で、先輩からのキスを受け止める。舌を舐められて、どうやって反応すれば良いのか分からない。き、もちいい・・・・。
ゆっくりと解放されて、初めてする深いキスにビックリして、涎が足れた。慌てて口元を拭うと、先輩が、「このぐらいの気持ちになったら、またこい」
相手してやるよっと、ひらりと、歩いていってしまう先輩の後ろ姿を見つめる。
恥ずかしくて、気持ちよくて、やっぱり好きな気持ちで一杯で、顔が熱い。この熱が冷めるのか心配になるぐらいに、耳まで熱い。少しでも冷まそうと、ずっと握られたままだった蜂蜜レモンのジュースにストローをさして一口飲んだ。
やっぱり、不味い。先輩のキス、豆乳味だったな。っと思い出して、恥ずかしさに襲われて、その場にしゃがみ込んで誰も見ていないのに顔を両手で隠して一頻り照れた。
end.
少しの間、御幸君のつい選んでしまうジュースが豆乳だったら良いな。
- キスの味 -
「好きです」
男、御幸一也、人生初めての自分からの告白。ドキドキと耳元に心臓があるみたいに音が大きい。野球の試合とは違う高揚感と、緊張に包まれて、中途半端な笑顔を浮かべてしまう。頬が熱い。恥ずかしい気持ちも膨らんで、複雑な心境を上手く説明できない。
ブゥーンと、自販機が低く唸って、ライトが暗くなった辺りを照らす。
目の前の風呂上がりでサッパリとした、いつもと変わらない涼しい顔をした先輩は、「ふーん、そう」と、言って退けた。軽い。俺のこの気持ち、どうしてくれるんすかっと、泣きつきなる気分をなんとか押さえる。もしかしたら、そう言う意味の好きとかってのが伝わってないだけなのかもしれない。
先輩は髪の毛を首にかけたタオルで拭きながら、「で、御幸は、どのぐらい俺のことが好きな訳?」と、聞いてきた。
「どっ・・・・!」
どのくらいってなんだろう。大きさであらわせれる物なのか?今のところあまり回らない頭では答えが出せるとは到底思えない。眼鏡の位置をなおすふりをして、赤い顔を隠した。余裕の無い自分が嫌なのに、この人の前ではソレでも言いと思えるぐらい好きって、どんだけ、自分のこと余裕のある人間だと思ってるんだよ俺。
自分の中では色々な言葉が膨らんでは、自分でツッコミを入れて却下されていく。サイズ?大きさであらわすのか?距離?長さ?何かで例えるのか?
「なに?俺を呼び出してジュースも奢ってくれないし、ちゃんと言う事まとめときなよね」と、笑われた。えっ、ジュース欲しかったのか!と、すぐにジャージのポケットに手を突っ込んで、小銭を探るも、手持ちはゼロ。
クスリと笑われて、逆に先輩がポケットから小銭を取り出した。ゴトッと音をさせてパックジュースが出てきた。
はい、これっと、ジュースを手渡された。味は甘ったるい蜂蜜レモン味。パッケージに描かれたハチがニッコリと俺に笑いかけている。でもこれ、あんまり美味しくない。
「俺、御幸のそう言う所好きだよ」と、先輩は先ほどジュースを手渡した気軽な物言いで言い放った。
えっとか、はっとか、驚いてる俺を他所に先輩は、また小銭を入れて豆乳のボタンを押した。ゴトッと音がして、ソレを取り出し、告白の返事に好きと返したばかりなのに、普通通りの行動で、パックにストローをさした。
「そう言う所?」
「恋愛慣れてそうなのに、恋愛下手」
ぐっと、ノドの奥が詰ったのと、顔がカッと熱くなったのが同時だった。
「可愛いね」と、笑った先輩は無茶苦茶かっこよかった。惚れ直すとかじゃなく、より一層惚れた。もう、赤くなった頬なんて関係ない、間抜けな顔をしていても仕方が無い。
「ねぇ、どのぐらい好き?」と、再度同じ問いかけをし、やっぱり、考えあぐねいても言葉の出てこない俺に、「じゃぁ、態度で見せて?」と、挑発的に笑った。
何しても怒らないよっと、最後に付け足された言葉に俺は背中を押されるように、いや、雰囲気にのまれていたのかもしれないけど、一歩、先輩に近づいて、チュッと、触れるだけのキスをした。
少し腰を屈めて、横に向けた唇を寄せる。息の仕方も忘れてしまって、息を止めて。
一瞬なのに、最高にトキめいた。ドキドキを越えてバクバクと走ったみたいに心臓が高鳴って、ヤバい。語彙力が著しく低下してる、ヤバいしか出てこない。
ゆっくりと距離を離し、目を開けると、先輩は、変わらず笑っていた。気の聞いたことも、冗談に出来るような言葉も出てこない。いつものノリで笑い飛ばせることも出来ない。ただ、ジッと見つめていると、急に首の後ろに手が伸びてきた。
「へっ?」と、驚いた声をあげて、何?と問いかけるよりも早く、引き寄せられて先輩からキスをされた。ソレは俺がしたような触れるだけの物と違って、ネットリと舌を舐め上げるエロいキスだった。
急に引っ張られて屈んだ体勢で、先輩からのキスを受け止める。舌を舐められて、どうやって反応すれば良いのか分からない。き、もちいい・・・・。
ゆっくりと解放されて、初めてする深いキスにビックリして、涎が足れた。慌てて口元を拭うと、先輩が、「このぐらいの気持ちになったら、またこい」
相手してやるよっと、ひらりと、歩いていってしまう先輩の後ろ姿を見つめる。
恥ずかしくて、気持ちよくて、やっぱり好きな気持ちで一杯で、顔が熱い。この熱が冷めるのか心配になるぐらいに、耳まで熱い。少しでも冷まそうと、ずっと握られたままだった蜂蜜レモンのジュースにストローをさして一口飲んだ。
やっぱり、不味い。先輩のキス、豆乳味だったな。っと思い出して、恥ずかしさに襲われて、その場にしゃがみ込んで誰も見ていないのに顔を両手で隠して一頻り照れた。
end.
少しの間、御幸君のつい選んでしまうジュースが豆乳だったら良いな。
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