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沢(→)御/あかいろ

突然始まって突然終わる。
◆Aの沢御。下ネタ苦手な御幸くん。





- あかいろ -


先輩から、エロい雑誌を手に入れた。と、言っても、回り回って俺の元に着たから、どの先輩の趣味なのかはわからない。可愛らしく笑って、健康的な肌を見せつける写真。柔らかそうな唇がキュッと突き出されて、零れそうなバスト。瞳は挑発的な色を滲ませている。
寮の狭い部屋で、倉持先輩が床に寝転んで雑誌の表紙を見ている俺を覗き込んできた。邪魔っと、軽い蹴りが飛んでくるのは当たり前。「いてぇですよ!」っと、抗議の声をあげても、「お前には言葉で言っても足りないんだよ、伝わんねぇだろ」と、笑った。
そう言うんなら「口に出して動かなかった場合に手を出して下さいよ、暴力反対!」、頬を膨らませて文句を言っても「俺が出したのは足だよ、バーカ」なんて、言いながら、寝転がってる俺の上から雑誌を覗き込んできた。
「あ、お前、それもらったの?」
「はい、なんか、流れで・・・。」
「飽きたら誰かに回してやれよ。それ、俺も見た」
代々受け継がれたオカズという訳か。俺は倉持先輩の方へ顔を向けて、げんなりした表情を浮かべてみせた。
「お前なぁ、こんな所に居たら、オカズを手に入れるのは大変なんだからな。汚いって顔すんじゃねぇよ。だいたい、皆気を使うっての。オナニーしてアレを飛ばさないようにな」
ヒャハッと、先輩は笑って、再度俺を軽く蹴った。「いてぇですっ」っと睨みつけても、笑って「で、お前はどの子が好みな訳?」
「・・・・・・」
「んだよ、純情ぶるなよ。お前だって好みのタイプとかあるだろ。胸が大きいとかよぉ。」
「・・・・・・」
「んだよ、その目は!何処ぞのスカした野郎と一緒か?」
「スカした野郎?」
「御幸だよ。アイツ、そう言う話とか一切ダメなんだよ。すげぇ、真っ赤になって面白いけど、後で何されるか、わかんねぇから、あんまからかわないけどな」
「へぇ、御幸が・・・・」

倉持先輩から、御幸が下トークが苦手と聞いて、本当かどうか確かめてみたくなった。年頃の男子が、その手の話を苦手だなんて、嘘みたいだったから。「それじゃぁ、俺ちょっと・・・」っと、部屋を出る時に、勘のいい先輩が「あんま虐めてやるなよ」と、忠告を聞いた。
「はーい」と、元気に返事をして、そそくさと御幸の部屋に向かう。今日の練習中に安定しない投球のことで随分弄られたので、その仕返しの気持ちも働いたんだと思う。
部屋の扉をノックし、出てきた御幸は風呂上がりで石鹸の良い匂いがした。
「どうした、沢村。もう、夜遅いから球は受けねぇぞ?」
「違うんすよ。ちょっと、部屋に入れて下さい」
「あ?まぁ、良いけどよ。お前風呂は?」
「入りましたよ」
「ふーん、肩冷やすなよ?」
へいへいっと、部屋に招き入れてもらう。何か相談事があると思った御幸は床にドカッと腰を下ろした。その向かいに俺も腰を下ろし、二人の間に例の雑誌を置いてみた。パサッと乾いた音をさせて雑誌が目の前に置かれ、咄嗟に視線を向けた御幸が、直ぐに顔を真っ赤にさせた。
相手のあまりに急な表情の変化に驚くと同時に、面白くなる。どうだ、今日、散々俺を虐めてくれたお返しだ!
してやったりっとでも言うのか、口元が緩む。苦手なエロ本に驚いて、首元にかけてあったタオルで雑誌を隠そうとする御幸の手を掴んで隠されないようにする。
お互いに一行に引かない。本気で照れてる御幸を見るのは楽しい。いつも余裕たっぷりの態度で俺を馬鹿にするくせに。口元が緩んで仕方が無い。
「御幸、どの子が好き?」
俺の問いかけと同時に、手がダメなら足だ!っと、雑誌を足をくずして蹴り上げた御幸がバランスを崩して横に倒れた。両手を掴んでいた俺も一緒にバランスを崩して床に倒れた。御幸を下に、俺が覆いかぶさるような体勢になる。
「おまっ、何すんだ!」
「それは、コッチの台詞!俺は御幸のリサーチをだな」
「リサーチってなんだよっ、何の意味があるんだよっ」
顔を真っ赤にしたまま、頭も上手く回ってないのか御幸が慌てる素振りはとても楽しい。もっと、からかいたい気持ちがムクムクと膨れる。
「なんだよ、年頃のくせに」
「・・・・」
「思春期って、やつ?」
知らねぇよ・・・。御幸が小さな声でごにょごにょと何事かを言っている。自信たっぷり、不敵に笑ういつもの彼は居ない。幼い顔をして照れている。赤い顔が熱そうだなっと思うよりも早く彼の頬に触れていた。
「なんだっ・・・・!!!」
俺の行動に顔を上げた御幸の柔らかそうな唇に、チュッとキスをしていた。突然の俺のキスに驚いた彼が身を硬くする。そんな長い時間ではなかったけど、口を放すと息を止めていたのか、ケホッと小さな咳を聞いた。
それを聞いた途端、今度は俺が恥ずかしくなった。さっきまで相手をからかって、笑っていたのに。御幸の困って少し潤んだ目を見たら・・・。カァーッと血が上るのが分かる。
こんなときまで投手が気になる御幸が顔は赤いまま、「沢村?どうした、顔真っ赤」と、頬に手が伸びてくる。俺は慌てて起き上がると「しっ、失礼しました!!」と、部屋から逃げだした。


翌日、タオルでグルグル巻きになってエロ雑誌が俺の元に届けられた。倉持先輩経由で。
「おまえ、御幸に俺が話したこと言っただろう、迷惑だよ、たくよぉ」
今日は機嫌が悪そうだと、文句を横に俺はタオルを見て、昨日の御幸の小さな咳と困った顔を思い出していた。「おい、沢村、話聞いてんのか?」と、睨まれた。おまえ、顔真っ赤だぞ?と、言われ、笑って誤摩化すので精一杯だった。



end.
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