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宮牧/エスプレッソ(title)

お題十七目。「エスプレッソ」(配布元:RUTH 様)

サイレンの宮牧です。


- エスプレッソ -


「お茶を一杯どうですか?」
珍しい彼からのお誘い。いつも曖昧にはぐらかして逃げていくような牧野さんが面と向かってお伺いを立てる。
その事に驚いた顔をしたつもりなのに、怒っていると思ったらしい彼が、「駄目なら良いです」っと、腰が引けた一言をプラスした。

了解し、家に来るように言われる。
別に何か特別な物は何もない。
家の前の落ち葉を落ちては掃き、落ちては掃きっと、繰り返して地面を撫でているだけみたいな牧野さんを見つけた時に、
また葉を落とすような悪戯な風が吹いた。
ひゅーっと、歌うように。
前髪が風に乗るのを押さえた時にたまたま目が合った。
「寒いですね」
「寒いですね」
同じ言葉を繰り返した。
冷えた両手を擦りあわせた彼が、先ほどの言葉を言った。

「お茶を一杯どうですか?」

ココに座っていて下さいと、通された食卓に座る。
「すぐ用意しますね」
狭い家だから目の前は簡易のキッチンになっている。
俺を待たせまいと、慌ててお湯を沸かす。
「コーヒーと、紅茶、インスタントですが、どちらがいいですか?」
見せられた同じみのパッケージ。
「では、コーヒーを」
はいっと、嬉しそうに笑って、湯気の上がる飲み物を作った。
どうぞっと、目の前に置かれたカップ。
砂糖とミルクは、断った。
そしたら、付け合わせにっと、ミルクチョコを一つ出された。
「苦いだけじゃ、ね。口直しに」
そう言った彼はミルクをたっぷりと入れたコーヒーを口にした。
自分もコーヒーを飲んだ。
インスタント特有の安っぽい酸味が口に広がる。
同時に温かさも広がっていく。カップに触れた指先もジンワリと温まる。
「温まります」
礼を言うと、「私も温まりたかったのでちょうど良いです」と、笑った。



end.
別にエスプレッソとかどうでも良い話になってしまった^^;
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