box。

- 中毒 -


最近増えた趣味、悪戯電話。

悪戯と言うか、からかい電話って言った方が良いかもしれない。
大好きなあの人に電話をする。
一つ年上の、素直じゃない人。素直じゃないって所は俺もそうだけど、あの人はまた違う。ソコもまた可愛いポイントだったりする。
だから、毎晩電話をする。

携帯の番号を人づてに聞いた。
初めて電話をかけたときは知らない相手からのコールだったからなのか無視された。
から、今度は、メールアドレスも人づてに聞いて、まず、番号を教えて、夜の何時に電話をかけたいと一方的に伝えた。
返事も何もなかったけど、言った通りの時間に電話をしたら、一応出た。
もしもしの行き来が一回。「越前です」っと、名乗って「あぁ」と返ってくる。
「今、何してたの？」
「お前が用件があるみたいだから、電話を待ってた」
「へぇ、そう、ありがとう」
自然と上がった口元を、是非とも電話越しの彼に見せたかった。

そのあと、何を話したかは忘れた。
どうでも良い事だったに違いない。
お互いに、口数が覆いほうじゃないから簡潔に終わった。
だけど、なかなか携帯から耳をはなせなかった。

今日も彼に電話をかける。毎日声が聞きたい。
もしもしの行き来が一回と、名乗って、返事が来る。
それからスタート。
電話先の彼は嫌そうな雰囲気なのに、電話を予告なしに切る事はない。お人好しなんだと思う。
「ねぇ、俺さ、あんたの事が好きなんだけど」
「・・・・それが？」
「だから好きだって、告白してんの」
会いたいだとか、顔が見たいんだけど、俺もあんたも学生だし、やりたい事が一杯だからね、電話で我慢してんの。
「・・・そう」
「そうだよ。返事は明日頂戴」
「・・・、じゃぁな」
何度も繰り返される告白を、いつも最後は流す。
他愛無い話から始まって、告白で閉める。
彼の本意が分からないけど、きっといい迷惑。
だけど、繰り返す。
だって、コレは素直じゃない事のあらわれかもしれないじゃん。
俺は挑み続けるよ。



end.
日吉くんに酔っているのです。中毒症状。