box。

- 爆ぜる -


苦しいなって思った。
自慰するときは、苦しいとか感じた事ないのに。
胸が壊れそうなぐらい激しく脈打って苦しい。
好きだって、たった三文字が出てこない、中で引っかかってたまっているのかもしれない。
早く外に出してしまいたい、声という形に変えて、彼に届けたいのに。
いたわるように、身体を撫でられる。
人工的なゴム越しに熱を感じる。
いつも自信気に口数が多い目の前の人が肌を赤くして、俺なんかに興奮してる。
胸も、柔らかさも、愛らしさもないのに。あるのは余計な棒と、使い勝手の悪い穴だけ。
なのに、彼は大事に、大事にしてくれて、ゆっくりとほぐされて、思考まで解け落ちそうな程で。
後ろに宛てがわれた彼のソレの熱さに、泣いた。
こわいからじゃない、なんか嬉しかった。
それも言葉にしたいのに、変な喘ぎを我慢しながら、でもこらえきれない嗚咽が出るばかり。
彼の口からは湿っぽい熱い息が俺の肌に落ちるばかり。
挿入によって、萎えた俺の性器を擦り上げる。
「大丈夫か？」っと何度も伺いを立てる。
そんなの気にせず、滅茶苦茶して欲しかった。
今日の初めてを覚えていたくなかった。
だから、記憶がなくなるぐらいにして欲しいのに。
彼の優しい所を強く記憶して、愛おしさに苦しくなる自分なんて、らしくない。
いつものように、先輩に挑むような生意気なままで居たかったのに。
汗の浮かぶ背中を撫でて、近くの温もりと、中にある熱さにたまらなくなって、
一言やっと、「好きです」と言えた。
涙に縁取られた睫毛が邪魔をして、彼がよく見えない。
「俺も」っと、優しいキスが睫毛にされて、「ホント馬鹿」っと最後に文句を涙と一緒に一つ零した。



end.
跡日、初エッチ。