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宮牧/花(title)

お題九つ目。「花」(配布元:RUTH 様)

サイレンの宮牧です。


- 花 -


牧野さんの家の花壇には、冬になるとスノードロップと言う、白い花がよく咲いている。
白い花びらが少しだけ下を向いている姿が、彼に少し似ているなっと思た。他にも、華やかさはないが、清楚で劣らない感じは、自分の思考に笑った。
「綺麗ですね」っと、正直に感想を述べる。
「えぇ、綺麗ですね、私も好きな花なんですよ」
貴方に似ていますねっとは、言わなかった。
「いつもこの時期に咲いてますね」
「これぐらいしか、ちゃんと、育てた事ないんですよ。それに、聖燭節(せいしょくせつ)の日にこの花を集積して家に持ち帰ると家が清められるって言い伝えもあるんですよ、これはキリストだから本当は僕には関係ないんですが、清められるって言われると、なんだか良い気がして」
照れ笑いを浮かべて、誤摩化すように、食卓に生けますねっと、一輪手にした。

一緒に夕食を食べる習慣が出来て長い。
どんなキッカケだったのか忘れたが、一人だと味気なかったから。
別に二人居るからって会話が弾むわけでもないが。
温かなシチューと茹で野菜を食べながら、食卓に生けられた花を見る。
白く清楚な花がソコにある。先ほど来たときよりも花が閉じているように感じる。
花を見ていると、牧野さんが、得意そうに言った。
「夜になると花が閉じて、昼間の温かい空気を取っておくんですよ。花なのに賢いですよね」
実際、思考するという部分では植物には無理だが、おもしろい花だなっと感心する。
「帰りに、この花、頂けませんが?」
もう一輪紡ぐのも悪いから、今目の前にある花を欲しいと思ったが、やんわりと断られてしまった。
普段、要らないと言っても、料理や野菜を持たせたがるくせに、何故だろう。
先ほど、持ち帰ると家が清められると言っていたのに。
深くは、追求しなかった。じゃぁ、また、見に来ますと言って、食事に戻った。

家に帰る時に玄関先で、やはり、残ったシチューだとタッパに入れられたそれが、手渡された。
それから、紙に包んだ小さな球根をもらった。
「これはなんの?」
「スノードロップのです。あの花、花言葉は”希望”や、”慰め”、”恋の最初の眼差し”などの意味があるのに、人への贈り物になると、”あなたの死を望みます”って、意味合いになるんです、だから。是非、宮田さんも来年育ててみて下さい。この中には、希望が詰まってます」
そう、笑った牧野さんの前髪にキスをした。
「ちょっ、玄関先ですよ、誰が突然来るか・・・!」
あたふたと赤い顔の牧野さんが前髪を押さえた。
「ありがとう、大切に育てます。来年、必ず。おやすみなさい」
クスリと笑うと、人の笑顔に驚いた顔を一瞬して、「はい、おやすみなさい」っと、小さく手をあげた。

冷え込んだ夜の道に上着の前を寄せて、ポケットの中の球根を撫でた。



end.
宮田さんに、恋の最初の眼差しを育てて欲しい。
そして、気に食わない相手に「あなたの死を望みます」っと、贈り物して欲しい!!(え)
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