風綾/そんな君もおもしろい
一度書いてみたかった吸血鬼ネタ。
唐突に始まり、唐突に終わります(笑)
エロは無いけど、導入部分有りです(え)
- そんな君もおもしろい -
夏休み、特に予定もない一日。暑い暑いと言ってクーラーの利いた部屋から一歩も踏み出せないでいる。
と、突然の訪問者が現れた。
こんなクソ熱い中、厳重に長袖を着て、手には手袋を付けて、黒い帽子を深くかぶった綾小路はマスクもしてるから、何処から見ても不審者。
連絡もなしにやってきて、一体なんだと言うんだろう?
「もぅ、なんなの?暑いから早く入って。見た目も暑苦しいから帽子も手袋も外したら?」
日焼け対策にしてはキッチリやり過ぎ、男が美白意識してどうすんのさ。しかも綾小路が?
考えたら少し笑えた。真面目で硬いと思うけど、たまに見える抜けてる所とかおもしろいからからかっちゃう。
「お邪魔します」と、律儀に靴を揃えて上がる綾小路は窓の方をチラリと見てから帽子と手袋を外した。忌々しげに長袖を折り上げるのも忘れずに。
「なんなの?その格好?ついに不審者デビュー?」
綾小路は大川の事件があってから悪魔召還をしたりと、既に不審者みたいなもんだけど、自分がけしかけた所もあるからなのか、何故か無下(むげ)に出来ない存在。
「違う」と否定する綾小路を自室に連れて行く。ココが一番涼しい部屋だから。
「とりあえず、待ってて。僕も鬼じゃないからね。飲み物を出してあげよう」
余程暑いのか、大事なマスクまで取っ払って、顔が熱で真っ赤だ。僕の家で人が倒れるってのも面倒だし。
ソファに座って待ってた冷えた麦茶を出してやると一息に飲み干してしまった。
「暑いならそんな服で来なければ良いのに」
呆れた声を漏らすと、一瞬困った顔を浮かべてコチラを見てきた。なんか、縋り付いてくる小動物みたいで一瞬可愛いとか思ったけど、暑さのせい。
過った思いを振り払うように頭を振った。
「あっそ、で?」
自分もソファに座って、お茶を飲んだ。
「それが、とても言いづらいんだが、お前にしか頼めない」
「何よ、勿体ぶって・・・」
チラリと横目で見た綾小路は一旦躊躇してから、コチラに身体を向けて頭を下げた。
「血を飲ませてくれ」
お願いだと言われても全く話についていけてない。たっぷりと間を空けてから「は?」と聞き返した僕にやっと事の発端を話し出した。
「実は、夏休みに入ってからも悪魔を呼んでたんだ」
「相変わらず?おつかれさまです」
何度もチャチャを入れつつ、聞いた話を要約すると、
「それで、間違えて、吸血鬼が来て、快眠中だったらしくって腹を立てて俺に呪いをかけて行ったんだ」
綾小路の話す内容はぶっ飛んでいて意味が分からない。非日常だから、聞いてておもしろいけど、それが自分の身に起こるってんだから、君も運がないよね。
本に出てくるような、おとぎ話みたいな話。
悪魔だか、吸血鬼だか、妖怪だか、オバケだか分からないけど、ホント、幸薄いし。自分で首突っ込んでるから仕方が無いとも言える。
「呪いって?」
ホラッと言うように口を開け指差した先には犬歯が普通よりも尖り細って鋭利な歯が覗いた。ギョッとして「何それ、気持ち悪い!」と言ったけど、彼は怒らなかった。
本人も気持ち悪いと思っているのかもしれない。
「あと、さっきの服装見ただろ?日に当たると肌が焼けるように熱くなる。日光に当たって消滅するような感じじゃないから程度としては軽い方だと思う。でも、問題は元に戻る方法だ。血を吸うこと」
それだけだ、と、指を立てた綾小路は再度、頭を下げた。
「本当に血を吸えば治るわけ?保証はあるの?何処調べ?憶測で血なんか別けてあげないよ。僕の血は絶対に美味しいからね」
「なんで、美味しいとか断言出来るんだよ」
「だって、僕程、完璧な人間だもん」
「はいはい、ありがとう、完璧さん。一応戻り方は呪いをかけた本人に聞いたから。あいつも、寝てる所を邪魔されたぐらいで一生吸血鬼にするのは面倒だったんじゃないのか?」
「・・・・そんなあっちの事情や思考は興味ないよ。まぁ、治るんなら吸えば良いよ。献血に行ったと思って、わー、僕優しい!それに、吸血鬼に血を吸われるなんてなかなか経験出来ないからね」
退屈だったから良いよっと笑うと、何か言いたげな顔をしたけど、言葉を飲み込んだ。きっと僕の気を下げて撤回されたら困るからだろうな。
「・・・じゃぁ」と、乗り出してきた綾小路が、さっさと終わらそうと、僕の首元の髪の毛を払った。
「ちょっと!ストップ!」
「な、何だよ?」
「君にはムードとか場を作ることを知らないのかい?折角の吸血鬼だぞ?なりきれよ、ドラマみたいに演出してくれよ」
「はぁ?そんな、困ってるんだぞ、早く戻りたいんだ」
「もおぉ!うるさいな、頼んでるんだったら、コッチの要望ぐらい飲んだらどうなの?かわりに血を飲ませてやるって言ってるんだからさぁ」
要望を飲んだ綾小路がベットにお姫様のように横たわった僕の頭の左右に手をついて顔を覗き込んでくる。
首元の毛をソッとわけて、顔を寄せてくる。
「いただきます」と聞こえてきたけど、そこは聞かなかったことにしてあげよう。
一瞬ちくりとした痛みと、すっと抜けるような感触。
直ぐに離れたのは綾小路の方だった。
「何?余韻とかないの?スマートに離れてよね」
身体を起こして、ベットから落ちそうになってる彼の方を見ると顔を真っ赤にして、興奮しきった顔をしてる。
「え、血を飲んで昂っちゃった?」
手を伸ばすとビクリと身体を震わせて、小さく声を零した。
「何なに、おもしろい。スゴいエッチな顔してる。自覚あるの?」
口元を押さえてる綾小路に四つん這いで躙り寄り、髪の毛を撫でてやった。
心地良さげに目が細められる、溶けるような目がこちらを見る。
これはまぁ、おもしろい展開だなぁ、興奮しちゃって、可愛いじゃないの。
「僕が鎮めてあげるよ、可愛い吸血鬼さん」と、耳打ちした。
end.
突然の吸血鬼ネタ!一度はやりたい!淫魔ネタも実はやってみたいです。
ごちそうさま!!
唐突に始まり、唐突に終わります(笑)
エロは無いけど、導入部分有りです(え)
- そんな君もおもしろい -
夏休み、特に予定もない一日。暑い暑いと言ってクーラーの利いた部屋から一歩も踏み出せないでいる。
と、突然の訪問者が現れた。
こんなクソ熱い中、厳重に長袖を着て、手には手袋を付けて、黒い帽子を深くかぶった綾小路はマスクもしてるから、何処から見ても不審者。
連絡もなしにやってきて、一体なんだと言うんだろう?
「もぅ、なんなの?暑いから早く入って。見た目も暑苦しいから帽子も手袋も外したら?」
日焼け対策にしてはキッチリやり過ぎ、男が美白意識してどうすんのさ。しかも綾小路が?
考えたら少し笑えた。真面目で硬いと思うけど、たまに見える抜けてる所とかおもしろいからからかっちゃう。
「お邪魔します」と、律儀に靴を揃えて上がる綾小路は窓の方をチラリと見てから帽子と手袋を外した。忌々しげに長袖を折り上げるのも忘れずに。
「なんなの?その格好?ついに不審者デビュー?」
綾小路は大川の事件があってから悪魔召還をしたりと、既に不審者みたいなもんだけど、自分がけしかけた所もあるからなのか、何故か無下(むげ)に出来ない存在。
「違う」と否定する綾小路を自室に連れて行く。ココが一番涼しい部屋だから。
「とりあえず、待ってて。僕も鬼じゃないからね。飲み物を出してあげよう」
余程暑いのか、大事なマスクまで取っ払って、顔が熱で真っ赤だ。僕の家で人が倒れるってのも面倒だし。
ソファに座って待ってた冷えた麦茶を出してやると一息に飲み干してしまった。
「暑いならそんな服で来なければ良いのに」
呆れた声を漏らすと、一瞬困った顔を浮かべてコチラを見てきた。なんか、縋り付いてくる小動物みたいで一瞬可愛いとか思ったけど、暑さのせい。
過った思いを振り払うように頭を振った。
「あっそ、で?」
自分もソファに座って、お茶を飲んだ。
「それが、とても言いづらいんだが、お前にしか頼めない」
「何よ、勿体ぶって・・・」
チラリと横目で見た綾小路は一旦躊躇してから、コチラに身体を向けて頭を下げた。
「血を飲ませてくれ」
お願いだと言われても全く話についていけてない。たっぷりと間を空けてから「は?」と聞き返した僕にやっと事の発端を話し出した。
「実は、夏休みに入ってからも悪魔を呼んでたんだ」
「相変わらず?おつかれさまです」
何度もチャチャを入れつつ、聞いた話を要約すると、
「それで、間違えて、吸血鬼が来て、快眠中だったらしくって腹を立てて俺に呪いをかけて行ったんだ」
綾小路の話す内容はぶっ飛んでいて意味が分からない。非日常だから、聞いてておもしろいけど、それが自分の身に起こるってんだから、君も運がないよね。
本に出てくるような、おとぎ話みたいな話。
悪魔だか、吸血鬼だか、妖怪だか、オバケだか分からないけど、ホント、幸薄いし。自分で首突っ込んでるから仕方が無いとも言える。
「呪いって?」
ホラッと言うように口を開け指差した先には犬歯が普通よりも尖り細って鋭利な歯が覗いた。ギョッとして「何それ、気持ち悪い!」と言ったけど、彼は怒らなかった。
本人も気持ち悪いと思っているのかもしれない。
「あと、さっきの服装見ただろ?日に当たると肌が焼けるように熱くなる。日光に当たって消滅するような感じじゃないから程度としては軽い方だと思う。でも、問題は元に戻る方法だ。血を吸うこと」
それだけだ、と、指を立てた綾小路は再度、頭を下げた。
「本当に血を吸えば治るわけ?保証はあるの?何処調べ?憶測で血なんか別けてあげないよ。僕の血は絶対に美味しいからね」
「なんで、美味しいとか断言出来るんだよ」
「だって、僕程、完璧な人間だもん」
「はいはい、ありがとう、完璧さん。一応戻り方は呪いをかけた本人に聞いたから。あいつも、寝てる所を邪魔されたぐらいで一生吸血鬼にするのは面倒だったんじゃないのか?」
「・・・・そんなあっちの事情や思考は興味ないよ。まぁ、治るんなら吸えば良いよ。献血に行ったと思って、わー、僕優しい!それに、吸血鬼に血を吸われるなんてなかなか経験出来ないからね」
退屈だったから良いよっと笑うと、何か言いたげな顔をしたけど、言葉を飲み込んだ。きっと僕の気を下げて撤回されたら困るからだろうな。
「・・・じゃぁ」と、乗り出してきた綾小路が、さっさと終わらそうと、僕の首元の髪の毛を払った。
「ちょっと!ストップ!」
「な、何だよ?」
「君にはムードとか場を作ることを知らないのかい?折角の吸血鬼だぞ?なりきれよ、ドラマみたいに演出してくれよ」
「はぁ?そんな、困ってるんだぞ、早く戻りたいんだ」
「もおぉ!うるさいな、頼んでるんだったら、コッチの要望ぐらい飲んだらどうなの?かわりに血を飲ませてやるって言ってるんだからさぁ」
要望を飲んだ綾小路がベットにお姫様のように横たわった僕の頭の左右に手をついて顔を覗き込んでくる。
首元の毛をソッとわけて、顔を寄せてくる。
「いただきます」と聞こえてきたけど、そこは聞かなかったことにしてあげよう。
一瞬ちくりとした痛みと、すっと抜けるような感触。
直ぐに離れたのは綾小路の方だった。
「何?余韻とかないの?スマートに離れてよね」
身体を起こして、ベットから落ちそうになってる彼の方を見ると顔を真っ赤にして、興奮しきった顔をしてる。
「え、血を飲んで昂っちゃった?」
手を伸ばすとビクリと身体を震わせて、小さく声を零した。
「何なに、おもしろい。スゴいエッチな顔してる。自覚あるの?」
口元を押さえてる綾小路に四つん這いで躙り寄り、髪の毛を撫でてやった。
心地良さげに目が細められる、溶けるような目がこちらを見る。
これはまぁ、おもしろい展開だなぁ、興奮しちゃって、可愛いじゃないの。
「僕が鎮めてあげるよ、可愛い吸血鬼さん」と、耳打ちした。
end.
突然の吸血鬼ネタ!一度はやりたい!淫魔ネタも実はやってみたいです。
ごちそうさま!!
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