跡日/乾杯
未来設定の跡日、別れ話。
年齢は跡部さん30〜34歳ぐらいでお願いします。
苦手な人はスルーして下さいね。
- 乾杯 -
輝かしいライトに照らされて、沢山の人に祝福をされ、掲げられたグラス。
トロリと溶けそうな居ろのワインが揺れる。一斉に拍手とカメラのシャッター音がなった。
完璧な笑顔と立ち振る舞い。あの人に欠点なんて無い。引け目だって、ない。あってはならない人なんだ。
そんな幸せ一杯の場所でボンヤリとしていた所を、宍戸さんに肩を叩かれた。
視線の先には各自それぞれにパーティーを楽しんでいる、元先輩や同級生達。昔の顔なじみから、色んなお偉いさん達が立食している。
会場は広く、装飾も豪華で、何度か誰かの誕生日やクリスマス等で呼ばれたパーティーとは段違いだ。
鳳が心配そうな顔を無理矢理隠して、「コレ美味しいよ」っと、皿に盛られた料理を差し出してきた。
色んな種類と、腕のいいコックに召使い。何度も思うが、世界が違うな。
「ありがとう」と、受け取る。
自分の顔は上手く誤摩化せただろうか?
鳳みたいに無理に隠したようにぎこちなくなっていないだろうか?
手の中の、グラス。柔らかな水を飲むように一気に流し込んだ。
「美味しいね」と話しかけてくる芥川さん。「そうですね」と返した。
「日吉、元気無い。歳とって落ち着いたかもしれないけど、俺、わかるんだからね」
覗き込まれた真っ直ぐな目、逃げることもせず見つめ返して「そうですか」と返した。
嘘はつけない。学生のときより嘘が上手くなって、見せかけの顔も作れるようになったけど、今日は特別下手。
ここで、俺と彼が付き合ってたんだ、そう言ったらどうなるだろうと思ったけど、虚しくてやめた。
口にした途端に、昔でさえも偽ったものになってしまうように感じたから。
大事で大切で、かけがえのない過去。
コレからの伸びやかで輝く彼の未来。
「酔いました」と適当に言って、静かな方へ。壁際に置かれた椅子に浅く座る。
誰と何を話して、何を食べ、どれほど飲んだのか記憶に無い。
ただ彼を見ていた。何度か話しかけられたけど、上の空で、仲間達には悪いことをした。
今日のことは彼らには、後日謝ろう。
彼には謝らないけど___。
顔を上げると今日の主役の跡部さんが目の前に居た。
差し出されたグラスを受け取ると「水だ」と、短く言われた。
「おめでとうございます。こんな状態で・・・、疲れてる所に酒は利きますね」
「そうだな」
そういって、彼は壁にもたれ、手に持っていたワインを一口飲んだ。
「本日の主役がこんなところで油を売っていても良いんですか?」
「大抵の客には挨拶した、それに、殆どの人が、前もって挨拶に伺ってるからな」
「そうですか、大変でしたね」
無理にでも笑った顔を見せようとしたけど、見せるってことは、自分も見ることになって彼の顔を見てしまった。
一瞬見ただけなのに、悲しくて、直ぐに目をそらしてしまう。逆に不自然さが目だつ形になった。
「悪いんですが、一人にしてもらえませんか?気分が悪くて・・・」
「そうか」
適当な返事はされるのに一向に気配が離れない。床を睨むように見ている視線の先にも彼の磨かれた革靴が見えたまま。
長い沈黙のあと、俺は「頑張って下さい」と言い、彼が離れないのならっと、自分から、その場を離れた。
end.
説明不足ですが、跡部さんが社会に出て何年かした頃に、役職就任か、社長見習いみたいなポジションに就く時に
跡日は別れると思います。サヨナラも言わずに。
年齢は跡部さん30〜34歳ぐらいでお願いします。
苦手な人はスルーして下さいね。
- 乾杯 -
輝かしいライトに照らされて、沢山の人に祝福をされ、掲げられたグラス。
トロリと溶けそうな居ろのワインが揺れる。一斉に拍手とカメラのシャッター音がなった。
完璧な笑顔と立ち振る舞い。あの人に欠点なんて無い。引け目だって、ない。あってはならない人なんだ。
そんな幸せ一杯の場所でボンヤリとしていた所を、宍戸さんに肩を叩かれた。
視線の先には各自それぞれにパーティーを楽しんでいる、元先輩や同級生達。昔の顔なじみから、色んなお偉いさん達が立食している。
会場は広く、装飾も豪華で、何度か誰かの誕生日やクリスマス等で呼ばれたパーティーとは段違いだ。
鳳が心配そうな顔を無理矢理隠して、「コレ美味しいよ」っと、皿に盛られた料理を差し出してきた。
色んな種類と、腕のいいコックに召使い。何度も思うが、世界が違うな。
「ありがとう」と、受け取る。
自分の顔は上手く誤摩化せただろうか?
鳳みたいに無理に隠したようにぎこちなくなっていないだろうか?
手の中の、グラス。柔らかな水を飲むように一気に流し込んだ。
「美味しいね」と話しかけてくる芥川さん。「そうですね」と返した。
「日吉、元気無い。歳とって落ち着いたかもしれないけど、俺、わかるんだからね」
覗き込まれた真っ直ぐな目、逃げることもせず見つめ返して「そうですか」と返した。
嘘はつけない。学生のときより嘘が上手くなって、見せかけの顔も作れるようになったけど、今日は特別下手。
ここで、俺と彼が付き合ってたんだ、そう言ったらどうなるだろうと思ったけど、虚しくてやめた。
口にした途端に、昔でさえも偽ったものになってしまうように感じたから。
大事で大切で、かけがえのない過去。
コレからの伸びやかで輝く彼の未来。
「酔いました」と適当に言って、静かな方へ。壁際に置かれた椅子に浅く座る。
誰と何を話して、何を食べ、どれほど飲んだのか記憶に無い。
ただ彼を見ていた。何度か話しかけられたけど、上の空で、仲間達には悪いことをした。
今日のことは彼らには、後日謝ろう。
彼には謝らないけど___。
顔を上げると今日の主役の跡部さんが目の前に居た。
差し出されたグラスを受け取ると「水だ」と、短く言われた。
「おめでとうございます。こんな状態で・・・、疲れてる所に酒は利きますね」
「そうだな」
そういって、彼は壁にもたれ、手に持っていたワインを一口飲んだ。
「本日の主役がこんなところで油を売っていても良いんですか?」
「大抵の客には挨拶した、それに、殆どの人が、前もって挨拶に伺ってるからな」
「そうですか、大変でしたね」
無理にでも笑った顔を見せようとしたけど、見せるってことは、自分も見ることになって彼の顔を見てしまった。
一瞬見ただけなのに、悲しくて、直ぐに目をそらしてしまう。逆に不自然さが目だつ形になった。
「悪いんですが、一人にしてもらえませんか?気分が悪くて・・・」
「そうか」
適当な返事はされるのに一向に気配が離れない。床を睨むように見ている視線の先にも彼の磨かれた革靴が見えたまま。
長い沈黙のあと、俺は「頑張って下さい」と言い、彼が離れないのならっと、自分から、その場を離れた。
end.
説明不足ですが、跡部さんが社会に出て何年かした頃に、役職就任か、社長見習いみたいなポジションに就く時に
跡日は別れると思います。サヨナラも言わずに。
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