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風→綾/キレイな顔

思いつきから、口裂け女パロです。
綾小路君が口裂けてます(既にネタバレw)
グロくは無いですが、痛いのが苦手な方(サラッと書いてますが^^;)は、スルーお願いします。

久しぶりの更新がコレって^^;
- キレイな顔 -


彼はいつもマスクをしている。
マスクを外した顔を誰か見たことはあるんだろうか?
口数も多い方ではないが、話かければ応えてくれる、少々言葉がキツいがハッキリとした物言いは伸びた背筋同様で気持ちがいい。
昼休みも、教室から消え、何処かで食べているらしいが、何処ですませているんだろう?
今まで、疑問に思って、聞いた奴は?好奇心は無いのか?
皆、気になっていても聞けないような雰囲気を彼はまとっている。

涼しげな目で、関心なさそうな顔。と、言っても、大半をマスクに覆われて、目でしか、表情を読むことは出来ないが。

僕は、なんだか、彼の事が気になる。
何がキッカケなんだろう。思いつきで話しかけた。
マンモス校で、一学年だけでも多くのクラスが有る、たまたま同じクラスになっただけ。
女の子にしか興味なくて、男なんて、眼中に無かったのに。
なんか、放っとけないと言うか、なんと言うか。
表現しがたい気持ちを考えながら、彼を目で追う事が増え、やっと自覚した。
綾小路が気になる。
そんな魅力的でもないのに、顔を隠した得体もしれない、謎の多い同級生。
好きになれば、何でも知りたいし、独り占めしたい。
誰も見た事が無い素顔を、僕は見てみたい。

放課後の教室で、疎らに残った生徒達。6時間目の板書をまだしている綾小路に近づいた。
背中をトンと、叩いて、話かける。気さくに、不自然でない行動。
普通に触れただけなのに、綾小路は大袈裟なぐらいに肩を揺らした。
「ちょっと、そんな驚かなくても。驚かせて悪かったね」
女の子なら可愛いとか言ってくれる笑顔で彼に笑いかけた。
対する彼は、目しか見えてないのに、面倒くさそうな顔をしてるのがよくわかる。
「忙しい」と書きかけのノートにすぐ向き直ってしまう。
「話しかけてるんだから、無視しないでよ」
「・・・・何だよ」
顔は全くコチラを見ないまま。折角、君に近づこうとしてるのに、酷いもんだよ。
「あのさ、君は同性愛とか、どう思う?」
「なんだよ、急に・・・勝手だよ、別に、興味ない」
「えー、ホント?偏見とかないの?」
「偏見とか考えた事無い」
そう言って、ノートがパタンと閉じられる。すぐに帰りの準備を始めた彼は、ただ・・・と言葉を続けた。
「性欲は怖い」
どう言う意味?っと聞く前に、彼は立ち上がって、教室を出て行ってしまった。
理解出来ない言葉に、置いてけぼりをくらった僕はボンヤリと出て行った扉を見つめていた。


「ねぇ、僕、君の事が好きなんだけど」

綾小路は冷めた目で僕を見て、溜息を吐いた。
「どこが良いんだ?」
コレから昼休み、教室が一旦の解放にザワザワとしている中、僕は、彼に再度話しかけた。
「どこって、知らないよ。なんとなく」
「へぇ」
「ね、だからさ、ご飯一緒に食べようよ?」
それぐらい良いだろ?っと、昼用に買って来たコンビニの袋を持ち上げてみせた。
「・・・・」
長く沈黙した後、綾小路は僕の方をチラリと見、ついてこいと言った。
手には弁当箱とペットボトルを持っている。

ついた先は、職員室横の個室の進路部屋。
職員室前で、すれ違った先生達に会釈をして、綾小路はポケットから自然とカギを取り出し、開けた。
「なんで、カギ持ってるの?」
「昼の間は良いんだ、俺が使う約束をしてある」
「ふぅーん、特別なんだ?」
部屋に入っていくと中は空気が淀んでいて、少々ホコリっぽい。
彼は、普段通りなのか備え付けられている窓を開け、机と向き合う形で置かれた二席に座った。
「綾小路はどうして、こんな場所で食べてるの?」
ギシギシと折りたたみのパイプ椅子が不快な音を立てる。
「知りたくてついて来たんじゃないのか?」
口が見えないのに、目が細められて、ニヤリとした表情を浮かべたのが分かった。
何処か美しい雰囲気を持ち、謎めいていて、魅力的に感じた。
「んー、そうだね」
「じゃぁ、見せてやるよ、早く食べて教室に戻りたいし」
そう言って、マスクにかけられた手が取り外した口元は、右側の口端から3センチ程裂けていた。
頬の真ん中程まで切れていて、周りの肌が引きつるように他の肌よりもツルリとしている。
ビックリしすぎて、声も上がらなかった。
目を大きく開いて、見る。マスクを机に置いた綾小路の指が裂けた口元をソッとなぞった。
「驚いただろ」
悲しそうに笑いを浮かべた、ギコチナく不格好な表情。彼はこうなった経緯を簡単に話してくれた。

子供の時に、知らない大人に拉致されて、口に性器をつっこまれて、切られたんだよ。

サラリと告げられた。子供の口は小さいからな。
それが嘘か本当か分からないけど、彼の態度からは嘘だとは思わなかった。
喋るたびに、裂けた口から覗く奥歯。本当は整形すれば、傷は多少残るかもしれないけど治るだろう、けど、そのまま。
事情は聞かなかった。
目が口からはなせない。
「ガッカリしたか?」と聞く彼は何処か嬉しそうな顔をして、何事も内容に弁当を開けた。十代の弁当箱にしては小さいサイズ。
食欲無くすよな、帰っても良いんだぞ。
そんな雰囲気を出して、黙々と食べ進める。閉まりきらない裂けた場所から零れた滴を拭い、食べ進んでいくのを見ていた。

彼が食べ終え、両手をあわせて「ごちそうさま」と言った。
ハッとして彼の顔を見ると、またマスクをつけて、冷めた顔をして黙って起ち上がった。
弁当箱を持った彼の手を掴み、「ガッカリしてない」とカラカラに乾いた言葉で言った。本心だった。
綾小路が怖い話で聞くような口裂け女みたいな風に口が裂けていても、嫌いにはなりきれなかった。恐ろしいとは思う。
彼が何故、整形をせずに、醜い姿で居続けるのか。生活もしず来だろうし。
それもまた、謎めいていて興味が有る。

「どうせ、物珍しいだけだ、すぐ飽きる」

そう言い、また彼は僕を置いて部屋を出て行ってしまった。その表情は見えなかった。



end.
久しぶりの更新で、こんなん書いて意味分かんない。
リベンジか、続編書きたい。
なんなんですか!なんなんですか、私の脳内!
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