box。

- 目を閉じて -


恋人だし一緒に帰ろうと提案した。出来るだけ、毎日。
日吉は束縛とか嫌いそうだなーっと思ったけど、すんなりと提案を受け入れてくれた。
次に一緒に帰る時は手を繋ぐんだよって教えた。
最初は照れて嫌がられたけど、人目の無い場所や部活が終わって遅い時間だったらって条件付きではあるけど手を繋いでくれた。
手を繋ぐのが慣れてきても、たまに指先で撫でるように触れてやると恥ずかしそうな顔で俺を睨みつけた。
全然怖くないし、威嚇になってない。
愛おしくって仕方が無い。一つしたの恋人。

本当は玉砕覚悟で、だけど、分が悪かったら持ち前のキャラクターで冗談だと誤摩化せるように。
ズルいし、計算高い俺は逃げ腰の告白をした。
日吉は驚いた顔を浮かべたけど、OKしてくれた。
ホント嬉しかった。柄にもなく、浮かれて抱きついた。
慣れてない日吉は、状況に困って俺と距離を置こうと手を突っぱねた。
それさえも、愛おしい。
聞いたら、人と付き合うのは初めてとか。
彼の性格を考えれば、納得。

可愛い。どこが可愛いとか上手く伝えれない。
好きで仕方ない。
不器用だけど、俺のこと一応好きですって無い札を探して伝えようとしてくれる所が可愛い。
全部、俺が初めて。一ずつ教えたる。
一緒に帰ろう、手を繋ごう。手を繋ぐ時の握り方とか、冷えた手を温めてやる時とか、
雨に濡れた前髪の滴を払ってやるとか、愛情表現が増える。
今まで付き合った子にはやらなかった方法も増える。
色んな形で日吉の事、全身で好きだって伝えていきたい。

雨が降る今日も一緒に帰る。
傘が邪魔だから少し濡れちゃうけど、相合い傘しようと言ったら渋ったけど、了解してくれた。
日吉は俺に甘いなぁ。
肩が少し濡れる、彼が濡れないように傘を傾ける。
他愛無い会話をして、ギュッと手に力が入った。
二人で帰るとき、日吉は割と無口。
俺ばっかりペラペラ喋ってる。
頷くように時々、手に力が入る。
俺を見た日吉が「雨粒」っと言って、メガネの縁に触れた。
その何気ない行動に、なんだか急に、一つ教えたくなって立ち止まった。
繋がれてる手が引っ張られて、日吉も立ち止まった。
真上の電線から大きな滴が落ちて、傘を叩いた。
「なに」とこちらを向いた日吉に触れるだけのキスをした。
ビクリと、力が入る手を握ったまま。

ついでに、前髪にもキスを落として、しっとりとした髪に唇で触れた。
耳元に口を寄せて、キスする時は目ぇ閉じてっと教えた。
頷くように、日吉の手に力が入った。



end.
たるい話で申し訳ない；；