宍鳳/お互いこどな
日吉受けじゃないです。
宍戸さんと鳳くんの話です。
未来設定で、28歳、29歳です。苦手な方はスルーして下さい。
- お互いこどな -
互いに借りた手狭な部屋に行き来して、より近い距離で時間を過ごす。
学生時代から付き合って、社会人になってからは忙しさに離れてしまうんじゃないかと思った事も度々あった。
その度に、この手を放したくないと思った。
自分より、幾分か大きな身体、抱きしめると自分が抱き込まれているような。
だけど、好きで好きで。いつまでたっても好きのままで、時々嫌な事もあるけど、例えば、恋人になって長いのにずっと先輩後輩脳が離れない所とか。
俺も知らずに先輩ぶってるところがある、出会った時の関係ってのは中々抜け出せない。
先輩と後輩から、恋人になっても。
土曜日の休日出勤で、昼を微妙に過ぎた中途半端な時間に自然と向かうのは俺の家では無い。帰ってくると長太郎が困ったような嬉しそうな顔を浮かべて部屋に向かえ入れてくれた。
彼の足下には小学1年生程の子供が張り付いていた。
「ただいま」よりも、「その子、どうしたんだ?」っと口に出た。
「隣の部屋の子なんですけど、母子家庭でたまにお子さんを預かってくれって頼まれるんです。だいたいは、事前に予定聞かれるので宍戸さんの来る日は断ってるんですけど、今日はどうしてもってお願いされちゃって」
この時代に珍しく近所付き合いをしているのは感心したけど、母子家庭とな・・・小さな嫉妬がちくりと胸を刺した。
そら、好きな相手を信じたいけど、あっちが気があったらどうすんだよ。一瞬よぎった思考がドンドンと膨らんでいく。小さい人間だな。
頭を振って考えを中断させる。窮屈なネクタイを外して、勝手知ったる部屋で着替える。
ハンガーにスーツをかけてると、「お茶飲みますか?」と腰に子供を引っ付けたまま聞かれた。イソギンチャクみたいにくっ付いてる子供の頭を自然に撫でた。
子供も慣れたように甘えて、目を細めた。
「名前、なんて言うんだ?」
椅子に座り、お茶が出てくるのを待つ。声をかけると子供が照れたような顔をして長太郎の腰に顔を埋めて、モゴモゴと話した。
「よう」
「宍戸さん、ようくんスゴく照れ屋なんですよ。身体は大きいけどまだ幼稚園なんですよ。甘えっ子だし」
そう笑った彼もかなりの甘えっ子。鼻先に温かな紅茶の匂いがする。
「おやつにって、ビスケットもらったんで一緒に食べましょう。あ、ご飯まだでした?」
「や、良いよ、夕食は一緒に食べようぜ」
流石に腰から離れた子供は空いた席に自然と腰を下ろした。この部屋には椅子は二脚しか無い。
紅茶とお菓子を持ってきた長太郎は俺と子供の前にカップを置いて「お砂糖は?」と聞いた。指を二本立てて「ふたつ」と子供は言った。
にこにこと笑う彼は俺の方なんか見てなかった。いつもは俺優先なのにな。
またへそを曲げた自分を自覚して、少し恥ずかしくなる。なんで子供なんかに軽く嫉妬してるんだ・・・。
「俺も二つ」
同じように指を二本立てて言った俺を見た顔は驚いている。
「珍しいですね」と笑い、じゃぁ、自分もっと全部のコップに二つ砂糖を落とした。
「熱いですよ、気をつけて」
熱い茶の中で溶けた砂糖は消えてしまった。ふーっと冷まして一口飲むと喉に消えたはずの砂糖の甘さが広がった。
「あまいですね」と笑った長太郎は立ったままビスケットに手を伸ばして紅茶に浸した。普通はミルクの入った紅茶に浸すけど、今日のは甘いから良いのかもしれない。
子供も真似てビスケットを紅茶に浸して口に運んだ。
熱さと甘みで気が緩んで他愛無い話を子供とした、それを微笑みながら聞いている長太郎は重心を変えた。
ゆっくりなティータイムが終了したと同時にチャイムが鳴った。
「迎えが来たね」と手を引かれて、二人が少しの間居なくなる。皿の上のビスケットはあと、一つ。
浸す紅茶も無くそのまま口に入れた。
部屋に戻ってきた長太郎は「ただいま」と、笑いながら椅子に座った。
笑ってたくせに、少しの間を開けて、すぐに起ち上がり「もう一杯飲みましょう」と言った。
カップを手に持ち、一瞬言いあぐねいた彼は小さく「ようくんと宍戸さんが仲良しでちょっと嫉妬しちゃいました」と照れを誤摩化すように笑った。
end.
なにこれ?
宍戸さんと鳳くんの話です。
未来設定で、28歳、29歳です。苦手な方はスルーして下さい。
- お互いこどな -
互いに借りた手狭な部屋に行き来して、より近い距離で時間を過ごす。
学生時代から付き合って、社会人になってからは忙しさに離れてしまうんじゃないかと思った事も度々あった。
その度に、この手を放したくないと思った。
自分より、幾分か大きな身体、抱きしめると自分が抱き込まれているような。
だけど、好きで好きで。いつまでたっても好きのままで、時々嫌な事もあるけど、例えば、恋人になって長いのにずっと先輩後輩脳が離れない所とか。
俺も知らずに先輩ぶってるところがある、出会った時の関係ってのは中々抜け出せない。
先輩と後輩から、恋人になっても。
土曜日の休日出勤で、昼を微妙に過ぎた中途半端な時間に自然と向かうのは俺の家では無い。帰ってくると長太郎が困ったような嬉しそうな顔を浮かべて部屋に向かえ入れてくれた。
彼の足下には小学1年生程の子供が張り付いていた。
「ただいま」よりも、「その子、どうしたんだ?」っと口に出た。
「隣の部屋の子なんですけど、母子家庭でたまにお子さんを預かってくれって頼まれるんです。だいたいは、事前に予定聞かれるので宍戸さんの来る日は断ってるんですけど、今日はどうしてもってお願いされちゃって」
この時代に珍しく近所付き合いをしているのは感心したけど、母子家庭とな・・・小さな嫉妬がちくりと胸を刺した。
そら、好きな相手を信じたいけど、あっちが気があったらどうすんだよ。一瞬よぎった思考がドンドンと膨らんでいく。小さい人間だな。
頭を振って考えを中断させる。窮屈なネクタイを外して、勝手知ったる部屋で着替える。
ハンガーにスーツをかけてると、「お茶飲みますか?」と腰に子供を引っ付けたまま聞かれた。イソギンチャクみたいにくっ付いてる子供の頭を自然に撫でた。
子供も慣れたように甘えて、目を細めた。
「名前、なんて言うんだ?」
椅子に座り、お茶が出てくるのを待つ。声をかけると子供が照れたような顔をして長太郎の腰に顔を埋めて、モゴモゴと話した。
「よう」
「宍戸さん、ようくんスゴく照れ屋なんですよ。身体は大きいけどまだ幼稚園なんですよ。甘えっ子だし」
そう笑った彼もかなりの甘えっ子。鼻先に温かな紅茶の匂いがする。
「おやつにって、ビスケットもらったんで一緒に食べましょう。あ、ご飯まだでした?」
「や、良いよ、夕食は一緒に食べようぜ」
流石に腰から離れた子供は空いた席に自然と腰を下ろした。この部屋には椅子は二脚しか無い。
紅茶とお菓子を持ってきた長太郎は俺と子供の前にカップを置いて「お砂糖は?」と聞いた。指を二本立てて「ふたつ」と子供は言った。
にこにこと笑う彼は俺の方なんか見てなかった。いつもは俺優先なのにな。
またへそを曲げた自分を自覚して、少し恥ずかしくなる。なんで子供なんかに軽く嫉妬してるんだ・・・。
「俺も二つ」
同じように指を二本立てて言った俺を見た顔は驚いている。
「珍しいですね」と笑い、じゃぁ、自分もっと全部のコップに二つ砂糖を落とした。
「熱いですよ、気をつけて」
熱い茶の中で溶けた砂糖は消えてしまった。ふーっと冷まして一口飲むと喉に消えたはずの砂糖の甘さが広がった。
「あまいですね」と笑った長太郎は立ったままビスケットに手を伸ばして紅茶に浸した。普通はミルクの入った紅茶に浸すけど、今日のは甘いから良いのかもしれない。
子供も真似てビスケットを紅茶に浸して口に運んだ。
熱さと甘みで気が緩んで他愛無い話を子供とした、それを微笑みながら聞いている長太郎は重心を変えた。
ゆっくりなティータイムが終了したと同時にチャイムが鳴った。
「迎えが来たね」と手を引かれて、二人が少しの間居なくなる。皿の上のビスケットはあと、一つ。
浸す紅茶も無くそのまま口に入れた。
部屋に戻ってきた長太郎は「ただいま」と、笑いながら椅子に座った。
笑ってたくせに、少しの間を開けて、すぐに起ち上がり「もう一杯飲みましょう」と言った。
カップを手に持ち、一瞬言いあぐねいた彼は小さく「ようくんと宍戸さんが仲良しでちょっと嫉妬しちゃいました」と照れを誤摩化すように笑った。
end.
なにこれ?
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