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跡日/飲んだら乗るな

未来設定で日吉くん大学生、跡部さん社会人。
友人たちとの飲みの席での話。


- 飲んだら乗るな -


日吉の通う大学のサークルで飲み会があった。
いつもの日吉からは考えれないぐらいに浮かれた声で電話がかかってきた。
迎えにきて下さいっとお願いされた。もともと、今夜の飲み会は俺の家から近いという事で、家に泊まる予定だったから問題ない。
車を走らせて、迎えにいくと、大学生らしき数人が道の端で固まって喋っていた。
女の子に囲まれて何か喋っている日吉が見えた。
大学に入ってから少々性格も丸くなった日吉は女性にモテるらしい事は聞いた事があった。
車を脇に止め、降りて近づいていくと、俺の顔を見て嬉しそうに手をあげた。
「日吉、迎えにきてやったぞ」
声をかけると俺の顔を見て女子がハッとした顔を浮かべた。
皆、酒に酔って少々浮かれた空気をまとっている。男子たちも俺を見て、「良かったな、迎え来て」っと日吉の背を軽く叩いた。
「うん」と子供っぽい返事をして日吉が俺の方に歩いてきた。
中の一人が、俺と目が合って、
「すいません、そいつ、ちょっと飲み過ぎちゃったみたいで、チャンポンはさせてないんで気持ち悪くはないと思うんですけど、ちょっと上機嫌ていうか」
そう言って、お願いしますと少し頭を下げた。宍戸みたいな感じの青年だった。
車に乗せてシートベルトを止め、ゆっくりと車を走らせる。日吉はまだ道の端に居る仲間たちに手を振った。
急に静かになった日吉が外の風景を見ながら、ポツリと、「急に呼び出してすみません」と謝った。
「別に気にするな」と返したが、それ以降、口を閉ざしていたので、寝てしまったのかと思って静かに家まで走った。

車を止めて肩を軽く揺すってやると、ぼんやりとした表情の日吉がコチラを向いた。
「着いたぞ」
シートルとを外してやる。思いの外、酔っているのかもしれない。助手席側に回って扉を開けてやると、のろのろと降りてきた。
ギュッと握られた服を見て、背に手を回してやった。
「なんかあったのか?」
聞いてやっても甘えるように縋ってくるばかりで何も言わない。
部屋に運んでやって、とりあえず、ソファに座らせてコップに水を半分程入れて持ってくると、素直に受け取ってゆっくりと飲み干した。
「もっと欲しいか?」
「はい」と答えたので、もう一杯、注いで持ってきてやると、それもゆっくりと飲み干した。
ソファのあいた場所に自分も座り、再度「なんかあったのか?」と優しく声をかけてやった。
言わないのであれば、言うまで待つし、無理強いはしないつもりだったが、意外にも日吉は口を開いた。
「皆が、恋人は居るのか、って聞いてくるんです。年齢的に気になるでしょ、付き合う付き合わないとか。それで、付き合ってる奴は嬉しそうに彼女や彼氏の事、話すでしょ。だから、俺も居るけど、居ないって言うから、なんか悔しくて・・・。」
うん、と頷いて続きを促してやる。日吉がそっぽを向きながら身体を俺に凭れさせてくる。
「跡部さんの事、良くしてくれる先輩って皆には言ったけど、言えないけど見せびらかしたかったって言うか・・・・・・」
言葉尻が徐々に窄まっていくが、俺にも格好良い彼氏居るって言いたくなったって言うか・・・と珍しくゴチャゴチャと良い訳がましいことを口にした。
「惚気たかったのかも」と最後に小さく言った。
「そうか、ありがとう」
日吉の頭を胸に引き寄せて髪を撫でてやると素直にソコに収まった。
「俺は会社の先輩たちには恋人居るって話してるんだ」
顔を上げた日吉はきっと、男同士を隠して苦しくなってる。悪い事じゃないけど、世間の目は冷たいから。
学校や会社の狭い空間だけで個人を主張しすぎるのは怖いから。
「真っ直ぐで可愛い恋人が居ますって。この間、飲みの席でウッカリ話して「惚気んな」って怒られたよ、独身の先輩に」
ぐっと日吉が俺の服を掴んだ。
「お前が、俺のこと自慢したいって思ってくれて嬉しいよ、これから生きやすい社会になると良いな。でも、俺は今もスゴい幸せだ。日吉が居るから」
そうして、顔を上げさせて日吉の前髪にキスをしてやった。

服はシワシワのまま。



end.
恋人の話したい年頃やん!
続きを書くつもりです、エロ。でも、そのうちに。気が向いたら。
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