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跡+日/もしもしいと

ちびっ子な跡日、パラレル話なので苦手な方はスルーして下さい。
小学1年な跡部さんと園児日吉くん。幼馴染み設定でお願いします。
短い話です。


- もしもしいと -


「わか!」
近くに居ても声が大きくなる。
景吾は隣に座って紙に一心に絵を描いている若に声をかけた。
チロリと長めの前髪から覗いた目が猫のように光る。
目が、何?っと言っている。
若はもの静かで話しかけても、黙ったままのことが多い。
恥ずかしいからって理由らしい。
黙ってても、ずっと仲良しだから若の言う事はだいたいわかるから、良いけど。
彼を引っ張るように目立ちたがりで、俺様の景吾は普段と変わらない若の目を見た。
「今から、もしもししよ」
「・・・・」
若の視線が下に向いてジッと手元の紙を見た。
どうやら塗りかけの絵が気になるみたい。
少し考えたあと、コロリと、ちびた色鉛筆が手から転げ落ちた。
「いい?」
手を握ってやると、こくりと頷いた。

もしもしってのは、所謂、糸電話。
俺は若とのもしもしが大好きだ。
いつでも出来るように勉強机に紙コップと凧糸を入れておいてある。
ゴソゴソと机の中を探ってモノを出している時も、作っている時も、若は近寄ってきて俺の行動を見ている。
簡単な工作のあと、コップとペンを渡してやって、名前を書く。
汚い文字で書かれた「わかし」と「けいご」の二つの電話が完成した。
すぐに廊下に出て電話をする。
結局は順番に喋り、タイミングがわかりやすいように手を挙げる。
話す内容はなんだっていい。
「聞こえてるかー?」
コップに耳を当てている若がコチラを向いてコクッと頷いた。
ちがう違うと手を振って再度話かける。
「声で教えてー」っと。
また若がコクッと頷いて口元にコップを寄せた。
「けーちゃんー」
愛称を呼ばれる、耳にザラついた若の声がする。

俺は若との、もしもし大好き。
声が耳に聞こえると同時に、こそばゆい様な温かな気持ちになるから。
「なにー?」っと間延びした返事をして、会話を繰り返す。
若にもザラついた俺の声が耳に入って、同じような気持ちになってると良いな。
「楽しー?」と聞いてやると、またコクリと頷いたので、違う違うと手を振り、「声で教えてー」と問いかけた。



end.
子供らしく遊んで。
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