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古キョン/くだらない事

古泉くん視点。
別れ話。ラブラブな話が好きなはずなのに。。。
板挟みで逃げたくなった古泉くんの話。
僕は彼に大っ嫌いって言ってほしかった


- くだらない事 -


見下された目、悲しい目、辛そうな目

うん、それでいいんだ
もっと嫌いになって

喫茶店のストローの紙がグシャグシャになってる
その上に積もってゆくちぎられた紙拭き
ぼんやりと悲しげな彼の目を見てゆっくりと外へ視線をずらした
チリチリと燃えそうな夕日が沈んでゆく
町を歩く人の姿を照らして濃い影を作った

僕は寂しいんだ
期待してガッカリしたくないし、期待されてガッカリさせたくないんだ
心に風切り穴ができて寒い
震えれば手を伸ばしてくれるだろう、目の前の彼も
でも、意地を張って普段通りのふりをする

彼は怒ったろうか?
僕に愛想を尽かしたろうか?

冷房がききすぎて頬が、指先が冷たい
店内に落ち着いた音楽が流れてる
生ぬるく当たりさわりのない音と声、今の自分みたいで気持ち悪い
ため息をはいた彼に目を向けた
見ているはずなのに顔が思い出せなくなった
こんなにも近くにいるのに
声なんて聞こえない、暗号が頭に入ってきて脳のパソコンディスプレイに文字が映し出される

「冗談は止めろ」
冗談じゃない

「嘘、・・・だろ?」
残念ながら嘘じゃありません

壊れ気味の回らない頭が短い言葉をはじき出す
頭に続いて目も痛くなった
口が乾燥してカサツいている、子供みたいに舌で湿らせる
机にひじを突いて先ほど口にした言葉を見えない彼の目を見て言った

「やめましょうか…」

続けて出そうになった謝罪の言葉は飲み込んだ
謝ったところでどうなる
僕なんかは憎まれ役がお似合いだろうから
気持ちが折れないように手に力を入れて耐えた
甘い決断をしたらまた同じところを回るだけ
彼を、みんなを傷つけてしまうだけ
自分が傷つくのは心が弱いから

ぐるぐる回るのはもう止めたいんだ
彼の増えていく傷を見ながらも見ぬふりをした
守ってくれる彼の手の中が心地よく抜け出せなかった

絶対に僕の味方だった彼を敵に回したい

何か言ってくれ
嫌いだって、失望したって、何考えてんだよ頭悪いんじゃねぇのって
長く沈黙をしてやっと今日口にした別れの言葉
待たせといてそんなかよって
罵ってバカにして俺を見なくなって

彼の中の僕を消して…

注文したコーヒーを飲まずに彼は立ち上がり言った
「俺は…お前が大好きだよ。ずっと」
逃げ出した彼、いや、逃げたのは僕の方だ
いつから流れていたのかわからない涙が服を濡らす
拭うこともせず強く握りすぎて赤くなった手のひらを見つめた

出ていった彼はどんな顔で俺を好きだと言った?どんな声で、どんな目をして
今となっては何もわからない
泣いてるせいで余計に酷くなった頭痛を無視するようにぬるいコップの水を飲み干した




end.
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