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跡→日/臆病

臆病者な跡部さん。
スゴく無理矢理な話。


- 臆病 -


正直、臆病だった。
最初はこいつバカみたいに真っ直ぐ努力して、いいなって思った。
でも、相手に対する好意が恋に変わるのはすぐだった。
間の「う」は知らないうちに落としていた。
ただ何となく部活後、備品を片付けて部室に歩いてる時にチラリと見た日吉の横顔がキレイだったから。
なんて、少女漫画みたいな現象で恋に落ちた。
先ほど言っていた「う」よりも俺の方が落ちやすいのかもしれない。
人に好かれるのは慣れている。
でも、人を好きになるのは慣れてない。
数人と付き合った事も有るが、結局は忙しかったりして相手が「寂しい」とか「自分には合わなかった」と一方的に切られる。
そのくせ、相手は「ありがとう」と言って去って行く。映画の中のヒロイン気分を一瞬味わって、はい、さよなら。
そんな事しか経験してきてない。だからスゴく戸惑う。
好きだと言うのは簡単で、でも、嫌われたくなくて。
ひた向きに自分を超えようと目標の通過点としてみてくれてる事、勝ちたいと思うエネルギー、それが好きだ。
俺を見る熱の有る瞳が俺が気持ちを伝える事で変わってしまうんじゃないかって。
行為を起こす事で相手の好意を捨てる事はしたくない。

「なぁ、日吉、お前好きな奴とか居るのか?」
部長の権限で雑用を頼んで二人きりの部室で何気ない感じに聞いてみた。
やっと雑務が終わって帰る支度をしてる日吉がウンザリとした顔をし「あんたもそんな事聞きたいんですか?」と。
「あんたもって他にも聞いた奴居るのか?」
「忍足さんに先日聞かれました、その時にも言いましたが、好きな奴は居ません」
「・・・そうか、居ないのか。告白は?」
「されてないし、したこともないです。ハッキリ言いますが、皆さんが期待されてる様な事は一切有りませんから。それに、俺は部に一生懸命なんです」
「そうか」
「そう言う、跡部さんはどうなんですか?好かれるの得意でしょ」
日吉にとっては世間話の延長だったんだろう、そんな事わかってるのに、
「今は好きな相手が居る」
「へぇ、そうなんですか、跡部さんに好かれた人は嬉しいでしょうね」
「そう思うか?」
「だって、跡部さんですから」
「どう言う意味だよ」っと笑えなかった。
なんだか、締まりの悪いまま有耶無耶に会話は終わった。

翌日の部活の休憩時間に忍足がニヤニヤした顔をしてやってきた。
「ひよちゃん、好きな奴居ないんやって。良かったな」
「・・・」
どこでこいつに俺の気持ちがバレたんだろう。
口に出して行った事は無いのに、ジロリと睨みつけると
「何よその顔、折角聞いて教えたってんのに。日吉の事好きなんはバレバレなんに今更気にすんなや」
「どの辺からバレてんだよ」
横目でジローにからかわれた日吉が追いかけっこをしてるのを追う、休憩中なのに全く休まらない。
「その目、恋する乙女そのもの。気づいてないのは本人たちだけ」
わざとらしく溜息をつくふりをして俺の肩を引き寄せた。
「いっぺん、告白してみ。やってみなわからん事も有るで」
そう、耳打ちしてまたニヤニヤと笑った。その顔がムカついて一発殴ってやりたかったが、その前に忍足は走って行ってしまった。

実際、俺は一人で気持ちを抱える事にまいっていた。
片思いと言うのも体力を使うと言う事を思い知った、そして悪魔のささやき(忍足)によって俺は日吉に告白してみる踏ん切りがついた。
先日のように、雑務を頼んで一人居残りさせる事はできるが、今日は待っていてくれとだけ伝えた。
部室でまだ体力の有り余ってる連中が転げ回って騒いでるのを無言の圧力で帰らせた。
そんな俺の見慣れない態度に日吉は少し困った顔をして「どうしたんですか」と言った。
どうもこうも、今から告白するんだよっと言ってやりたかった。
一呼吸置いて「話がある」と切り出した俺にただならぬものを感じたらしい日吉は姿勢を正して俺の言葉を待っている。
「実は、俺はお前の事が好きなんだ」
「そうですか」
「付き合ってくれ」
「わかりました」
「え、・・・そんな簡単に、良いのか?」
「だって、跡部さんですから」
好きな奴入るのかと聞いたときと同じ事を言って、少しだけ日吉は笑った。
「なんだそれ、どう言う意味だよ」
その笑顔に釣られるように自分も笑った。



end.
むりやーり!


- オマケ? -
(ジロちゃんと日吉くんが休憩中に走り回ってた理由)
「ひよー、また跡部が見てるよ」
「・・・そうですね」
「何その顔、可愛い」
「可愛くないです、何言ってるんですか」
「だって、恋する乙女って感じぃ〜」
「乙女って!」

実は跡部さんの視線を意識して既に気持ちが動いてたみたいな・・・。
書ききれなくて残念!
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