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風綾/チョコレイト

季節!?何それ?
バレンタインの学怖の風綾です。
短め。なんだかんだで風間君の事好きな綾小路くん。


- チョコレイト -


甘い、匂いがする。
彼方こちらから。小さな箱に並んだキレイな黒い粒。
匂いだけで甘いのに、空気まで甘い。
そんな日、バレンタイン。
この日の風間はスゴく上機嫌だ。
一応、ギリギリ、微妙な所だけど、俺と風間は付き合ってる。
ハッキリと断言出来る様な関係でもないし、恋人らしい事は一つもない。
思い出してみれば、告白とか思いを告げる事はしてない様な・・・。
そんな曖昧な関係だけど、風間が俺のことを好きで、俺も(少しだけ!)風間の事が好きだ。
実にムカつく奴だけど、すぐに人を怒らせるし、振り回す奴だけど、良い所が有るから好きなんだと思う。
どこ?っと聞かれても俺にも良さがわからないのでノーコメントで。
世の女性たちがチョコレイトを渡す日。
友チョコなんて文化が出来ても男の友達だからと男にチョコは渡さないので、女性の日なんだろう。
自分が幼稚園のときから既にバレンタインって文化は根付いていて女の子から貰ったことあったし、年齢とか関係なく、相手に感謝を伝える意味でも、このチョコを渡すってのは意味をなしている。
義理チョコなんて良い言葉作ったよ。

で、話は冒頭に戻る。

風間が上機嫌に放課後の教室でわざわざ今日のために持ってきた紙袋から沢山のチョコを覗かした。
自身の机の上に零れた可愛らしい装飾、柔らかなリボンに包まれた箱。
外からはわからないが、最近のチョコは高級だと聞く。
風間なんかのために、購入し、プレゼントしてくれる人が居るなんて本当に物好きも居るものだ。
実に懐の広い女性がこの学校には居るんだなぁ。
「何よ、ジロジロ見ちゃって、感心した?」
「あー、そうだなぁ、良かったなこんなに貰えて」
心のこもってない棒読みの言葉が零れた。
それを聞いて、「なに、嫉妬ぉ〜?」と嫌な笑いを浮かべた。
調子乗り過ぎな奴。
「綾小路も少しは貰ったんでしょ?僕には負けるだろうけど」
「俺は受け取ってない」
お前が居るからっとは口が裂けても言わない。
曖昧な関係のくせに彼氏面はしない。
「へ?でも君、休憩時間とかに呼び出されてたじゃないか」
「申し訳ないけど、断ったんだ」
「え、でも、好意を寄せてくれてるんだから貰えば良いじゃない?」
「応えれないんだ、女の子たちに悪いだろうが」
「・・・・ふーん」
と、値踏みする様な視線を向けてくる。鬱陶しいな。
「まぁ、良いや、少し食べようよ」
ガタガタと椅子を引き寄せて俺の横に座って風間が言った。
「馬鹿、お前が貰ったんだから、ちゃんと自分で食べろ。手紙とかもちゃんと読め」
「最近のは質が良くて味が上品なんだから」
女子高生はお金持ってて自分のと開いてので良いヤツ買うんだよーっとか言いながら適当に選んだ箱を無造作に開け始めた。
蓋を開けられたそこからキレイな粒が覗く。
艶やかで上品な感じに並んだ一つを摘んで食べるのかと思ったら、いきなり口に突っ込まれた。
文句を言う前に口に入ってしまったものを返す訳にもいかないから舌の上で転がすとベタつかず控えめな甘さが口の中に広がる。
「美味しいな」
素直に感想を言うと誇らしげに「そうでしょ」っと笑った。
お前が買ってきた訳じゃないだろうに。言ってやろうと顔を向けたら、
頭を引き寄せられて唇を何かがかすめた。
それは、風間の、

「んー、こんだけじゃわかんない。もう一回っ・・・!」
ふざけた事を言って近づいてくる風間を俺は手近にあった鞄で殴った。
幸い帰りの準備をしていなかったので中身は殆ど入ってない。
椅子から立ち上がった俺を目を白黒させて俺を見上げてる風間。
殴られるなんて想像してなかったんだろう。
俺もまさか咄嗟に手(鞄だけど)が、出るとは思わなかった。
「死ね、馬鹿、サイテーだよ」と、捨て台詞を吐いて俺は教室を飛び出した。
まだ居た数人のクラスメートも俺の激怒に驚いていたけど、それどころじゃない。
あんな、あんな人の前でキス。
しかも、実は初めてなんて。死ね風間。最悪のバレンタインだよ。
浮かれポンチ。
あぁ、俺は何であんな最低な奴が嫌いになれないんだろう・・・・。



end.
風間君は義理チョコ多そうだけど、綾小路君は本命チョコ多そう。なんとなく。
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