ジロ日/だって
ジロ日はほのぼの担当!
どちらかと言うと、ジロちゃん+日吉くん寄り。
クリスマス間近の話。
- だって -
11月も終わる頃、街の至る所がクリスマスシーズンになる。
明るい音楽と赤と緑の装飾。ピカピカと電球が輝いて街を彩る。
芥川さんが部活を引退した夏頃から俺たちは付き合ってる。
恋人らしい変化はこれと言ってないけど、一緒に家路をたどったりする。
普段は眠い時以外は五月蝿いぐらいの芥川さんが、寒いねと言葉少なに言う。
それに頷いて答える。いつもの元気な彼じゃないと調子が狂う、なんて事もない。
言葉は少ないけど、嫌じゃない。
結局は好いているからなんだと思う。
他に誰かと付き合った事もないから比べる相手が居ない。
ただ、不快感もないから無理に話す事もない。もともと、おしゃべりではないから。
そんな彼との帰り道が好きだった。
12月の初めに俺の誕生日があった。
別に隠してた訳じゃないけど、芥川さんは俺の誕生日を知らなかった事を怒っているみたいだ。
言わなかった俺が悪いとか、聞かなかった自分を責めてるってだけじゃない不機嫌さ。
その日の帰り道に何となく鳳から貰った誕生日プレゼントの話になって、
「え、誕生日って?」
「え、俺の、ですけど・・・」
「えっ、い、何時!?」
「・・・今日、ですけど・・・。」
道の途中で驚きで目を見開いたまま少しだけ固まって、それから急に黙り込んだ。
二人の帰り道の言葉が少ない感じとは違う雰囲気。
肩を少しだけ落として止まっていた足が動いたので、釣られるように横を歩いた。
最後にサヨナラの言葉じゃなく、「そうだったんだ・・・」と零して別れた。
なんだかスゴく申し訳なくなったけど、謝るのも変で言葉が出てこなかった。
離れて行く彼の背中を見ながら少しだけ寂しくなった。
なんか寂しい。
そんな空気が自分にまとわりついたまま、計ったタイミングでもないけど、お互い忙しく数日一緒に帰れなかった。
言い訳、でもないけど、帰り道で少し話したりして蟠りをなくしたかった。
考えたくないのに最後に見た彼の背中をよく思い出した。
一人の帰り道にたまたま通りかかった洋服屋でキレイなオレンジ色のマフラーを見つけた。
オレンジと言っても少し黄色がかっていて、彼に似合いそうだなっと思った。
そのマフラーを巻いた想像の彼はマフラーの色みたいに元気に笑っていた。
11月頃から聞いたクリスマスソングに洗脳されたと言い訳しておく。
柄にも無くプレゼントとして、そのマフラーをお小遣いで購入し、丁寧に袋にリボンまで付けてもらった。
店員のお姉さんに「恋人にプレゼント?」と聞かれたけど恥ずかしくて「違います、兄弟にです」と、誤摩化した。
受け取った袋はじんわりと温かい気がした。
彼に会ったらすぐに渡せるように鞄にいつも忍ばせておいたけど、結局また数日の間を空けてしまった。
クリスマスに近づけば近づく程に気が擦れた。
クリスマスにプレゼントなんてイカニモ過ぎるし、自分らしくなくて落ち着かない。
早く渡したい、自然に、何となく買いましたっと頭の中で考えても、その機会はなかなか来なかった。
やっと一緒に帰る事が出来たのは終業式の22日。
今年はクリスマスは日曜日、23日は祝日なので明日から連休。
会ってない間も短いメールの遣り取りはしたけど、約束はしてない。
前日のメールで「明日は一緒に帰ろうね」と言われた。
一緒に帰るときは教室に迎えにきてもらってたから、いつも通り教室で待ってた。
鞄の中のプレゼントを渡して笑う顔を想像してた。
照れるけど、喜んでくれたら嬉しいと考えてたら彼が教室に来た。
「ごめんごめ〜ん」っと言う彼の首元には見た事も無いマフラー。
驚いた。クラスの奴らは早々に帰って遊ぶと言っていたので今居るのは俺と芥川さんだけ。
動けずに困っていると「帰らないの〜?」と近くまで来た彼に顔を覗き込まれた。
「あ、の・・・」
「ん〜」
「マフラー、良い色ですね」
真新しく、彼の雰囲気とは違う青い落ち着いた色のマフラーが目近に見えた。
「ホント?そう思う?俺もこの色キレイだなーって思って買ったんだ」
気に入ったものが既に有るのにマフラーを渡すのも・・・っと一瞬考えたけど、自分がオレンジ色のマフラーを巻くのが想像出来なかった。
やっぱり、あれは彼に付けてもらいたい、たまにでも良いから。
「あの、これ!」
勢いでプレゼント然とした袋を手渡した。
嬉しそうに輝いた顔は見れた、けど、中身を見たらどう思うんだろう。
「え!俺に?いいの?」
「良いです、あんたに似合うと思って買ったんです、その、そのマフラーの合間で良いんで巻いて下さい」
袋を開けて俺の顔とマフラーを交互に見た彼はより嬉しそうに笑った。
「すげー、嬉しぃ〜!これ大事にする!毎日付ける!ありがとう」
「え、毎日なんて良いです、その青いのも有るんだし」
「いいの!これは元々、ひよにあげようと思ってたもんだから!」
はいこれ、そう言って巻かれた青いマフラー。
「え」
「誕生日、遅れたけど。つか、クリスマスと兼用で悪いけど。奮発しちゃった」
「えっ、すいません」
「いいの!俺があげたかったの!この色はひよに絶対に合うと思ったし、手触りも良いし、人目惚れして買ったからさ」
そっと首元のマフラーを撫でた。
「よかった、喜んでくれて!誕生日、リアルタイムでプレゼント出来なくてごめんね。でも、俺の匂い付けといたから」
「なんですか、それ。匂いって」
「良いでしょ、嬉しいでしょ。近くに居るみたいで」
「あんたが、一番俺の近くに居るでしょうが・・・」
彼の手からマフラーを取り上げて巻いてやった。
そのままマフラーを引き寄せて髪の毛にキスをしてやった。
恥ずかしいけど、今日は特別。
顔を話したら嬉しそうに笑って直ぐに「ひよが格好良くてムカつく。つか、口にチューしてよー」
と文句を言われたのでおでこに軽いチョップをして「帰りましょうか」と、腕を引いた。
照れる顔と笑ってしまう複雑な顔をマフラーで隠して。
end.
日吉くんからチュー!
どちらかと言うと、ジロちゃん+日吉くん寄り。
クリスマス間近の話。
- だって -
11月も終わる頃、街の至る所がクリスマスシーズンになる。
明るい音楽と赤と緑の装飾。ピカピカと電球が輝いて街を彩る。
芥川さんが部活を引退した夏頃から俺たちは付き合ってる。
恋人らしい変化はこれと言ってないけど、一緒に家路をたどったりする。
普段は眠い時以外は五月蝿いぐらいの芥川さんが、寒いねと言葉少なに言う。
それに頷いて答える。いつもの元気な彼じゃないと調子が狂う、なんて事もない。
言葉は少ないけど、嫌じゃない。
結局は好いているからなんだと思う。
他に誰かと付き合った事もないから比べる相手が居ない。
ただ、不快感もないから無理に話す事もない。もともと、おしゃべりではないから。
そんな彼との帰り道が好きだった。
12月の初めに俺の誕生日があった。
別に隠してた訳じゃないけど、芥川さんは俺の誕生日を知らなかった事を怒っているみたいだ。
言わなかった俺が悪いとか、聞かなかった自分を責めてるってだけじゃない不機嫌さ。
その日の帰り道に何となく鳳から貰った誕生日プレゼントの話になって、
「え、誕生日って?」
「え、俺の、ですけど・・・」
「えっ、い、何時!?」
「・・・今日、ですけど・・・。」
道の途中で驚きで目を見開いたまま少しだけ固まって、それから急に黙り込んだ。
二人の帰り道の言葉が少ない感じとは違う雰囲気。
肩を少しだけ落として止まっていた足が動いたので、釣られるように横を歩いた。
最後にサヨナラの言葉じゃなく、「そうだったんだ・・・」と零して別れた。
なんだかスゴく申し訳なくなったけど、謝るのも変で言葉が出てこなかった。
離れて行く彼の背中を見ながら少しだけ寂しくなった。
なんか寂しい。
そんな空気が自分にまとわりついたまま、計ったタイミングでもないけど、お互い忙しく数日一緒に帰れなかった。
言い訳、でもないけど、帰り道で少し話したりして蟠りをなくしたかった。
考えたくないのに最後に見た彼の背中をよく思い出した。
一人の帰り道にたまたま通りかかった洋服屋でキレイなオレンジ色のマフラーを見つけた。
オレンジと言っても少し黄色がかっていて、彼に似合いそうだなっと思った。
そのマフラーを巻いた想像の彼はマフラーの色みたいに元気に笑っていた。
11月頃から聞いたクリスマスソングに洗脳されたと言い訳しておく。
柄にも無くプレゼントとして、そのマフラーをお小遣いで購入し、丁寧に袋にリボンまで付けてもらった。
店員のお姉さんに「恋人にプレゼント?」と聞かれたけど恥ずかしくて「違います、兄弟にです」と、誤摩化した。
受け取った袋はじんわりと温かい気がした。
彼に会ったらすぐに渡せるように鞄にいつも忍ばせておいたけど、結局また数日の間を空けてしまった。
クリスマスに近づけば近づく程に気が擦れた。
クリスマスにプレゼントなんてイカニモ過ぎるし、自分らしくなくて落ち着かない。
早く渡したい、自然に、何となく買いましたっと頭の中で考えても、その機会はなかなか来なかった。
やっと一緒に帰る事が出来たのは終業式の22日。
今年はクリスマスは日曜日、23日は祝日なので明日から連休。
会ってない間も短いメールの遣り取りはしたけど、約束はしてない。
前日のメールで「明日は一緒に帰ろうね」と言われた。
一緒に帰るときは教室に迎えにきてもらってたから、いつも通り教室で待ってた。
鞄の中のプレゼントを渡して笑う顔を想像してた。
照れるけど、喜んでくれたら嬉しいと考えてたら彼が教室に来た。
「ごめんごめ〜ん」っと言う彼の首元には見た事も無いマフラー。
驚いた。クラスの奴らは早々に帰って遊ぶと言っていたので今居るのは俺と芥川さんだけ。
動けずに困っていると「帰らないの〜?」と近くまで来た彼に顔を覗き込まれた。
「あ、の・・・」
「ん〜」
「マフラー、良い色ですね」
真新しく、彼の雰囲気とは違う青い落ち着いた色のマフラーが目近に見えた。
「ホント?そう思う?俺もこの色キレイだなーって思って買ったんだ」
気に入ったものが既に有るのにマフラーを渡すのも・・・っと一瞬考えたけど、自分がオレンジ色のマフラーを巻くのが想像出来なかった。
やっぱり、あれは彼に付けてもらいたい、たまにでも良いから。
「あの、これ!」
勢いでプレゼント然とした袋を手渡した。
嬉しそうに輝いた顔は見れた、けど、中身を見たらどう思うんだろう。
「え!俺に?いいの?」
「良いです、あんたに似合うと思って買ったんです、その、そのマフラーの合間で良いんで巻いて下さい」
袋を開けて俺の顔とマフラーを交互に見た彼はより嬉しそうに笑った。
「すげー、嬉しぃ〜!これ大事にする!毎日付ける!ありがとう」
「え、毎日なんて良いです、その青いのも有るんだし」
「いいの!これは元々、ひよにあげようと思ってたもんだから!」
はいこれ、そう言って巻かれた青いマフラー。
「え」
「誕生日、遅れたけど。つか、クリスマスと兼用で悪いけど。奮発しちゃった」
「えっ、すいません」
「いいの!俺があげたかったの!この色はひよに絶対に合うと思ったし、手触りも良いし、人目惚れして買ったからさ」
そっと首元のマフラーを撫でた。
「よかった、喜んでくれて!誕生日、リアルタイムでプレゼント出来なくてごめんね。でも、俺の匂い付けといたから」
「なんですか、それ。匂いって」
「良いでしょ、嬉しいでしょ。近くに居るみたいで」
「あんたが、一番俺の近くに居るでしょうが・・・」
彼の手からマフラーを取り上げて巻いてやった。
そのままマフラーを引き寄せて髪の毛にキスをしてやった。
恥ずかしいけど、今日は特別。
顔を話したら嬉しそうに笑って直ぐに「ひよが格好良くてムカつく。つか、口にチューしてよー」
と文句を言われたのでおでこに軽いチョップをして「帰りましょうか」と、腕を引いた。
照れる顔と笑ってしまう複雑な顔をマフラーで隠して。
end.
日吉くんからチュー!
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