box。

- ホッとする -


冬になると日吉は寒そうだ。
冬生まれだからって冬が好きとは限らない。
なのに、あまり厚着をしてこない。
寒そうに身を縮めるだけ。一杯着てこれば良いのに。

朝練へ向かう道の途中で寒いってオーラ出しまくりの背中を発見！
見つけた瞬間にダッシュして後ろから飛びついて、ちょっとよろめいて「危ないですよ！」と朝からハッキリした声を聞く。
日吉の声聞くと、なんか眠たいけど、ちょっとだけシャンとした気分になる。
「えへへ、だって日吉が見えたから」
「俺が見えたら飛びつくんですか、あんたは」
「えー。だって日吉って飛びつきたい背中代表じゃん」
「なんですかそれ」とブツブツ言いながら一緒に校内に歩く。
乾燥した風が二人の髪の毛をヒュルリと撫でた。
コートの前を閉めてなかったから、意地悪な風が目敏く隙間にたまった温もりを盗んでいってしまった。
「ひよー、寒いねぇ！」
「前をキッチリ閉めなさい」とお母さんみたいな事を言われた。
「俺寒いけど寒くないぃ〜」
「なんなんですかそれ、意味わかりません」
面倒くさそうな声。でも、邪険にはせず相手してくれる。
日吉は優しい奴、だから好き。
「下に一杯着てるし！」
「そうですか、油断して風邪ひかないようにして下さいね」
そう言って部室に辿り着いた。

練習の休憩中も合間を見て日吉に飛びつきにいく。
日吉は「ウザイ」って口では言うけど追い払ったりしない。
「おい、ジロー。日吉スゴい顔してんぞ」と近くに居た宍戸に言われたけど気にしない。
鳳も「日吉、眉間にシワよってる」て笑うけど、気にしない。
だって、くっ付いてるからわかるもん。
身体が緊張してないから、日吉が俺に気を許してるって。
「ひよは、こーゆー顔なの！」
「いや、違うだろ」って、今日は岳人も俺と同じように日吉にくっ付いた。
二人で挟み込んでる。ギュウギュウくっ付いて温かい。
「お前ら！」て跡部が呼んだ。
ココに入りたいなら早く皆、日吉にくっ付けば良いのに。
忍足が「顔怖いわぁ〜」て言った。
「ウザイ」て、文句言うけど、寒がりの日吉は絶対温かいから嬉しいと思う！
周りで俺らを見てる人も笑ってるし。
日吉も温かくって幸せでしょ？


end.
短っ！