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鳳日/秋拾い

久々の鳳くんと日吉くんの話。
もどかしいけど、タラタラとしたペースが居心地が良い。

- 秋拾い -


感想の季節、カサカサと枯れ葉が揺れてる。
土曜日の部活帰り道、鳳と二人。
明日も部活、明後日からはまた学校と部活。
折角二人だけの帰り道なのにダラダラと歩みを進めるだけ。
隣を盗み見るけど、鳳は寒そうに首を窄めただけだった。
一緒にいたいから自然と遠回りしてる。
お互いに何か言いたげなのに、一言言えないで、変な感じ。
もどかしいな。

夏に鳳から告白を受けて晴れて付き合う事にした。
友達として長い付き合いなのにお互いに踏み込めない期間が長かった俺たちは相手を伺い、時間をかける事ばかり上手くなってる。
白黒つける事が好きなのに、互いの気持ちには決定的な事ができない。
時間をかけて様子を見て。まるで戦略ゲーム。
何処に落とし穴など罠が仕掛けてあるか探るように慎重。
鳳から告白を受けた時は何処に確証になる決定打があったのか教えて欲しかった。
何か告白へ一押しするモノがあったんだろう。
それは周りからの応援か、それとも、俺の行動に自分では気づいていないが変化があったのか。
本当の事は鳳には聞いてない。
なんとなく、どれもこれも重なったのかもしれない。
全部タイミングだ。
一つは待って全てがハマったのかも。

でも、最近はこのもどかしくて、ゆっくりの進み具合が心地よくさえ思えるようになってきた。

「ちょっと休憩しよ」
言われるまま、丁度道脇に公園があったのでベンチを探して座った。
ポケットを行儀悪く手に入れた。
「寒いね」と笑いかける鳳の息がまだ秋なのに夜だからなのか白く零れた。
「そうだな、今日は寒いな」と両手を擦った。
「手、冷たい?」
と、俺の返事も聞かず手を両手で包まれた。
さっきあんなに寒そうだったのに鳳の掌は温かかった。
ちょっと気恥ずかしくなって、「自販機で温かいのでも飲もうぜ」と言うと「良いね」っと。
「俺買ってくるから」と照れて逃げるように思われたくなくて、座ったままの鳳の髪を軽くクシャと撫でてから近くの自販機に向かった。

両手に抱えた温かい飲み物。
ココアとカフェオレ。どっちも甘ったるいけど、鳳と飲むのは甘いものの方が良い。
なんか落ち着くし、甘いと余計に温まる気がするから。
冷えたベンチに座ってた鳳に「どっち?」と聞いて「こっち」。
指差したココアを手渡してやって、自分もベンチに腰掛けた。
缶を開けて一口飲んだ。
殆ど口にしない味。飲み慣れないけど、今はこの甘さがいい。
いつもは水、お茶、スポーツドリンクぐらい。
ホッと息を吐くと目の前が白くぼやけた。
ちょっと前に鳳が吐き出した白と違って温かい白色だった。
隣を見ると「温かいね」と温もりが染み入った声。
緩い奴だ。
うんと頷いて、少しだけ腰をズラして近づいた。
鳳も少しだけ距離を縮めて座り直した。
「寒いから仕方ないね」と笑い合う。

「ちょっと、今日は冷えるけど、もう少しココに居ようか」
ずっと二人しか居ない公園。
寒くなってきたのと、公園を利用する小さい子たちは夕飯の時間だからだろうか。
手の中の半分残ってる缶を手で転がして「もう少し居ようか」と鳳と同じ返事をした。
「ココア美味しい」
「そうか、次はお前がおごれよ」
「うん、また、一緒に帰ろうね」

また次を重ねて、次の冬を一緒に拾いに。



end.
鳳日は緩い空気感になるなぁ!
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