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風綾/次の季節

学怖の風綾です。
短いです。風間君の家に遊びにいく。
意味わかんない話。



- 次の季節 -


9月も半分を過ぎたのに、8月みたいな暑い日が続いている。
季節外れの大雨が続いたりして非常に過ごしにくい。
玄関先でお邪魔しますと、小さい挨拶をしても隣の風間が「んー」だとか、「いらっしゃい」と言うだけ。
返事をされない事もある。この広い家は広いのに人が居ない。
人が居ない所に虚しさと寂しさの空気が漂って、少しだけ暗い。
外に居る時の風間は明るく、女性には社交的。男性には当たり障りの無い距離感、気に入った人間に対してはズケズケとした性格。
でも、家に入れば別人のよう。いつもはギャーギャーと五月蝿いのに口数が減る。
俺は自分から喋るタイプではないので、僕らの沈黙をこの家のどんよりとした空気が包み込む。
ぺたりと雨と汗で張り付いたシャツの襟を引っ張って肌から剥がす。
ついでに首元にまとわりつく髪の毛を払いのけた。

夏になる少し前、「僕の家に遊びにおいで」と、風間に声をかけられるようになった。
何か気まぐれなんだろうか。
学校で風間は自分の話をする、家族、自慢、女、楽しんだ事など。
でも、話を聞いても一つも風間を理解出来ない。
何か作られたものを感じていた。嘘っぽい。
そんな風間の家を見れるのは面白いかもしれない。
彼も気まぐれなら、自分も気まぐれに家に行こうと思った。

風間は部屋に俺を連れて行き、何をするでも無く黙って僕の横に座る。
初めて来た時は、もてなしのお茶が出されたが、慣れた今としては茶なんて出てこない。
何度この家に入ったら出てこなくなったんだろう。
数えてないし、自分もそんな興味も無い。
喉が渇くと、ぼんやりと喉が渇いたなっと考えながら何も無い時間を一緒に過ごした。
時間を捨てる行動に最近変化があった。

風間が手に触れてくるようになった。
最初は驚いた、でも、理由を聞かず、同じように押し黙って。
空調はしっかり設定してあるのに、緊張と互いの体温で掌がしっとりして不快だった。
顔をつき合わせずに触れた所から存在を感じた。

何度風間の家にきたんだろう。
何度手に触れただろう。
これから、何度、この時間を共にするんだろう。

「ねぇ」と突然声が聞こえた。
この部屋に入ると声なんて出せる事を忘れるみたいに口を閉じてたから隣から聞こえた声に驚いた。
「何」っと頭に言葉が浮かんだけど、音にはならなかった。
目線だけを向けると「ねぇ」とまた呼ばれた。
ねぇ、の後は何も続かない。
そして、肩を引き寄せられ、抱きしめられた。

俺は、あと何度、風間に流されるんだろう。



end.
よくわかんない風綾。
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