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風→←綾/アイス

学怖の風→←綾です。
これもスランプついでにベタな話でも書こうってコンセプト。
ほんと、ベタをひた走ろうと思います。
広い心でどうぞ;;


- アイス -


夏休みの間も何となく学校に来てる。
会う約束はしてないけど、学校に居れば会える気がしてたから。
実際、何度も会えてる。
「またね」や「明日ね」とも交わさない。
ただ一言、じゃぁね。
それだけなのに、学校で綾小路に会う。

昼過ぎの太陽が一番高い時間に教室に来た。
人も少なく、廊下はヒンヤリとした空気に満ちている。
外の暑さが嘘のようだ。
ゆっくりと歩いて教室に顔を出すと大抵自分の席に座ってる。
午前中の涼しい時間に部活の練習があって、昼を学校で食べてそのままここに居る。
僕が来るともわからないし、綾小路も気まぐれに帰ることもあるのに。
「やぁ、偶然だね」
偶然は何度も起こらない、互いの行動パターンを読んで居るから偶然でもなんでもないのに、いつも偶然だねっと声をかける。
僕の声にこちらを見た綾小路もいつも通り「あぁ」と素っ気なく返すだけ。
変わりない。それでいい。
そんな関係が一番僕たちらしい。
何をする訳でもなく彼の前の席に座って彼の顔を見る。
別に用事があって学校に来てる訳じゃない。
綾小路は部活後の休憩ぐらいの意味合いなんだろうな。
ただ、時間をつぶしてただけ。
自然をよそをって僕を待ってたわけではない。
「ジロジロ見るな」と言って手元の文庫本に視線が戻ってしまった。
夏場で人が少ないからなのかマスクは着けてない。
夏の教室は汗や制汗剤の匂いで充満してるもんね。
頬杖していた掌で自分の口元を隠して笑った。
「それ、面白いのかい?」
「・・・まだ、読み始めたばかりだ」
「そう。さっき?」
彼の目は文字を見たままで頷いて肯定する。
開けられた窓から温い風が入ってきた。
「エアコンつけないの?」
「そんな、長居する訳じゃないし、もったいない」
「でもさ、少し暑くない?」
顔を覗き込むと、「まぁ、暑いな」と首元を滑る汗を拭った。
「じゃぁさ、ジャンケン」

僕の出した手に釣られるように綾小路も手を出し負けた。
突然だ、卑怯だ、何だと文句を垂れていたけど教室を出て戻ってきた時には手元にアイスを持って戻ってきた。
デカイ高校だから売店がコンビニ並みに品揃えが良い。
夏休みの間も部活に励んでる生徒や先生たちが沢山いるから通常通り営業もしてる。
差し出されたものを受け取り「ごち」と短く言った。
袋を開けるとパイナップルの爽やかな匂い。
綾小路に言わせれば無理矢理こぎつけたような匂いだろうけど、僕にはわからないから。
同じように袋を開けて一口かじって「着色料の味がする」と言った。
匂いと味は近いものがあるのかな。
一言零したくせに口に入ってくる冷たさに癒されてるみたいで黙って食べてる綾小路を見ながら僕もアイスを食べた。
「ね、そっちの頂戴」
「は?お前は自分の食え」
「良いだろ、一口ぐらい」
既に椅子から腰を上げて居る僕を見て嫌そうな顔をしながらもアイスを向けてくれた。
「いただきまーす」と齧り付き、それから首元の服を掴んで引き寄せ、口の中を舐めてやった。
「おい!」って怒りとかごちゃ混ぜにした彼の赤い顔。
僕は涼しい顔して「ホントだ、着色料の味がする」と言った。そんなの少しもわからないのに。
ニッと笑いかけると怒った綾小路が僕のアイスを取り上げて残りの全部を食べてしまった。
「あーぁー・・・・」
恨めしそうに棒を見つめる。彼は自分の残りのアイスも一気に食べて冷たさが頭に来たのか眉を寄せて「ムカつく」と一言いった。
ベタつく甘い口元を舐めると無性に先ほどまで食べていたものが恋しくなって、また腰を浮かせて引き寄せた綾小路にキスをした。
バタバタと暴れる身体を押さえ、逃げれないように肩に手を回した。
彼の口の中を舐め回しつくし、顔を話すと赤い頬と潤んだ目で「馬鹿」と言われた。
解放してやると口元を腕で乱暴に拭った彼は読みかけの本を置いたまま帰っていった。
彼の背中にいつものように「じゃぁね」と声をかけた。
返事は返ってこないけど、明日も僕らはここで偶然会うだろう。



end.
ベタだねぇ〜
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