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跡→←日/青く見える

やっぱ、たまには敵意や超えたい!って気持ち全面な日吉くんを書かなくては!っと思ったけど不発・・・?
ちょっと雰囲気ものかな。
意識はしてるけど・・・・?


- 青く見える -


跡部さんはいつも自分の行動に自信を持っていて、他人から持たれる好意や期待に真っ直ぐに応える人だ。
いつも輝いてる。誰からも好かれる。
あんなにも抜きん出ているのに憎まれたり、嫌われたりすることがない。

だから、俺はあなたが嫌い。

色んな場所で、色々な跡部さんの顔を見る。
どの顔も完璧。どの顔もカッコよくて素敵だ。
俺も彼の容姿はとてもキレイだと思う。
肌はツルリとしていて、青みがかった目と毛先の整った髪。
頭身も高く、モデルみたい。
皆が羨む彼を俺は嫌う。
でも、気づいたら目で追ってる。
追いつきたいんじゃなくて追い越したい。
後ろから彼を見るだけでなく、前から振り返って彼がどんな顔をしているのかマジマジと見たい。
普段見るようなキレイな表情だろうか。
悔しがって歪んだ顔だろうか。
わからない、見たことないから好奇心で胸が高鳴る。

彼の弱みってなんだろう。

何でも出来て、弱点なんて全く思い浮かばない。
皆知らない彼の弱い部分が知りたい。
彼にだって出来ないものがあるはずだ。
全部出来る人間なんて詰まらないし、目標もなくなって寂しいだろうに。
むしろ、彼が今、前を見て成長し進んでいくのは何か目的や目標があるからだと。

部活で順番に試合をしていく。
下克上をするために俺は勝負を挑む。
練習も大事なステージだ。
俺が相手をしてくれませんかとお願いをするとニヤリと目を細めて笑った。
「もちろんだ」と、そして、名前を呼んだ。
手の空いた部員に審判をお願いし、コールされたと同時に気合いを入れた。
たぶん目つき悪く彼を睨みつけてるんだろう。
彼もスイッチが入ったみたいで鋭い視線が交わる。

なんとか食らいついた。
いつもより調子がいいと思ったのに、気づいたら最後のボールは無情にも俺の横をぬけて決まった。
また、負けた。
悔しい。すごい悔しい。
不敵な笑みさえも綺麗で完璧。
イライラするけど、負けは負け。
頭を下げて「ありがとうございました」と声を上げた。
俺たちの試合は他のよりも長くかかったようで、他のメンバーは既に入れ替わってコートに入っていた。
一旦休憩と、汗を拭き水分補給をしていると跡部さんも同じように給水に来た。
「おまえ、成長してきたな」
「本当ですか?」
「あぁ、前より球を拾えるようになった。また頑張れ。その分、俺も頑張るから」
「それじゃ、追い越せないじゃないですか。・・・・もっと、もっと頑張りますよ、俺は」
「そうか、なら俺はもっと、もっと、もっと頑張らなくちゃな」
そう言う跡部さんは実に嬉しそうな顔だった。
「何で、そんなに嬉しそうなんですか?」
「今のお前は俺しか見てないから」
「・・・俺が見てると嬉しんですか?」

俺の問いかけに答えは返ってこなかった。

ぼんやりと俺はまた彼の背中を見つめた。
「ひーよー」っと試合の終わった芥川さんが俺に飛びついてきた。
鳳に言わせると俺は芥川さんのお気に入りなんだとか。
「・・・重いです」
「跡部のことばっか見てるー」
「駄目なんですか」
「なんか恋しちゃってるみたいぃ〜」
「違いますって!」
「えー、跡部は恋してるよー」
「は?」
グダグダにとろけたような笑顔で「んー?」と言われて俺はそれ以上聞く気にならなかった。

否定したのに、芥川さんが言ったことが気になって仕方が無い。
俺はいつも、跡部さんのことをどんな目で見てたんだろう。
完璧過ぎて嫌いって目で見てたはず。
それがどうして、恋するような目になるんだ。
それに、跡部さんが恋してるって俺に言ってどうなるんだ。
よくわからない。

翌日の部活中も俺は跡部さんを見た。
変わらず嫌いだ、苦手だ、早く追い越したいって眼差しで。
そしたら、本人に声をかけられた。
「そんなに見てどうした、何か言いたいことがあるなら言え」
言われた通りに俺は「弱点が知りたい」と言う。
「知ってどうする」
「ただ、知りたいんです」
「じゃぁ、お前の好きなタイプ教えろ」
どう言う考えで俺のタイプの話に繋がるのかわからない。
俺をからかうような人間ではないと思っていたのに。
「知ってどうするんですか?」
「知りたいだけだ」
同じように返されて、俺は好奇心に負けた。
他のからかってくる奴らと違って、それをネタに俺に話かけてくる人間ではないと信用して。
「わかりました。俺の好きなタイプは素直な人です」
「俺の弱点はお前だ、日吉」
「え?」
思わぬ返答に顔を上げると不敵に笑った彼が続けていった。
「もちろんお前だけじゃないけど、特にお前だ」
「言ってる意味が分かりません」
「お前は俺を追ってくるだろ、だから妥協も手抜きも出来ない。練習もキッチリやって自分のプレーを思い返してなおしたり。方法はそれぞれだが皆だいたい、それの繰り返しだ。
もちろん俺が追う相手も居る、でも現状を下げるわけにはいかない。団体で上がっていけば良い、全体のレベルが上がって、より上を目指す。抜き、抜かれないように。それと、」
「それと?」
「俺はお前にカッコいい所が見せたいんだ」
「・・・充分カッコいいと思いますが、周りだって認めてる」
「周りじゃねぇ、お前に見てもらいたい。強ければ、ずっと見てるだろ」
言って、跡部さんとの会話は終了した。
ツキッと胸の奥が痛んだけど、その意味はまだわからない。
「やっぱり嫌いだ」と口からこぼれ落ちた。



end.
こーゆー、嫌いから好きって青臭いの好きです、はい。
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