鳳日/だったのに
鳳君と日吉君は昔から仲良しさんだよね、ね!
無自覚。ダラッとしてます。
- だったのに -
この頃、日吉に対して「可愛い」って言えなくなった。
前は女の子みたいに何でも可愛いって褒めて甘やかしてたのに・・・。
実際日吉は俺が、それを口にすると「またか」ってウンザリ顔をする。
やっぱ、男の子だから可愛いよりカッコイイの方が嬉しいだろうし褒め言葉なんだろうな。
自分もカッコいいって褒められた方が嬉しいし。
背が高いせいもあるのか、俺の事を可愛いって言うのは先輩や親ぐらいのもんだ。
日吉はあんなに可愛いのに。
そう思ってるのに口に出せない。
俺のちょっとした戸惑いに敏感に気づいてる日吉はこちらを気にしてる。
ずっと一緒に居るから小さな事でもお互いにわかるのかも。
でも、一番わかるはずの自分のこの気持ちがわからないでいる。
言葉にできない気持ちが渦巻いている。
練習してても休憩や、ふとした瞬間に日吉を見る。
今日も可愛いな。でも、なんか違う。
日吉と一緒に居る芥川を見る、可愛いな。
先輩に対して失礼かもしれないけど、芥川は楽しいときは気持ちを全身で表してて可愛らしい。
日吉の事がお気に入りの芥川が日吉の背中にひっついてる。
「やめてください」なんて、口では言うくせに根が優しい日吉は敵意じゃない気持ちには寛大。
結局は甘やかして、そのまま貼付けたまま。
俺がジッと見ていると宍戸が「あいつら仲良いよな」と言った。
自分の目にも仲良さそうなのが見て取れるのに頷けなかった。
曖昧な笑顔を向けて返事をして、へんな靄のかかる気持ちを見ないように練習に戻った。
「今日一緒に帰ろう」と声をかけられて驚いた。
だって、日吉から誘うなんて今までなかったから。
「うん、いいよ。寄り道してく?」
いつも通りの笑顔を浮かべて了解した。
なんか一瞬詰まらなさそうな顔をした日吉はそそくさと着替えにかかった。
普段と同じように笑って返してるのに、自分でも自分じゃないみたい。
日吉の事、前みたいに可愛いって言ってやりたいのに。
ウンザリした顔するけど、褒められてるのはわかるからか「やめろ」とは言わない。
イラついた素振りをして「お前はカッコいいな!」っと言ってくる日吉もまた可愛い。
本当は照れてるだけだって。
ぼんやりと考えながら着替えてたら「遅いぞ」と言われてしまった。
振り返ると着替えた日吉が後ろに立って眉を寄せていた。
「ごめんごめん、今いく」
脱いだ服を乱暴に鞄に突っ込んで日吉と一緒に部室を出た。
「お疲れさまでした」と声が重なった。
帰り道に「コンビニでもいく?」と聞いた。
「練習疲れたね」だとか今日の出来事を話しても「うん」とぼんやり返事。
日吉は自分から誘ったくせに黙り込んでいる、ホント、どうしたんだろう?
何か言いたい事があるなら。顔を覗き込むと強い目に睨みつけられてしまった。
え、なに!?
「おまえ、最近どうしたんだよ。なんかいつもと違う」
「え?違うかな。普通だよ?今日も楽しく宍戸さんとテニスしたし、全体練習のときも。サーブも結構キマったし、むしろ調子いいと思うけどな」
「・・・誤摩化すな、俺にだよ」
「日吉に?」
聞けば「なんか、距離感じる」と、「なんか怒ってるのか?だったらごめん、理由もわからねぇけど・・・」気まずそうな小さな声が続いた。
驚いた、今日の日吉は俺を驚かせてばかりだ。
今まで喧嘩しても、俺が謝って丸く収まるのが二人のパターンだった。
なのに、今回は俺のちょっとの変化を気にして日吉の方が謝ってきてる。
意地っ張りな日吉が珍しい。
驚いて目を真ん丸にしたまま見つめる。
俺の態度にイライラとした口調で「なぁ、ごめん」と言った、たぶん沈黙が苦しかったんだろう。
「日吉、俺別に何も怒ってないよ」
「え、でも、最近違うだろ。前はもっとウザイぐらいに・・・」
下を向いてしまった日吉に「ん?」と続きを促すと「ウザイぐらいに俺に声かけたじゃん」
「声?」
名前を呼ぶってことかな?首を傾げると「違う、その、可愛いって・・・」自分の事を可愛いと言うのが不本意なんだろう。
またちょっとイライラしてる。少しの変化でわかるのに、自分の変化がわからないんだよ。
「日吉の事、可愛いって思うんだけどさ」
「思うんだけど、なんだよ・・・・別に可愛いって言えってわけじゃないからな。最近なんか、お前が変だから」
「変ってわかる?」
俺の問いかけにコクリと頷いて伺う視線、俺の事心配してる顔になんだか無性に嬉しくなった。
「変、ちょっと変。なんか態度かわった」
「そうか、変か。でも、ホント、可愛いって思うよ。自分の中で整理出来ない気持ちがあるだけ、日吉は気にしないで。もうすぐ整理出来ると思うから」
「悩みか?」
「違うよ、ホント気にしないで。俺の問題だから。心配してくれてありがとう。大丈夫だよ。日吉は可愛いよ」
笑いかけると「やっといつもの鳳っぽくなってきたな」と日吉が笑った。
その笑顔があまりに・・・・。
「あぁぁ!!!」
俺の突然の叫びにびくりと肩を震わせて日吉が俺を見る。
「ご、ごめん。急に用事思い出しちゃった。先帰るね。じゃぁね、また明日!」っと走り出した。
ワタワタと家まで走りつくと塀に手をついて胸に手を当てた。
走ったからだけじゃない鼓動が手に感じる。
俺、日吉の事、可愛いじゃなくてキレイって言いたいんだ。
やっとわかった気持ち。
厄介で、でも幸せで温かな感情と君への気持ちに。
嬉しさと困ったがごちゃ混ぜになって溜息みたいな深い息が零れた。
end.
無自覚。ダラッとしてます。
- だったのに -
この頃、日吉に対して「可愛い」って言えなくなった。
前は女の子みたいに何でも可愛いって褒めて甘やかしてたのに・・・。
実際日吉は俺が、それを口にすると「またか」ってウンザリ顔をする。
やっぱ、男の子だから可愛いよりカッコイイの方が嬉しいだろうし褒め言葉なんだろうな。
自分もカッコいいって褒められた方が嬉しいし。
背が高いせいもあるのか、俺の事を可愛いって言うのは先輩や親ぐらいのもんだ。
日吉はあんなに可愛いのに。
そう思ってるのに口に出せない。
俺のちょっとした戸惑いに敏感に気づいてる日吉はこちらを気にしてる。
ずっと一緒に居るから小さな事でもお互いにわかるのかも。
でも、一番わかるはずの自分のこの気持ちがわからないでいる。
言葉にできない気持ちが渦巻いている。
練習してても休憩や、ふとした瞬間に日吉を見る。
今日も可愛いな。でも、なんか違う。
日吉と一緒に居る芥川を見る、可愛いな。
先輩に対して失礼かもしれないけど、芥川は楽しいときは気持ちを全身で表してて可愛らしい。
日吉の事がお気に入りの芥川が日吉の背中にひっついてる。
「やめてください」なんて、口では言うくせに根が優しい日吉は敵意じゃない気持ちには寛大。
結局は甘やかして、そのまま貼付けたまま。
俺がジッと見ていると宍戸が「あいつら仲良いよな」と言った。
自分の目にも仲良さそうなのが見て取れるのに頷けなかった。
曖昧な笑顔を向けて返事をして、へんな靄のかかる気持ちを見ないように練習に戻った。
「今日一緒に帰ろう」と声をかけられて驚いた。
だって、日吉から誘うなんて今までなかったから。
「うん、いいよ。寄り道してく?」
いつも通りの笑顔を浮かべて了解した。
なんか一瞬詰まらなさそうな顔をした日吉はそそくさと着替えにかかった。
普段と同じように笑って返してるのに、自分でも自分じゃないみたい。
日吉の事、前みたいに可愛いって言ってやりたいのに。
ウンザリした顔するけど、褒められてるのはわかるからか「やめろ」とは言わない。
イラついた素振りをして「お前はカッコいいな!」っと言ってくる日吉もまた可愛い。
本当は照れてるだけだって。
ぼんやりと考えながら着替えてたら「遅いぞ」と言われてしまった。
振り返ると着替えた日吉が後ろに立って眉を寄せていた。
「ごめんごめん、今いく」
脱いだ服を乱暴に鞄に突っ込んで日吉と一緒に部室を出た。
「お疲れさまでした」と声が重なった。
帰り道に「コンビニでもいく?」と聞いた。
「練習疲れたね」だとか今日の出来事を話しても「うん」とぼんやり返事。
日吉は自分から誘ったくせに黙り込んでいる、ホント、どうしたんだろう?
何か言いたい事があるなら。顔を覗き込むと強い目に睨みつけられてしまった。
え、なに!?
「おまえ、最近どうしたんだよ。なんかいつもと違う」
「え?違うかな。普通だよ?今日も楽しく宍戸さんとテニスしたし、全体練習のときも。サーブも結構キマったし、むしろ調子いいと思うけどな」
「・・・誤摩化すな、俺にだよ」
「日吉に?」
聞けば「なんか、距離感じる」と、「なんか怒ってるのか?だったらごめん、理由もわからねぇけど・・・」気まずそうな小さな声が続いた。
驚いた、今日の日吉は俺を驚かせてばかりだ。
今まで喧嘩しても、俺が謝って丸く収まるのが二人のパターンだった。
なのに、今回は俺のちょっとの変化を気にして日吉の方が謝ってきてる。
意地っ張りな日吉が珍しい。
驚いて目を真ん丸にしたまま見つめる。
俺の態度にイライラとした口調で「なぁ、ごめん」と言った、たぶん沈黙が苦しかったんだろう。
「日吉、俺別に何も怒ってないよ」
「え、でも、最近違うだろ。前はもっとウザイぐらいに・・・」
下を向いてしまった日吉に「ん?」と続きを促すと「ウザイぐらいに俺に声かけたじゃん」
「声?」
名前を呼ぶってことかな?首を傾げると「違う、その、可愛いって・・・」自分の事を可愛いと言うのが不本意なんだろう。
またちょっとイライラしてる。少しの変化でわかるのに、自分の変化がわからないんだよ。
「日吉の事、可愛いって思うんだけどさ」
「思うんだけど、なんだよ・・・・別に可愛いって言えってわけじゃないからな。最近なんか、お前が変だから」
「変ってわかる?」
俺の問いかけにコクリと頷いて伺う視線、俺の事心配してる顔になんだか無性に嬉しくなった。
「変、ちょっと変。なんか態度かわった」
「そうか、変か。でも、ホント、可愛いって思うよ。自分の中で整理出来ない気持ちがあるだけ、日吉は気にしないで。もうすぐ整理出来ると思うから」
「悩みか?」
「違うよ、ホント気にしないで。俺の問題だから。心配してくれてありがとう。大丈夫だよ。日吉は可愛いよ」
笑いかけると「やっといつもの鳳っぽくなってきたな」と日吉が笑った。
その笑顔があまりに・・・・。
「あぁぁ!!!」
俺の突然の叫びにびくりと肩を震わせて日吉が俺を見る。
「ご、ごめん。急に用事思い出しちゃった。先帰るね。じゃぁね、また明日!」っと走り出した。
ワタワタと家まで走りつくと塀に手をついて胸に手を当てた。
走ったからだけじゃない鼓動が手に感じる。
俺、日吉の事、可愛いじゃなくてキレイって言いたいんだ。
やっとわかった気持ち。
厄介で、でも幸せで温かな感情と君への気持ちに。
嬉しさと困ったがごちゃ混ぜになって溜息みたいな深い息が零れた。
end.
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