鳳日/お手をどうぞ
日吉受けと言いながらも跡日に偏りがちなので、鳳日でも◎
夏まつりで花火を見に行く話です。
中学生っぽい会話を目指してみました^^!
- お手をどうぞ -
玄関で待っていると出てきた日吉をジッと見つめてしまった。
口が”お”の形になって、目の前に立つ日吉が俺の方を見下ろした。
「おまえ、何じろじろ見てんだ」
イライラとした日吉の言葉に彼の後ろに立っていたお母さんが「こら」と短く嗜めた。
日吉のお母さんって、キレイで優しいけど礼儀に厳しいんだよね。
叱られて「すいません」と親に頭を下げたら、「私にじゃなくて鳳くんにでしょ」
言われて今度は僕の方を向いた日吉が怒られて耳を下げた動物みたいだったので、笑顔で「いいよ、僕も見過ぎたよ、ごめん」と言った。
もちろん、後ろの日吉のお母さんにも笑顔を向ける。
「じゃ、行こうか」と手を差し出すと場の空気から逃れたいのか何も言わずに日吉は手を取った。
家の門をくぐった所で振り返って、再度見つめる。
「なんだよ」っと、少しだけ不服そうな日吉が街灯の明かりにてらされてる。
日も落ちてちょっとだけ涼しい風がある時間帯。
普段着の俺と浴衣の君。
「その浴衣、カッコいいね」
明かりが街頭の黄色みを帯びたのが残念だけど、それでも解る濃紺に白で花が描かれた浴衣は色白の日吉にはよく似合っていた。
褒められて照れたのか、ぶっきらぼうに「そうか」と。
「うん、良いね。俺なんか普通の服だよ」
「・・・そっちのが楽だ。それに、これ女物の柄なんだ」
「え、そうなの?全然解らないけど」
「母さんの作るつもりで用意したけど、別ので作ったらしい。で、余ったやつ。色が落ち着いてるから俺にって」
「いいよ、気にしないで。日吉に似合えば男用も女用も全部日吉柄だよ」
「なんだよそれ」
文句を口にしつつも顔は怒ってなかった。
それに、玄関で繋いだ手も放されない。
「いこうか」と、少し手に力を入れると日吉は頷いた。
カラコロと鳴る下駄が凄く夏って感じ。
自分のサンダルを見ると実に味気なく感じる。
「ね、お祭り行ったら何食べる?」
「早速食い物かよ」
「食べるの大事だよ。外で食べるのもいいし、周りも賑やかだし、何より日吉と一緒なんだから」
笑いかけると「恥ずかしい奴」と言われてしまった。
「ね、たこ焼き食べよ。家じゃ、なかなか食べれないからさ」
「うん」
「あと、焼きそばと、りんご飴と」
「りんご飴は俺パス。リンゴ部分がどうも好きになれん」
「そっか、なら、かき氷食べよ」
「かき氷な」
「うん、そんで花火見ようね」
「花火の前によく見える高台に行かなきゃな。急いで食べないとな」
日吉が笑ったから俺も笑った。
お祭りだからってだけじゃない、日吉と一緒だから嬉しいな。
宣言通りにたこ焼きと焼きそばを半分こずつして食べた。
たこ焼きが崩れて服の上に零しそうになったり、焼きそばの具が多いとか少ないで少し言い合ったけど、楽しいお祭りになった。
移動のたびに手を繋いだけど、暗いし人ごみの中だからなのか日吉に文句を言われなかった。
暑くて汗ばんだ掌だったけど、握ると握り返してくれた。
最後にかき氷を食べながら花火を見る為に高台に向かう。
手に持った赤いかき氷と青いかき氷。
シャクシャクと氷の山を崩しながら歩いた。
「お前のもちょっとくれ」
「いいよ。あ、ベロ青くなってる」
「そっちは病的に真っ赤っかだぞ」
「赤なら健康的でしょうが、青はヤバいでしょ」
「うるさい。今から二人とも紫色になるんだよ!」
日吉がムキになってよこした青いかき氷を口に入れた。
「つめた、おいし」
「冷たさは同じだろうが」
「細かいなぁ~」
笑ってたらさほどお祭りの会場から離れてない高台についた。
周りも花火の為に訪れた人でガヤガヤとしている。
食べ終わったかき氷のカップを取り上げて一つにまとめる。あいた手をコッソリと繋いだ。
「おい、お祭りの場所よりは人少ないんだ。見えるだろ」
怒られたけど手を振りほどいたりはしない日吉に笑顔が零れる。
「大丈夫、もうすぐ花火だから誰も俺たちの手なんか見てないって」
「そうか?」
日吉の言葉と同時に空にドーンっと大きな音を立てて花が咲いた。
パチパチと遠くからも聞こえる弾ける音、たくさんの色がパッと開く。
「あっ、始まった」
手に力を入れた。
「始まったな」
周りの全然知らない人も含めてみんな同じ方向を見てる。
雷みたいに時間差でドーンドーンと聞こえ、ズレて空を飾る花火。
光が皆を照らす。
「キレイだね」
「あぁ」
「一緒に見れて良かった」
「そうだな」
「ねぇ、もう一つみたいのがあるんだけどさ?」
話してる間も次々に上がる花火が見つめる日吉の顔を彩った。
「何?」と口が動いたけどドーンと言う音で聞こえなかった。
俺がベーッと舌を出すと俺の意図を読み取った日吉もベーッと舌を出した。
二人とも紫色の舌をしてた。
end.
中学生っぽい会話ってどんなだろ。
忘れちゃったよ。
夏まつりで花火を見に行く話です。
中学生っぽい会話を目指してみました^^!
- お手をどうぞ -
玄関で待っていると出てきた日吉をジッと見つめてしまった。
口が”お”の形になって、目の前に立つ日吉が俺の方を見下ろした。
「おまえ、何じろじろ見てんだ」
イライラとした日吉の言葉に彼の後ろに立っていたお母さんが「こら」と短く嗜めた。
日吉のお母さんって、キレイで優しいけど礼儀に厳しいんだよね。
叱られて「すいません」と親に頭を下げたら、「私にじゃなくて鳳くんにでしょ」
言われて今度は僕の方を向いた日吉が怒られて耳を下げた動物みたいだったので、笑顔で「いいよ、僕も見過ぎたよ、ごめん」と言った。
もちろん、後ろの日吉のお母さんにも笑顔を向ける。
「じゃ、行こうか」と手を差し出すと場の空気から逃れたいのか何も言わずに日吉は手を取った。
家の門をくぐった所で振り返って、再度見つめる。
「なんだよ」っと、少しだけ不服そうな日吉が街灯の明かりにてらされてる。
日も落ちてちょっとだけ涼しい風がある時間帯。
普段着の俺と浴衣の君。
「その浴衣、カッコいいね」
明かりが街頭の黄色みを帯びたのが残念だけど、それでも解る濃紺に白で花が描かれた浴衣は色白の日吉にはよく似合っていた。
褒められて照れたのか、ぶっきらぼうに「そうか」と。
「うん、良いね。俺なんか普通の服だよ」
「・・・そっちのが楽だ。それに、これ女物の柄なんだ」
「え、そうなの?全然解らないけど」
「母さんの作るつもりで用意したけど、別ので作ったらしい。で、余ったやつ。色が落ち着いてるから俺にって」
「いいよ、気にしないで。日吉に似合えば男用も女用も全部日吉柄だよ」
「なんだよそれ」
文句を口にしつつも顔は怒ってなかった。
それに、玄関で繋いだ手も放されない。
「いこうか」と、少し手に力を入れると日吉は頷いた。
カラコロと鳴る下駄が凄く夏って感じ。
自分のサンダルを見ると実に味気なく感じる。
「ね、お祭り行ったら何食べる?」
「早速食い物かよ」
「食べるの大事だよ。外で食べるのもいいし、周りも賑やかだし、何より日吉と一緒なんだから」
笑いかけると「恥ずかしい奴」と言われてしまった。
「ね、たこ焼き食べよ。家じゃ、なかなか食べれないからさ」
「うん」
「あと、焼きそばと、りんご飴と」
「りんご飴は俺パス。リンゴ部分がどうも好きになれん」
「そっか、なら、かき氷食べよ」
「かき氷な」
「うん、そんで花火見ようね」
「花火の前によく見える高台に行かなきゃな。急いで食べないとな」
日吉が笑ったから俺も笑った。
お祭りだからってだけじゃない、日吉と一緒だから嬉しいな。
宣言通りにたこ焼きと焼きそばを半分こずつして食べた。
たこ焼きが崩れて服の上に零しそうになったり、焼きそばの具が多いとか少ないで少し言い合ったけど、楽しいお祭りになった。
移動のたびに手を繋いだけど、暗いし人ごみの中だからなのか日吉に文句を言われなかった。
暑くて汗ばんだ掌だったけど、握ると握り返してくれた。
最後にかき氷を食べながら花火を見る為に高台に向かう。
手に持った赤いかき氷と青いかき氷。
シャクシャクと氷の山を崩しながら歩いた。
「お前のもちょっとくれ」
「いいよ。あ、ベロ青くなってる」
「そっちは病的に真っ赤っかだぞ」
「赤なら健康的でしょうが、青はヤバいでしょ」
「うるさい。今から二人とも紫色になるんだよ!」
日吉がムキになってよこした青いかき氷を口に入れた。
「つめた、おいし」
「冷たさは同じだろうが」
「細かいなぁ~」
笑ってたらさほどお祭りの会場から離れてない高台についた。
周りも花火の為に訪れた人でガヤガヤとしている。
食べ終わったかき氷のカップを取り上げて一つにまとめる。あいた手をコッソリと繋いだ。
「おい、お祭りの場所よりは人少ないんだ。見えるだろ」
怒られたけど手を振りほどいたりはしない日吉に笑顔が零れる。
「大丈夫、もうすぐ花火だから誰も俺たちの手なんか見てないって」
「そうか?」
日吉の言葉と同時に空にドーンっと大きな音を立てて花が咲いた。
パチパチと遠くからも聞こえる弾ける音、たくさんの色がパッと開く。
「あっ、始まった」
手に力を入れた。
「始まったな」
周りの全然知らない人も含めてみんな同じ方向を見てる。
雷みたいに時間差でドーンドーンと聞こえ、ズレて空を飾る花火。
光が皆を照らす。
「キレイだね」
「あぁ」
「一緒に見れて良かった」
「そうだな」
「ねぇ、もう一つみたいのがあるんだけどさ?」
話してる間も次々に上がる花火が見つめる日吉の顔を彩った。
「何?」と口が動いたけどドーンと言う音で聞こえなかった。
俺がベーッと舌を出すと俺の意図を読み取った日吉もベーッと舌を出した。
二人とも紫色の舌をしてた。
end.
中学生っぽい会話ってどんなだろ。
忘れちゃったよ。
PR
この記事にコメントする
カウンター
カテゴリー
プロフィール
HN
ナオ太。
連絡先
kuroyagi_yuubin☆yahoo.co.jp
(☆→@に変更)
(☆→@に変更)