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風綾/階段

学怖の風綾です。
短いほのぼのかな。
意味ないです、内容もないし。普通の1シーンって感じ。


- 階段 -


放課後、夕暮れ、日が沈む。
鼻歌を歌いながら学内をウロウロしてる。
テスト最終日って事で午前中で殆どの生徒が帰ってしまってガランとした学校。
僕は周りでワイワイされるのも好きだけど、たまには一人でゆっくりと過ごすのも好きだから。
さっきまで裏庭の花壇横でボンヤリと本を読んでた。
細かいことを言うと、僕にはサッパリ意味が分からなかったから大半が捲られるだけだった。
有名な詩集らしい、でも、感じない詩はただの言葉。
僕の中に溶けやしない。
沈んで行く太陽はジワリと雲と町の端にジワリと溶け始めてる。
赤い光に目を細めて、逃げるように渡り廊下から校内に入った。
一人を楽しむために携帯も置いてきた。
静かな時間を過ごせたな。
満足感で足取りも軽く、跳ねるように歩いて行く。
丁度、テストも終わってしまったから、今日の夜は何をしようかなぁっと思った所で階段にさしかかった。
顔を上げると階段の踊り場に夕日で赤く染まった綾小路が立っていた。
窓を開けて外を見ている、後ろ姿でもよくわかるよ。
「綾小路ぃー」
名前を呼ぶと振り返った綾小路が詰まらなそうな声で「なんだ」と応えた。
逆光になって表情は見えない。
僕は黒い顔ににっこりと笑いかけて「最初はグー!」手を突き出した。
釣られた彼は咄嗟に手を出して僕とジャンケンをした。
「僕の勝ちー。ぱ い な つ ぷ る」
トントンッと階段を一段ずつ声と一緒に上る。
近づいて少しだけ綾小路の表情が見えた。
「お前、なに子供みたいな事してんだよ」
と、呆れた風に言うくせに再度「最初はグー!」っと手を出すとまた同じように手を出した。
「あれ、負けちゃった。ほら」
促すと綾小路が小さな声で「ぐ り こ」と階段を上った。
手すりを挟んで僕を見る綾小路は小さく笑ってた。
「僕たちはまだ子供だから良いんだ。無邪気で」
彼は、「あぁ」っと返事をして頭を掻いた。
「最初はグー、ジャンケン、ポン!」
今度は僕の勝ち。
「ち よ こ れ い と 食 べ た い な」
俺が階段を上がってより綾小路に近づいた。踊り場についたから、あと三段のところ。
「おい」と彼の低い声が降ってきて、ヘラリと笑った。
「なぁにぃ?」
「なにじゃねぇ、明らかに歩数増やすな、ズルだぞ」
「えぇ、ケチケチしないの!早く一緒に帰ろう?」
綾小路は返事をする変わりに手を突き出した。
「最初はグー!」と振られた拳を僕は掴み上げて引き寄せた。
バランスを崩した綾小路だけど反射的に踊り場の床に足をついて、僕に抱きしめられる。
文句を言おうと開いた口を塞いでしまうと髪の毛を引っ張られた。
口を話してやると「死ね」っと辛辣な言葉を吐いて僕の肩に顔を埋めた。
何それ、甘えてきてんの?
腕にギュッと力を入れてすぐに解放してやる。
赤い顔の意味が知りたいな。それとも夕日のせいかな。
「行こうか」と手を掴むと「誰かに見られるだろ」
誰かと言っても足音一つしない、校内。
それに、キスまでしておいて今更の言葉に彼の照れ隠しと受け取ろう。
笑って「大丈夫」と踏み出した。
「あ そ び に お い で」
一歩ずつ言葉を区切って言った。振り返ると「もうすぐ雨が来る」と綾小路は言った。



end.
実はこういう話凄く好き!
雰囲気だけ;;
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