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跡日/立場 後

立場の後編です。
パロです。苦手な方はスルーしてください。
前編読んでから、どうぞ。


- 立場 後 -


あの日から、跡部の顔を見ていない。一体何があったのだろう、突然居なくなると調子が狂う。別にそこまで絡んでいたわけでもないのに。
今日は店全体が強い雨のせいで客足も悪く客を呼びに行きたいが殆ど台風みたいな風と雨に中々一歩踏み出せず、少々活気がない。
あらかた仕事をこなして後は各テーブルの様子をうかがうように定位置に立っているとひょこひょことジローが横にやってきた。
「どうしたんですか?」
何か言いたそうに俺の顔を見るので聞いてみる。
「ひよさ、何したわけぇ」
「何って、何がですか?」
「もうっ!跡部の事!この頃、後半の部に顔出すようになったんだけど!」
跡部が後半の部では有るが、変わらずにこの店に顔を出してるとは知らなかった。
自分は前半の部でしか働いていないので顔を見ないはずだ。
「だからなんですか?俺に関係あるんですか?」
「ある!跡部は言わないけど、絶対関係あるしぃ!」
関係あると言われても俺と跡部は客とボーイって関係性以上には何もない。俺も知らないし相手も俺の事を知らないはず。
「ジローさんに言われても俺は何も思い当たる節がありませんから」
「えー、なんでなんで!ちゃんと考えてよ。あいつずっと元気もないんだって。前は俺の料理とかも美味しいって食べてくれたのに最近食欲もないみたいだし、他の奴も心配してるんだから!」
「他の奴って誰なんですか」
跡部についていたホストだろうか?
でも、跡部は固定のホストを選ばずに気分で選んでいたように記憶している。
「他って、もちろん、店の奴らだって」
「なんで」
「なんでって、あいつ経営者じゃん。そんで俺の友達でもあるし!」
「え?」
「え?」
驚いた。そんな、跡部が経営者だったなんて。だから独り酒も咎められる事なく出来ていたと言う事か。
「もしかして、今まで知らなかったの?跡部、他にも何店舗か経営してるから週に一・二回ぐらい午後の部に顔出す程度だったのに。ひよに会ってから時間作って来てたみたいだしさ」
「・・・そう、なんですか?」
「そうだよ、だから、ひよのこと気に入って会いに来てると思ったんだって。嬉しそうだったし。なのに最近・・・」
寂しそうにジローが日吉の顔を見上げてくる。
いくら見られても俺には原因もわからないし、どう対応すれば良いのか・・・。

悩んでも答えが出ないまま、時間は過ぎ、仕事を終えて帰ろうと思ったがあまりにも雨風が酷かったので帰る気にならなかった。
ぼんやりと控え室で壁の時計を見上げるばかりで、なかなか動けないでいる。
ジローが言った言葉を思い出す、何店舗も営業か・・・さぞ忙しいんだろうな。
独りの控え室で溜息みたいな大きな息をついた。
考えても仕方が無いので、とにかく、部屋にあるパイプ椅子に腰を下ろし雨脚が和らぐのを待つ事にした。
そして、まったく眠くなかったのに目を閉じるとスルリと眠りに落ちた。

「おい、日吉」
呼ばれてハッと目を覚ますと横に跡部が立っていた。
一瞬、何でお客がっと思ったが、そういえば跡部は裏側に居ても良い人物だった。
ずっと自分が知らなかっただけなのに、なんだか少し寂しく感じた。
「あ、とべさん」
まだぼんやりとした頭で見上げるとフゥッと跡部は息をついた。人の顔見て溜息って・・・。
ムッとした顔をすると「愛想笑いはできるんじゃなかったのか?」っとからかわれた、そして、
「お前、帰らなくて大丈夫か?もう遅いぞ?」
言われて今が1時を過ぎている事に気づいた。終電は既に行ってしまっている時間だ、歩いて帰れる距離だが外から今も強い雨の音がする。
「雨が・・・」
一言いうと、あぁっと納得した声を上げて少し考えた跡部が突拍子もない提案をして来た。

まさか、まさか跡部のマンションへ足を踏み入れるとは思ってもみなかった。
何度か断ったが、店では寝られないし雨はやむ気配も見せない、電車もとっくに終わってしまった。
俺に残された選択は跡部の好意を甘んじるしかなかった。
進められるままにシャワーを浴びて、貸してもらった服を着てリビングに行くとソファに座った跡部が何か書類を見ていた。
聞かなくてもそれが各店舗の売り上げの書類だと言うのがわかると身の置き場に困って立ち尽くしてしまう。ただのアルバイトが見ては良い物ではない。
俺の方に気づいた跡部がバサバサと書類を片付けたのでやっと近づけた。
「今日は俺がここで寝るから、お前は寝室で寝ろ」
隣に座るなり言われて「えっ」と声が出た。
「でも、なんか跡部さん今日顔色悪いし、ちゃんと休んだ方が・・・・」
「お前は客なんだから、そんな事気にしなくていい。それに少し寝不足なだけだ」
言って、時間も遅いので少し眠いのか跡部がコロンッと日吉の肩に頭を凭れさせた。変な緊張で身体が硬くなる。
なんで緊張してるのかもわからない。何か言わないともっと緊張が高まる気がしたので、前に見た跡部の表情の事を口にした。

今まで見た自信に満ちた顔と違て、あのときの浮かない顔は何だったのかと。

「・・・・あー」
低い間延びした声を聞いて、やはり跡部は疲れて眠いのかもしれない。
「あれは・・・・んー、まぁ。なんだか最近お前の事ばかり考えちゃうんだ」
「え?」
今、なんと言った?
頭が追いつけないのに、より緊張してシャワーを浴びたばかりなのに汗をかきそうだ。掌に自然と力が入る。
「つ、まり・・・?」
「お前が気になるんだ。愛想笑いってわかってても他の奴に向けられる顔にイラついたり・・・」
話している途中で跡部は体勢を立て直して俺にキスをした。突然の事で反応が出来なかった俺はされるがままにソファに押し倒されてしまった。
見上げる先の跡部は顔色が少々優れないが、眠そうな感じはまったく感じない。さっきのは演技・・・?
わざと眠たい振りをするなんて、最低だ。何より俺の、
「ファーストキス返してください」と、跡部の頭を引き寄せてキスをした。
跡部の驚いた顔を見て口端が上がった。
「俺も、気になります」
あなたの事が。
最後まで言えなかった。跡部が性急にキスをしてきて口が塞がれてしまったからだ。舌先で唇をくすぐられ、そっと開いた隙間から熱い舌が入ってくる。
息づかいもままならず苦しい。でも、とても幸福で胸がジンッと温かくなる。
「いいか?」っと聞かれてコクリと頷いた。


目を覚ますと雨が上がってカーテンの隙間から光が漏れて顔に当たる。
太陽が眩しい、目をつぶったまま隣から伸ばされた温かい腕に包まれてる。
息づかいがこんなにも近い。
昨日まで、客とボーイ。いや、経営者とアルバイトだったのに。今は隣に居る。
昨夜の行為を思い出して赤面したがこの手をほどいてもらわないと大学にもバイトにも行けなくなってしまう。
聞いてないが、跡部も昨日見ていた書類を片付けなくてはいけないはずだ。
また時間を作って俺の居る前半の部に顔を出してもらいたい、少しでも顔を見たいから。
だから、だから。

「おはようございます」


end.
むりやーり、終わらした感があるね!あるあるあr・・・・
何時か、端折ったエロ部分かきたいです、いつか、ね。はい。
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