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古→キョン/これが普通

5月なのにつゆ入るし、6月は蒸し暑く。夏はより暑くなるんだろうなって思ってます。
ダラッとした古キョンです。
オリジナルキャラ少し出てきます。

- これが普通 -


まだ6月に入ったばかりなのに、暑い。
暑くて頭が茹だってたから宿題を忘れた言い訳も上手に出てこなかった。
呆れ顔の先生は容赦なかった。
「お前なぁ・・・今日の放課後、体育館横の花壇の草取り手伝え。宿題を忘れたバツだ!」
嘘だろ、おい。
窓の外は晴れて太陽の強い眼差しが向けられている。
今日は暑いって、ホント、勘弁して欲しい。
宿題を忘れたのが自分だからイライラを向ける相手も居ない。
虚しいなっと席に着くと後ろの席から「もっとましな言い訳しなさいよね」と、小さな声が聞こえた。
うるせぇなぁ。
声には出さないで薄らと額に浮き上がった汗を手で拭った。

放課後、言われた通りにジャージに着替えて体育館横の花壇に来た俺。
目の前の割と若い先生が「お前真面目だな」っと褒めてくれたので「はい、真面目なんで言われた通りちゃんと来ました」
行ったら、授業中にも見た呆れ顔で「真面目なら宿題も忘れないでくれよ」と言われてしまった。
そりゃ、すみませんね。
手渡された軍手を手にはめ、ジャージの袖を肘まであげた。
先生と同じようにしゃがみ込んで草を抜き始める、少しして砕けた口調で話かけられた。
「お前、それ暑くないのか?」
夕方に向かう時間と言っても太陽は弱まる事なく俺たちの背中を睨んでいる。
「はぁ、暑いっすね」
今日一日、暑さで思考の溶けた俺はあまり考えずに答えた。
草取り予定してなかったし半袖持ってきてねぇんだよ、とは言えない。
「次は宿題忘れるなよー」
声には出さずに頷いて意を示した。なかなか上手く根っこまで抜けない雑草に溜息がかかった。
お互い実にもならない話をしながら草取りは進んで行く。
暑くて頭から汗が滑って目に入ってくる。
うー、邪魔臭い。
顔を上げて腕にたまってるジャージで汗を拭ったとき、体育館裏の男女を見た。
あれは・・・「お、古泉と加藤じゃないか、何だ告白か?」と、少しニヤついた顔で先生は言った。
加藤さんの事は知らないが古泉の事は知ってる、一応同じ部の仲間だしな。
先生が俺の方を見たので「かもしれませんね」と気のない返事をした。
「ま、今日はこれぐらいで終わるとするか」
俺の態度から何かを読み取ったのか変な気を使った先生はバツの草取りを終了してくれた。
渡された袋に抜いた雑草を詰め込んで、あとは頼んだっと先生は校内の方へ歩いて行った。
何を勘違いしたのかはわからないけど、思ったより早く終わって良かった。
グズグズしてると告白終わりの古泉と顔を合わせるかもしれない、役目のなくなった俺もそそくさと退散するはずだった。

どう言う運命なのか、ゴミ捨て場に袋を置いて戻ってきたタイミングで古泉とばったり会ってしまった。
今日は暑いからだけでなく、俺の運勢が災厄なんだな。
星占いのせいか?それとも、血液型占いか?
俺の前に、立つ古泉がばつ悪そうに「さっきの、見てましたよね?」聞いてきた。
んだよ、見てたよ。お前が可愛い女子と一緒に体育館裏に行くの。
告白だろ?お決まりの場所だもんな。
俺が体育館横の花壇に居たのはたまたまだがな。
「見た」
短く返すと苦々しい表情の古泉が「ですよね」と言う。
わかってる事をわざわざ聞いてくるんじゃねーよ。
「あの、今から体育館裏に行きませんか?」
「・・・・・なんでだよ?俺に告白でもすんのか?」
冗談のつもりで言ったのに、古泉は真面目くさった顔をして「はい」。
なんだそれ。俺、いま頭動かないんだからもっとわかりやすい言葉で言ってくれよ。
あと嘘つくなら、もっと気の利いた嘘ついてくれよ。
「わかりやすくて下手な嘘つくんじゃないよ」
少しイラついた声になった。俺の声に今度は困った顔をし小さな声で、
「本当なのに」と零された。
・・・・・・・マジで?俺を騙そうとかじゃなくて?
コイツの考えてる事って俺には高度過ぎて全然わかんない。
ついで言うと、目の前の古泉の照れてる感じをどう受け取ればいいのかわからない。
「告白するからって、わざわざ裏行かなくていいだろ?」
「普通、告白っぽいじゃないですか。体育館裏って」
「だからって・・・裏じゃないと駄目なわけ?」
「・・・・」
押し黙った古泉がチロリと俺の方を見て、すぐに俯いた。
そして、小さな声で「あなたが好きです」っと言ったので、俺は古泉にキスをしてやった。
嘘か本当かわからないけど、俺もお前の事好きだから、その冗談乗ってやるよ。
顔を赤くして照れ笑いを浮かべた古泉に「馬鹿」と言い、制服に着替えるために校内に入った。

これが、僕らの普通。



end.
体育館裏だからって、普通は告白ってイメージは私の中に1ミリもない。
だって薄暗くて汚いじゃん?学校によるだろうけどw
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