跡⇔日/あなたの手を取りたかった
両想いだけど別れる二人です。
大学生の時の別れを社会人になった日吉くんが思い出してるだけ。
読んでて暗い気持ちになるかも・・・。
- あなたの手を取りたかった -
目を開けたら平然といつもの日常が横たわっている。
不器用で無駄に真っ直ぐな性格でぶつかる壁もあった。
でも、俺は生きている。
生きるために仕事に行って、買い物して、たまに友人に付き合ったり。
趣味もそこそこに変わらない毎日を。
幸せかどうかはわからない。
誰かが居なくても俺は生活してく。
「もう、無理です」
浅はかだった。現実を見ているようで見ていなかった。
お互いに子供だった。好き同士なら何とかなると思って疑わなかった。
泣けば解決出来る訳でもないのに胸の奥からこみ上げるものが涙になって零れた。
俺の泣き顔を見て跡部さんは酷く複雑な表情をした。
本当は彼も泣きたかったんだろう。
手を伸ばしたら縋ってしまいそうだったから、自分を抱き込むように身体を硬くした。
「無理・・・。無理なんです」
グズグズと鼻がなって、格好わるい姿を見せてるのに止められなかった。
俺の一人暮らししてる家に来た跡部さんを部屋にもあげずに押し返した。
「帰って、ください」
そんな姿を黙って見ていた彼が小さな声で「ごめん」と言った。
それっきり、彼には会ってない。
好きだ。今も変わらなく好きだ。
でも、好きだけじゃ駄目だと別れの時に知った。
別れたくないと思ったけど、解決策も見つけられないままに。
時間が経って前よりは経験しても未だに答えが出せない。
別れを受け入れる事が正解だったのかもしれない。
ただ、心の痛みは癒えることが無い。
当時は悲しくて虚しくて、自分に腹が立って、好きと言う気持ちがそのまま自分を攻撃した。
気持ちが大きい分、痛くて毎晩泣いた。
大学生時代だった。彼に「無理です」と伝えた翌日、変わらず大学へ足を運んだ。
昼間は暗い気持ちを忘れるように授業に打ち込んで、中時間は図書館で本を読んで考えないようにした。
あの時から俺は逃げることしかしていない。
家にやってきた跡部さんはいつもの顔じゃなかった。と、記憶してるだけでどんな顔だったのか全く思い出せない。
悲しそうだったかもしれないし、すまなそうだったのかもしれない。もしかしたら表情を作る元気もなくて無表情だったかもしれない。
玄関先で聞いた彼の婚約者の話。
当たり前だ、彼は将来背負う物が大きい。そんなのわかっていたはずなのに。
彼の背景なんか気にせずに目の前の彼が好きだったから、気づかないふりをしていた。いや、俺たちなら乗り越えられると信じていたのかもしれない。
もしかしたら、婚約者の話を蹴ってくれと泣きつけば良かったのかな。
彼の足を引っ張ることはしたくなかった。
プライドとかでなく、互いに尊敬し合う関係で居たかった。どちらかに寄りかかるのでなく真っ直ぐと地に足を立って一人で立って。そして、心地よい二人の時間を過ごしたかった。
好きだと言って温かい肌に触れて、笑い合ったりして。普通で良かった。
特別な物は求めてなかった。特別だったのに特別と気づけなかった関係は崩れた。
彼が居なくても僕は息をしてる。
寝る前に彼との別れた時を思い出していたせいか、涙が乾いて肌が少し突っ張った感触。
手で目元を擦ってみれば、もう、泣いてない。
カーテンの隙間から見える外はまだ薄暗く夜は明けてない。
春になって昼は温かいが朝方はまだ冷える。
肩に布団を引き寄せて、もう一度眠りについた。
end.
大学生の時の別れを社会人になった日吉くんが思い出してるだけ。
読んでて暗い気持ちになるかも・・・。
- あなたの手を取りたかった -
目を開けたら平然といつもの日常が横たわっている。
不器用で無駄に真っ直ぐな性格でぶつかる壁もあった。
でも、俺は生きている。
生きるために仕事に行って、買い物して、たまに友人に付き合ったり。
趣味もそこそこに変わらない毎日を。
幸せかどうかはわからない。
誰かが居なくても俺は生活してく。
「もう、無理です」
浅はかだった。現実を見ているようで見ていなかった。
お互いに子供だった。好き同士なら何とかなると思って疑わなかった。
泣けば解決出来る訳でもないのに胸の奥からこみ上げるものが涙になって零れた。
俺の泣き顔を見て跡部さんは酷く複雑な表情をした。
本当は彼も泣きたかったんだろう。
手を伸ばしたら縋ってしまいそうだったから、自分を抱き込むように身体を硬くした。
「無理・・・。無理なんです」
グズグズと鼻がなって、格好わるい姿を見せてるのに止められなかった。
俺の一人暮らししてる家に来た跡部さんを部屋にもあげずに押し返した。
「帰って、ください」
そんな姿を黙って見ていた彼が小さな声で「ごめん」と言った。
それっきり、彼には会ってない。
好きだ。今も変わらなく好きだ。
でも、好きだけじゃ駄目だと別れの時に知った。
別れたくないと思ったけど、解決策も見つけられないままに。
時間が経って前よりは経験しても未だに答えが出せない。
別れを受け入れる事が正解だったのかもしれない。
ただ、心の痛みは癒えることが無い。
当時は悲しくて虚しくて、自分に腹が立って、好きと言う気持ちがそのまま自分を攻撃した。
気持ちが大きい分、痛くて毎晩泣いた。
大学生時代だった。彼に「無理です」と伝えた翌日、変わらず大学へ足を運んだ。
昼間は暗い気持ちを忘れるように授業に打ち込んで、中時間は図書館で本を読んで考えないようにした。
あの時から俺は逃げることしかしていない。
家にやってきた跡部さんはいつもの顔じゃなかった。と、記憶してるだけでどんな顔だったのか全く思い出せない。
悲しそうだったかもしれないし、すまなそうだったのかもしれない。もしかしたら表情を作る元気もなくて無表情だったかもしれない。
玄関先で聞いた彼の婚約者の話。
当たり前だ、彼は将来背負う物が大きい。そんなのわかっていたはずなのに。
彼の背景なんか気にせずに目の前の彼が好きだったから、気づかないふりをしていた。いや、俺たちなら乗り越えられると信じていたのかもしれない。
もしかしたら、婚約者の話を蹴ってくれと泣きつけば良かったのかな。
彼の足を引っ張ることはしたくなかった。
プライドとかでなく、互いに尊敬し合う関係で居たかった。どちらかに寄りかかるのでなく真っ直ぐと地に足を立って一人で立って。そして、心地よい二人の時間を過ごしたかった。
好きだと言って温かい肌に触れて、笑い合ったりして。普通で良かった。
特別な物は求めてなかった。特別だったのに特別と気づけなかった関係は崩れた。
彼が居なくても僕は息をしてる。
寝る前に彼との別れた時を思い出していたせいか、涙が乾いて肌が少し突っ張った感触。
手で目元を擦ってみれば、もう、泣いてない。
カーテンの隙間から見える外はまだ薄暗く夜は明けてない。
春になって昼は温かいが朝方はまだ冷える。
肩に布団を引き寄せて、もう一度眠りについた。
end.
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