跡日/天気
高校生跡日の跡部さん卒業の話。
思った以上に女々しい二人になりました(滅)。
そして、ちと胡散臭いです(爆)。別人注意・・・。
- 天気 -
声には出さずに口の中でお願いをした。
あーした天気になぁれー。
間延びして子供っぽい節と音程。
見上げる空は灰色の雲と水色の空が見え隠れする。
帰り道に手に持った傘、肩にかかった鞄。
今日で彼と帰るのも終わり。
明日、彼は卒業する。
中学からエレベーター式に上がった高校生活も終了し、次の道に進む。
進路の事で色々と話をした。
彼の未来に文句をつける筋合いは無いが、ただ一つ覚えてて欲しいとお願いした。
「俺が、あんたの事が好きってのを覚えててくれるなら何処へ行っても良いです」
俺の言葉に驚いた顔を見せて、すぐにいつもの不敵で、俺の好きな笑顔を浮かべた。
何処へ行っても彼は彼でしかなく、知らずに人気を集める魅力的な人。
知恵や名声も関係なく努力を惜しまない、俺な好きな人。
大切な人。
何処で何をやっていようと、俺から好かれてると覚えててくれればなんだって許してやる。
いや、俺が好きで居ても良いと許して欲しい。
にっこりと笑って彼は俺の髪を撫でた。
「もちろんだ、それと俺が好きなのもお前だけだ、ずっとな」
「明日、卒業式ですね」
「あぁ」
「どうしたんですか?」
上の空でいつもの覇気が感じられない。
道はしに出来た水たまりに自分たちの影が映った。
「別になんでもない」
「誤摩化すなんて、らしくないですよ」
「珍しく緊張してんだよ」
ふんっと息をついて、互いに手を繋いだ。
名前を呼ばれて彼の方に顔を向けると「明日、11時半には解散だ。そしたら部室前に来い」
「先輩たちとお別れパーティーとか行くんじゃないんですか?」
嬉しそうに話かけてきた芥川さんを思い出す。
「すぐ終わるから、来いよ。絶対に」
言えばちょうど家の前でサヨナラの挨拶も聞かずに跡部さんは帰って行った。
翌日、俺の願いが届いたのか、空は晴天。
体育館に集められた卒業生、在校生、先生、保護者たち。
窓から差し込む光がキラキラとなかを照らし、胸元に花をさした先輩たちは精悍な顔つきで前を見つめていた。
式は順調に終わり、退場する先輩を拍手で送りだして俺たち在校生は式の片付けをして終了だ。
卒業生たちは今頃、教室で担任の言葉などを聞いて同級生と写真を写したりしてるんだろうな。部活のメンバーとは部の卒業の時にした。
長太郎がおいおいと涙を流しているが面倒なので話かけなかった。
俺は絶対に来るようにと言った跡部さんの事を思い出して式とは少し違った緊張を感じていた。
「遅いですよ」
十一時半を少し過ぎ、腕時計を何度も見て進まない時間にイライラしながら部室前で待っていると遅れて跡部さんが来る。
「おそくなって悪かった」
人気者の彼の事だから皆が放してくれなかったのは容易に想像出来るのに、緊張から生意気な言葉しか出てこなかった。
見ると制服のボタンが無くなっていた。
小さく胸を突く痛み、あげたんですか、なんて聞けない。
「日吉、これ」
唐突な物言いと同時に突き出された手。
ソッと手を出すと、ころりと手の中にボタンと銀の指輪が転がる。
「えっ」
「第一ボタンと指輪」
ロマンチックな演出が好きな彼にしては珍しい行為。
場所やタイミングなど全く趣向にあわない。
驚いて手の中のものをジッと見つめる。
「ボタンはお前のために残しといた。それと、指輪は部活中とか邪魔かもしれないけど、出来る時にはめてくれると嬉しい。今まで以上に一緒には居られないから・・・」
そう言って俺の手を握り込んだ跡部さんの指にも銀の指輪が光っていた。
end.
しょぼい(殴)
思った以上に女々しい二人になりました(滅)。
そして、ちと胡散臭いです(爆)。別人注意・・・。
- 天気 -
声には出さずに口の中でお願いをした。
あーした天気になぁれー。
間延びして子供っぽい節と音程。
見上げる空は灰色の雲と水色の空が見え隠れする。
帰り道に手に持った傘、肩にかかった鞄。
今日で彼と帰るのも終わり。
明日、彼は卒業する。
中学からエレベーター式に上がった高校生活も終了し、次の道に進む。
進路の事で色々と話をした。
彼の未来に文句をつける筋合いは無いが、ただ一つ覚えてて欲しいとお願いした。
「俺が、あんたの事が好きってのを覚えててくれるなら何処へ行っても良いです」
俺の言葉に驚いた顔を見せて、すぐにいつもの不敵で、俺の好きな笑顔を浮かべた。
何処へ行っても彼は彼でしかなく、知らずに人気を集める魅力的な人。
知恵や名声も関係なく努力を惜しまない、俺な好きな人。
大切な人。
何処で何をやっていようと、俺から好かれてると覚えててくれればなんだって許してやる。
いや、俺が好きで居ても良いと許して欲しい。
にっこりと笑って彼は俺の髪を撫でた。
「もちろんだ、それと俺が好きなのもお前だけだ、ずっとな」
「明日、卒業式ですね」
「あぁ」
「どうしたんですか?」
上の空でいつもの覇気が感じられない。
道はしに出来た水たまりに自分たちの影が映った。
「別になんでもない」
「誤摩化すなんて、らしくないですよ」
「珍しく緊張してんだよ」
ふんっと息をついて、互いに手を繋いだ。
名前を呼ばれて彼の方に顔を向けると「明日、11時半には解散だ。そしたら部室前に来い」
「先輩たちとお別れパーティーとか行くんじゃないんですか?」
嬉しそうに話かけてきた芥川さんを思い出す。
「すぐ終わるから、来いよ。絶対に」
言えばちょうど家の前でサヨナラの挨拶も聞かずに跡部さんは帰って行った。
翌日、俺の願いが届いたのか、空は晴天。
体育館に集められた卒業生、在校生、先生、保護者たち。
窓から差し込む光がキラキラとなかを照らし、胸元に花をさした先輩たちは精悍な顔つきで前を見つめていた。
式は順調に終わり、退場する先輩を拍手で送りだして俺たち在校生は式の片付けをして終了だ。
卒業生たちは今頃、教室で担任の言葉などを聞いて同級生と写真を写したりしてるんだろうな。部活のメンバーとは部の卒業の時にした。
長太郎がおいおいと涙を流しているが面倒なので話かけなかった。
俺は絶対に来るようにと言った跡部さんの事を思い出して式とは少し違った緊張を感じていた。
「遅いですよ」
十一時半を少し過ぎ、腕時計を何度も見て進まない時間にイライラしながら部室前で待っていると遅れて跡部さんが来る。
「おそくなって悪かった」
人気者の彼の事だから皆が放してくれなかったのは容易に想像出来るのに、緊張から生意気な言葉しか出てこなかった。
見ると制服のボタンが無くなっていた。
小さく胸を突く痛み、あげたんですか、なんて聞けない。
「日吉、これ」
唐突な物言いと同時に突き出された手。
ソッと手を出すと、ころりと手の中にボタンと銀の指輪が転がる。
「えっ」
「第一ボタンと指輪」
ロマンチックな演出が好きな彼にしては珍しい行為。
場所やタイミングなど全く趣向にあわない。
驚いて手の中のものをジッと見つめる。
「ボタンはお前のために残しといた。それと、指輪は部活中とか邪魔かもしれないけど、出来る時にはめてくれると嬉しい。今まで以上に一緒には居られないから・・・」
そう言って俺の手を握り込んだ跡部さんの指にも銀の指輪が光っていた。
end.
しょぼい(殴)
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