木火/大きな手
一日一火神くん。
木火で、お互いの手が好きな二人。
7/27分。
- 大きな手 -
木吉先輩の手が好きだ。
大丈夫だぞっと、背を叩かれるのも。褒めてくれる時に少し乱暴な手つきで頭を撫でられるのも。
バスケをやっていると、自分よりも体格の良い選手に会うなんてのは、多々ある。だけど、こんなにも、安心できる手を持ってる人に会うのは初めてだ。
いつもニコニコと、笑っていて、優しいし、おっとりとしているのに、きっちり怒ったりもする。だけど、怒った後に、「分かったな」と、頭を包むように大きな手でポンッと触れられると、ドキドキする。
部活の休憩中、水分を取り横に並んだ時に一度、「先輩って、なんか、親父っぽいです」と、自分としては褒め言葉だったつもりなのに、
「おやじかぁー」っと、少し寂しげに零した。
自分は褒めていたので、笑顔を向けていたので、同じように笑顔が返ってこないのが不思議だった。
あれ?また俺ミスったか?っと思っていると、優しい手が俺の頭を撫でる。
よしよし、よしよし。少し強めで、乱暴でない手つき。
だけど嬉しい。へへへっと、笑うと、先輩も今度は笑った。
「手が大きくていいですよね」
「ん?バスケに有利そうだって?」
「や、それもそうなんですけど、デカくて、包まれた感じが」
「そっか、ちょっと、お前も俺の頭撫でてみてくれよ」
そういって、少しだけ身をかがめてきた。始めてみた相手のつむじに、何故か少し笑ってしまった。
「なんだよ、頭見て笑うとかやめてくれよ。まだ若いんだから禿げてないぞ」
「いえ、そういうんじゃねーですよ」
人の頭なんて撫でたことなかったので、恐る恐る手を伸ばしてみた。
自分より少し硬い手触りの髪の毛。指に触れる髪が逆に指を撫でてるように感じて心地よい。
「おっ、なんか不思議だな。頭撫でられるのって」
新鮮だ、なんだと、先輩は喜んでいる。可愛いなっと思って、首にかけてたタオルで緩んだ口元を隠した。
「そろそろ休憩終わりよっ」と、元気な監督の声が聞こえた。
二人して声のしたほうを振り返り、「ありがとう」と、御礼を口にした先輩が再度、俺の頭を撫でてくれた。
撫でるよりも、撫でられたほうが、心がフワフワするなっと、思いつつ。俺に撫でられて喜んでいる先輩を見るのも、また良かったなっと考える。
また練習へ戻るため、タオルを置いたタイミングで喜んでる声を思い出して、耳がくすぐったく感じた。
end.
木火で、お互いの手が好きな二人。
7/27分。
- 大きな手 -
木吉先輩の手が好きだ。
大丈夫だぞっと、背を叩かれるのも。褒めてくれる時に少し乱暴な手つきで頭を撫でられるのも。
バスケをやっていると、自分よりも体格の良い選手に会うなんてのは、多々ある。だけど、こんなにも、安心できる手を持ってる人に会うのは初めてだ。
いつもニコニコと、笑っていて、優しいし、おっとりとしているのに、きっちり怒ったりもする。だけど、怒った後に、「分かったな」と、頭を包むように大きな手でポンッと触れられると、ドキドキする。
部活の休憩中、水分を取り横に並んだ時に一度、「先輩って、なんか、親父っぽいです」と、自分としては褒め言葉だったつもりなのに、
「おやじかぁー」っと、少し寂しげに零した。
自分は褒めていたので、笑顔を向けていたので、同じように笑顔が返ってこないのが不思議だった。
あれ?また俺ミスったか?っと思っていると、優しい手が俺の頭を撫でる。
よしよし、よしよし。少し強めで、乱暴でない手つき。
だけど嬉しい。へへへっと、笑うと、先輩も今度は笑った。
「手が大きくていいですよね」
「ん?バスケに有利そうだって?」
「や、それもそうなんですけど、デカくて、包まれた感じが」
「そっか、ちょっと、お前も俺の頭撫でてみてくれよ」
そういって、少しだけ身をかがめてきた。始めてみた相手のつむじに、何故か少し笑ってしまった。
「なんだよ、頭見て笑うとかやめてくれよ。まだ若いんだから禿げてないぞ」
「いえ、そういうんじゃねーですよ」
人の頭なんて撫でたことなかったので、恐る恐る手を伸ばしてみた。
自分より少し硬い手触りの髪の毛。指に触れる髪が逆に指を撫でてるように感じて心地よい。
「おっ、なんか不思議だな。頭撫でられるのって」
新鮮だ、なんだと、先輩は喜んでいる。可愛いなっと思って、首にかけてたタオルで緩んだ口元を隠した。
「そろそろ休憩終わりよっ」と、元気な監督の声が聞こえた。
二人して声のしたほうを振り返り、「ありがとう」と、御礼を口にした先輩が再度、俺の頭を撫でてくれた。
撫でるよりも、撫でられたほうが、心がフワフワするなっと、思いつつ。俺に撫でられて喜んでいる先輩を見るのも、また良かったなっと考える。
また練習へ戻るため、タオルを置いたタイミングで喜んでる声を思い出して、耳がくすぐったく感じた。
end.
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氷火/指輪
一日一火神くん。
氷火で、ベタベタする二人。
7/26分。
- 指輪 -
新しい指輪をもらった。
子供の時にもらったものと、明らかにグレードの高いものだ。
手の中に納まる、自分には不釣り合いに感じるほど、繊細なラインで表現された一生。
表からは見えない裏側に小さな石がさり気なくはめ込まれてる。相手を連想するような涼しげな透明。きらりと輝いて、眩しく感じ、何度も瞬きをした。
バスケでこじれた関係を、またバスケが直してくれた。どことなく歪なカタチではあるにせよ、只管にタツヤの事が大好きで憧れ。
もう、曖昧な態度をとらなくてもイイ、また兄弟のようになれたと喜んでいた。
タツヤはかっこよくて、最高だな。俺の欲しいものを与えてくれる。
そう思っていたら、指輪をもらった。
鈍感な俺にもわかる。これは、友情や兄弟の証でない存在の指輪。
タツヤが悪戯に買ってくるような性格ではない。
夏休みを利用してコチラに遊びに来るというので、駅で待ち合わせした夕方。俺は部活があるから迎えに行くのは、夕方になりそうだと事前に知らせていたので、カフェで時間をつぶしていたタツヤを見つけた時は、いつも通りに見えた。
帰り道にココ最近あった出来事、主にバスケだが、を、話しながら家に到着した。
疲れたし、日中は運動しなくても暑いだろっと、風呂に入るように勧め、その間に夕食の準備をして、二人で夕食を食べ、泊めてもらうからと皿洗いを買って出てくれた彼に甘えて俺も風呂に入った。
サッパリとした状態でリビングに足を向けると、鞄を整理していたタツヤが、真剣な顔で俺に手渡してくれたのが指輪だった。
「あれ、コレ、高級そうだな」
学生の平均的な財布事情はよくわからないけど、手の中に納まる儚い指輪を眺めた。物をプレゼントされて、金額の事を突っ込むのは失礼だと思いつつも、自分なんかに、こんな高価な贈り物をするなんて考えたこともなかった。
「大我、ちょっと失礼。金額は、考えないでくれ、自分が渡したくて選んだんだ」
「あっ、ご、ごめん。自分なんかに、こんな、高そうなもの貰っちゃって、動揺してるというか・・・」
恋人でもない二人の間に、好きな相手に送るような指輪。ファッションとかでなく、愛の印のような。つるりとした柔らかなカーブなのに、込められた物は強そうだなっと感じた。
「何言ってるの、自分なんかに、じゃなくて、大我だからだよ。恋人になろう」
「えっ!?」
驚いた。驚きすぎて、パチパチと瞬きを繰り返していると、クスリと小さく笑い声を零したタツヤが、「じゃぁ、恋人の練習してみて、いけそうだったらで、イイよ」
練習っと、噛みしめても、上手く飲み込めなかった。
タツヤの滞在は二泊三日。明日はデートしようよと、言われたが、デートって何するんだろう。
寝る前に「おやすみ」の挨拶と一緒に髪を撫でられた。ベット横に敷いた客用の布団から寝息が聞こえる。なんか、ドキドキするな。
目をつむり、綺麗な顔を見る。タツヤ、モテそうなのに俺を選んでくれるんだなっと、サイドボードに置いた指輪へ視線を向けた。
翌朝、練習は始まった。買い物でも行こうよっと、近くのショッピングモールへ出かけた。スポーツ用品店中心に冷かして歩く。どことなく距離が近いように感じる。
店の中を歩いていると、すれ違う女の子がタツヤの方を盗み見ること数回。少しだけ、胸が苦しい。今練習してるだけだけど、自分の恋人らしいから。
関係性に名前が付けられると、自分の気持ちも、名づけられた事で意識するのかな。チラリと、横を歩く彼を見ると、周りの見ていた女の子には向けない笑顔を俺に向けてくれる。
「タツヤって、前からかっけぇと思ってたけど、モテるんだな」
「ふふふっ、そんなことないよ。周りからより、大我からモテたい」
柔らかな笑みをこぼすタツヤは、なんかズルいなっと思った。そのタイミングで手を繋がれた。
「恋人だから、周りじゃなくて、こっちに集中して」と、注意を受ける。
ズルい。ズルいが積み重なるけど、嫌いになれない。それから、恥ずかしいのに、ショッピングモールを男二人で手を繋いで歩いた。案外周りは気にしないもんなんだな。
帰りに、食品売り場で、食材を購入し、夕食と風呂を済ませ、寝るまでの少しの時間をテレビを見ながら過ごした。
普段テレビを見る生活をしてないので、興味がわかないでなく、ソファで横並びに座ったタツヤが、手を繋いで来たり、肩にすり寄ってきたりして、なんだか落ち着かない。
「キスしようよ」
「え」
「練習中だろ。はい」と、目を閉じて俺からのアクションを待つ。
「えっ、タツヤからしてくれないの?」
「大我の好きなタイミングでさせてあげようと思ったのに、こっちからしても良いんだ?」
問いに答える前に唇をかすめる柔らかさに、驚く。アレックスがしてくるみたいな物と全く違う。
驚いて、相手を見つめると、「もう一回」と、また柔らかな唇がふれた。
「・・・な、なんか、ドキドキする」
「そ?良かった。意識してくれて嬉しいよ」
「・・・タツヤは俺の憧れで、兄貴みたいな存在。前から、カッコいいけど」
「うん、それで?」
髪を撫でられ、続きを促される。恥ずかしくて、視線が向けられない。黙っていると、
「練習してよかった。これからもドンドン意識させるから」
「・・・」
「兄貴的存在じゃ、満足できないよ」
笑って、惚れさせるから、それまで指輪は大事にしろよっと、言われた。
今夜寝る前に「おやすみ」の挨拶と一緒に髪を撫でられた。
ベット横の客用布団に寝てるタツヤの寝顔を見る。なんか、やっぱドキドキするな。
昨日から同じ所に置きっぱなしの指輪を見て、やっぱり彼は、俺の欲しいものをくれるのかもしれないなっと、考えながら、目を閉じた。
end.
氷火で、ベタベタする二人。
7/26分。
- 指輪 -
新しい指輪をもらった。
子供の時にもらったものと、明らかにグレードの高いものだ。
手の中に納まる、自分には不釣り合いに感じるほど、繊細なラインで表現された一生。
表からは見えない裏側に小さな石がさり気なくはめ込まれてる。相手を連想するような涼しげな透明。きらりと輝いて、眩しく感じ、何度も瞬きをした。
バスケでこじれた関係を、またバスケが直してくれた。どことなく歪なカタチではあるにせよ、只管にタツヤの事が大好きで憧れ。
もう、曖昧な態度をとらなくてもイイ、また兄弟のようになれたと喜んでいた。
タツヤはかっこよくて、最高だな。俺の欲しいものを与えてくれる。
そう思っていたら、指輪をもらった。
鈍感な俺にもわかる。これは、友情や兄弟の証でない存在の指輪。
タツヤが悪戯に買ってくるような性格ではない。
夏休みを利用してコチラに遊びに来るというので、駅で待ち合わせした夕方。俺は部活があるから迎えに行くのは、夕方になりそうだと事前に知らせていたので、カフェで時間をつぶしていたタツヤを見つけた時は、いつも通りに見えた。
帰り道にココ最近あった出来事、主にバスケだが、を、話しながら家に到着した。
疲れたし、日中は運動しなくても暑いだろっと、風呂に入るように勧め、その間に夕食の準備をして、二人で夕食を食べ、泊めてもらうからと皿洗いを買って出てくれた彼に甘えて俺も風呂に入った。
サッパリとした状態でリビングに足を向けると、鞄を整理していたタツヤが、真剣な顔で俺に手渡してくれたのが指輪だった。
「あれ、コレ、高級そうだな」
学生の平均的な財布事情はよくわからないけど、手の中に納まる儚い指輪を眺めた。物をプレゼントされて、金額の事を突っ込むのは失礼だと思いつつも、自分なんかに、こんな高価な贈り物をするなんて考えたこともなかった。
「大我、ちょっと失礼。金額は、考えないでくれ、自分が渡したくて選んだんだ」
「あっ、ご、ごめん。自分なんかに、こんな、高そうなもの貰っちゃって、動揺してるというか・・・」
恋人でもない二人の間に、好きな相手に送るような指輪。ファッションとかでなく、愛の印のような。つるりとした柔らかなカーブなのに、込められた物は強そうだなっと感じた。
「何言ってるの、自分なんかに、じゃなくて、大我だからだよ。恋人になろう」
「えっ!?」
驚いた。驚きすぎて、パチパチと瞬きを繰り返していると、クスリと小さく笑い声を零したタツヤが、「じゃぁ、恋人の練習してみて、いけそうだったらで、イイよ」
練習っと、噛みしめても、上手く飲み込めなかった。
タツヤの滞在は二泊三日。明日はデートしようよと、言われたが、デートって何するんだろう。
寝る前に「おやすみ」の挨拶と一緒に髪を撫でられた。ベット横に敷いた客用の布団から寝息が聞こえる。なんか、ドキドキするな。
目をつむり、綺麗な顔を見る。タツヤ、モテそうなのに俺を選んでくれるんだなっと、サイドボードに置いた指輪へ視線を向けた。
翌朝、練習は始まった。買い物でも行こうよっと、近くのショッピングモールへ出かけた。スポーツ用品店中心に冷かして歩く。どことなく距離が近いように感じる。
店の中を歩いていると、すれ違う女の子がタツヤの方を盗み見ること数回。少しだけ、胸が苦しい。今練習してるだけだけど、自分の恋人らしいから。
関係性に名前が付けられると、自分の気持ちも、名づけられた事で意識するのかな。チラリと、横を歩く彼を見ると、周りの見ていた女の子には向けない笑顔を俺に向けてくれる。
「タツヤって、前からかっけぇと思ってたけど、モテるんだな」
「ふふふっ、そんなことないよ。周りからより、大我からモテたい」
柔らかな笑みをこぼすタツヤは、なんかズルいなっと思った。そのタイミングで手を繋がれた。
「恋人だから、周りじゃなくて、こっちに集中して」と、注意を受ける。
ズルい。ズルいが積み重なるけど、嫌いになれない。それから、恥ずかしいのに、ショッピングモールを男二人で手を繋いで歩いた。案外周りは気にしないもんなんだな。
帰りに、食品売り場で、食材を購入し、夕食と風呂を済ませ、寝るまでの少しの時間をテレビを見ながら過ごした。
普段テレビを見る生活をしてないので、興味がわかないでなく、ソファで横並びに座ったタツヤが、手を繋いで来たり、肩にすり寄ってきたりして、なんだか落ち着かない。
「キスしようよ」
「え」
「練習中だろ。はい」と、目を閉じて俺からのアクションを待つ。
「えっ、タツヤからしてくれないの?」
「大我の好きなタイミングでさせてあげようと思ったのに、こっちからしても良いんだ?」
問いに答える前に唇をかすめる柔らかさに、驚く。アレックスがしてくるみたいな物と全く違う。
驚いて、相手を見つめると、「もう一回」と、また柔らかな唇がふれた。
「・・・な、なんか、ドキドキする」
「そ?良かった。意識してくれて嬉しいよ」
「・・・タツヤは俺の憧れで、兄貴みたいな存在。前から、カッコいいけど」
「うん、それで?」
髪を撫でられ、続きを促される。恥ずかしくて、視線が向けられない。黙っていると、
「練習してよかった。これからもドンドン意識させるから」
「・・・」
「兄貴的存在じゃ、満足できないよ」
笑って、惚れさせるから、それまで指輪は大事にしろよっと、言われた。
今夜寝る前に「おやすみ」の挨拶と一緒に髪を撫でられた。
ベット横の客用布団に寝てるタツヤの寝顔を見る。なんか、やっぱドキドキするな。
昨日から同じ所に置きっぱなしの指輪を見て、やっぱり彼は、俺の欲しいものをくれるのかもしれないなっと、考えながら、目を閉じた。
end.
紫火/食事の後で
一日一火神くん。
紫火で、デザート食べる二人。
7/25分。
- 食事の後 -
紫原が泊まりに来た。本当は、タツヤも一緒に来る予定だったけど、紫原だけ。
タツヤは急に都合がつかなくなって、来れなくなったとの事。夏休み中にキセキのメンバーとプラスしてバスケ好きが集まり、ストバスをする約束で、「室ちん行くって言ってたし、俺も行く」と、発言したらしいが、タツヤが居ない今、何故奴が、俺の家に泊まりに来ているのか、理解に苦しむ。
「明日、朝、ちゃんと起こしてよねぇ」っという発言に、相手は俺のことを、目覚ましと、飯炊きの機会とでも思っているのかもしれない。
あと、集合場所から、俺の家が近いことか・・・?
あまり会話のはずまないなか、とりあえず、出来ることで歓迎してやろうと、「飯は何がイイ?」と、尋ねてみる。
「あー、甘いもの食べたいんだけど、なんか作れる?」
「あ、甘いもの?かぼちゃ甘く煮た奴とかか・・・?」
「違う違う、デザート。ご飯は、それのおまけでイイよ」
「ダメだ、今の時期ちゃんと食事取らないと、夏バテとかするぞ。明日は、また暑いだろうから、ちゃんと食べてもらわないと」
「あー、もう、ご飯はそれなりでイイって、それより、デザートは?」
「あー、なんだろう、ゼリーとか?」
「それも食べたいけど、もうひと押し」
「・・・アイスクレープ」
俺の提案に、パッと顔を上げた紫原は、急にご機嫌に笑い、「イイじゃん、火神のくせに」と、要らん一言まで零した。
別に喧嘩がしたいわけでもないので、文句をぐっと飲み込んで、「じゃぁ、俺今から、夕食作るから、ちょっと、アイス買ってきてくれよ」と、返す。
「いいよぉー、暑いけど、アイスクレープのためぇ」
ご機嫌に語尾を伸ばし、財布と、折りたたんだマイバックを持たせた。保冷のある小ぶりのバックだ。保冷剤も一緒に入れて。
「チョコソースと、バナバは家にあるから、アイス・・・そうだな、二つぐらいカップのやつ」
俺の言葉を聞いているのか、いないのか、「んーっ」と、間延びした返事をして、靴をひっかけて買い物に行ってくれた。
とりあえず、紫原が出て行ったので、普段とは違うが、ぶどうのジュースで簡単にゼリーを作り、透明の器に液を注ぎラップして、冷凍庫に入れた。
次に日常と同じように夕食を作る。簡単に炒め物と、汁物、炊いた飯に、焼き魚は・・・食べるの面倒くさいと買いそうだから、ささみを茹でてサラダの上にたっぷり乗せたものを作った。
とにかく、手早く作ったので、スーパーからそろそろ戻ってきてもいい頃かなっと、チラリと時計を見たタイミングで、インターホンが鳴る。
「はいはい」と返事をすると、「暑いから早く中に入れて」と、言われるまま玄関へ招き入れる。
「おかえり、ありがとな」
「うー、夕方なのに、地獄のような暑さだったよぉ」
「おい、買い物多くないか!?」
小さな保冷バックに、ぎゅうぎゅうに4つもアイスが入っていた。2つは言われた通りカップアイス。もう2つは、もなかアイスと、パピコ。
「うるさいなぁ~、大丈夫だって、カップアイスと、もなかは僕が食べるし、パピコは半分上げてもイイよ」
「全部お前のかよ」
「うそうそ、半分こでイイよ。アイスクレープ、ゼリーも待ってるし」
「・・・・でも、飯食ってからだからな」
「わかってるって」
「キッチリ食べてもらわないと困る。タツヤに言いつけるぞ」
「わっ、マジぃ・・・室ちん怒ると怖いんだよね、お菓子控えろって、今回も荷物に入れてるの目ざとく見つけるし」
「デザートはいいのか?」
「デザートは食事の仲間だよ」
「・・・わかった、とりあえず、飯食え」
「はーい」と、聞き分けの良さそうな返事に、食卓へ着かせる。
グラスにお茶を注ぎ、よそった飯と汁物を並べて、お箸を手渡す。
「火神、料理できるんだ」
「まぁ、それなりに、一人暮らししてるし、体調崩したら面倒見れないからな」
「ふーん、そ。ま、いっただきまーす」
キッチリと、食べきり、「よく食べた」と、腹を撫でる紫原に、「デザートはやめとくか?」
「何言ってるの、別腹!」
別腹を強調するように、一語ずつ区切って言われたので、相当食べたいらしい。
クレープの種を熱してバターの引いたフライパンに垂らす。薄く延ばして、すぐに焼けた皮を皿に乗せた。2皿分焼き、冷蔵庫に入れてる間に、バナナを斜めにスライスし、チョコソースとアイスを取り出した。カップアイスの容器を掌で少し温めて溶かす。
皮の乗った皿を取り出し、バニラアイスとバナナを載せて、チョコソースをトロリとかけた。
布団をかけるように、ぱたんと畳んだだけの、簡単アイスクレープ。
「紫原~」っと、呼ぶと、キッチンに来てくれたので、スプーンと一緒に手渡した。
自分の分も用意し、短時間だが冷凍庫に入れていたからゼリーも固まっていたので、それも一緒に食卓に持って行く。
もうすでに、半分以上減っている紫原の前に、ゼリーを置いてやる。
「おいしぃ~。火神のくせに美味しいよ」っと、言うので、
「一言多いよ」っと、言い自分も冷えたデザートを口に入れた。
end.
紫火で、デザート食べる二人。
7/25分。
- 食事の後 -
紫原が泊まりに来た。本当は、タツヤも一緒に来る予定だったけど、紫原だけ。
タツヤは急に都合がつかなくなって、来れなくなったとの事。夏休み中にキセキのメンバーとプラスしてバスケ好きが集まり、ストバスをする約束で、「室ちん行くって言ってたし、俺も行く」と、発言したらしいが、タツヤが居ない今、何故奴が、俺の家に泊まりに来ているのか、理解に苦しむ。
「明日、朝、ちゃんと起こしてよねぇ」っという発言に、相手は俺のことを、目覚ましと、飯炊きの機会とでも思っているのかもしれない。
あと、集合場所から、俺の家が近いことか・・・?
あまり会話のはずまないなか、とりあえず、出来ることで歓迎してやろうと、「飯は何がイイ?」と、尋ねてみる。
「あー、甘いもの食べたいんだけど、なんか作れる?」
「あ、甘いもの?かぼちゃ甘く煮た奴とかか・・・?」
「違う違う、デザート。ご飯は、それのおまけでイイよ」
「ダメだ、今の時期ちゃんと食事取らないと、夏バテとかするぞ。明日は、また暑いだろうから、ちゃんと食べてもらわないと」
「あー、もう、ご飯はそれなりでイイって、それより、デザートは?」
「あー、なんだろう、ゼリーとか?」
「それも食べたいけど、もうひと押し」
「・・・アイスクレープ」
俺の提案に、パッと顔を上げた紫原は、急にご機嫌に笑い、「イイじゃん、火神のくせに」と、要らん一言まで零した。
別に喧嘩がしたいわけでもないので、文句をぐっと飲み込んで、「じゃぁ、俺今から、夕食作るから、ちょっと、アイス買ってきてくれよ」と、返す。
「いいよぉー、暑いけど、アイスクレープのためぇ」
ご機嫌に語尾を伸ばし、財布と、折りたたんだマイバックを持たせた。保冷のある小ぶりのバックだ。保冷剤も一緒に入れて。
「チョコソースと、バナバは家にあるから、アイス・・・そうだな、二つぐらいカップのやつ」
俺の言葉を聞いているのか、いないのか、「んーっ」と、間延びした返事をして、靴をひっかけて買い物に行ってくれた。
とりあえず、紫原が出て行ったので、普段とは違うが、ぶどうのジュースで簡単にゼリーを作り、透明の器に液を注ぎラップして、冷凍庫に入れた。
次に日常と同じように夕食を作る。簡単に炒め物と、汁物、炊いた飯に、焼き魚は・・・食べるの面倒くさいと買いそうだから、ささみを茹でてサラダの上にたっぷり乗せたものを作った。
とにかく、手早く作ったので、スーパーからそろそろ戻ってきてもいい頃かなっと、チラリと時計を見たタイミングで、インターホンが鳴る。
「はいはい」と返事をすると、「暑いから早く中に入れて」と、言われるまま玄関へ招き入れる。
「おかえり、ありがとな」
「うー、夕方なのに、地獄のような暑さだったよぉ」
「おい、買い物多くないか!?」
小さな保冷バックに、ぎゅうぎゅうに4つもアイスが入っていた。2つは言われた通りカップアイス。もう2つは、もなかアイスと、パピコ。
「うるさいなぁ~、大丈夫だって、カップアイスと、もなかは僕が食べるし、パピコは半分上げてもイイよ」
「全部お前のかよ」
「うそうそ、半分こでイイよ。アイスクレープ、ゼリーも待ってるし」
「・・・・でも、飯食ってからだからな」
「わかってるって」
「キッチリ食べてもらわないと困る。タツヤに言いつけるぞ」
「わっ、マジぃ・・・室ちん怒ると怖いんだよね、お菓子控えろって、今回も荷物に入れてるの目ざとく見つけるし」
「デザートはいいのか?」
「デザートは食事の仲間だよ」
「・・・わかった、とりあえず、飯食え」
「はーい」と、聞き分けの良さそうな返事に、食卓へ着かせる。
グラスにお茶を注ぎ、よそった飯と汁物を並べて、お箸を手渡す。
「火神、料理できるんだ」
「まぁ、それなりに、一人暮らししてるし、体調崩したら面倒見れないからな」
「ふーん、そ。ま、いっただきまーす」
キッチリと、食べきり、「よく食べた」と、腹を撫でる紫原に、「デザートはやめとくか?」
「何言ってるの、別腹!」
別腹を強調するように、一語ずつ区切って言われたので、相当食べたいらしい。
クレープの種を熱してバターの引いたフライパンに垂らす。薄く延ばして、すぐに焼けた皮を皿に乗せた。2皿分焼き、冷蔵庫に入れてる間に、バナナを斜めにスライスし、チョコソースとアイスを取り出した。カップアイスの容器を掌で少し温めて溶かす。
皮の乗った皿を取り出し、バニラアイスとバナナを載せて、チョコソースをトロリとかけた。
布団をかけるように、ぱたんと畳んだだけの、簡単アイスクレープ。
「紫原~」っと、呼ぶと、キッチンに来てくれたので、スプーンと一緒に手渡した。
自分の分も用意し、短時間だが冷凍庫に入れていたからゼリーも固まっていたので、それも一緒に食卓に持って行く。
もうすでに、半分以上減っている紫原の前に、ゼリーを置いてやる。
「おいしぃ~。火神のくせに美味しいよ」っと、言うので、
「一言多いよ」っと、言い自分も冷えたデザートを口に入れた。
end.
高火/主人公
一日一火神くん。
高火で、好きあってる二人。
7/24分。
- 主人公 -
火神の事が好きだなーっと思ったので、告白したら、結構あっさり受け入れてくれて、俺たち付き合ってる。
誰しもが、自分の人生での主人公だけど、俺の相棒の真ちゃんもそうだけど、ソイツが居るだけで、中心人物がぐっと変えられる感覚がある奴が居る。奇跡のメンバーとか、俺の周りにはそんな奴らが沢山いるけど、その中にもちろん、火神も名を連ねてる一人。
俺が勝手に、思ってるだけなんだけど、火神は、本人の中でも全力で主人公をやっていて、ついでに一緒にいると俺の中の主人公にもなってしまうんだ。
すげぇ、感覚的なもんなんだけども。
自分の時間なのか、火神の部分を貰ってるようにも感じる。俺も誰かの主人公になれたりするのかな。逆を言えば、火神にとって、俺は、一人の主人公になりえるのか。
そんな魅力的な奴が俺の恋人。
「火神ってさ、すごく主人公っぽいよな」
「なんだそれ」
さっきまでストバスして、みんなで、マジバで涼んでから帰ろうぜっと、話になり、夕日の沈みそうな、赤い時間を一緒に歩く。前方に緑間、黒子、青峰が歩いてる。
俺たちは、少し遅れて続くように歩いている。鞄の中のボールを愛おしく掌で撫でる。
「や、俺みたいなモブはトップには立てないから」
「お前人気じゃん、この間、出かけたとき待ち合わせの場所で女子に声かけられてた」
「えっ、なに、見てたの?!いやいや、ちゃんと断ったよ」
「や、うん、わかってっけど」
「道聞かれて、分かんないから一緒に行ってって言われただけだって。喋りやすいだけだって。人気とかじゃないって」
皆に見えないように、鞄の端を軽く引っ張り、拗ねたそぶりを見せる。口をとがらせて、信じてよっと、言えば、曖昧な返事が返される。
「俺の言葉信じれないわけぇ」
「違うって、お前、カッコいいし連れてかれちゃったら困るなって」
「えっ、火神が困るの?!」
「困るよ、だって、どうやって好きになってもらえばいいか分かんない」
今度は火神が拗ねたように、俺の鞄の端を軽く引っ張ってきた。
「いやいやいや、お前十分魅力的だって、普通にしてて、めちゃくちゃ好き」
「・・・そういうこと、ド正面から言うなよ、照れるだろ」
照れて顔をそむける火神の前に一歩走り出て、「可愛いー」と、言うと、「やめろ」と、再度逃げようとする火神の手をとらえた。
「主役に存在を知ってもらいたいので、俺の方が一杯いっぱいだよ」
と、真剣な顔で口にすれば、「お前、すっげー魅力的だから、俺の手を離すなよ」と、言われた。
「いえー、絶対に放しませーん、逃がしませーん」と、繋いだ手を上に掲げて、浮かれて少々大きくなった声を聞いて、前を歩いていた三人が「なんだなんだ?」と、こちらを見る。
「大丈夫ー!なんでもなーい!」と、言うと、つまらなそうに、また前を向いてしまった三人。
「ね、今夜、電話してイイ?」
「寝る前に少しだけな」
「OK、OK寝る前でもなんでもイイ。俺だけの火神~」
機嫌よく歌うように火神の名前を呼ぶ。火神だけの僕ですよぉ~と、続けて言うと、ギュッと握った手に力が籠められる。
案外、火神の中でもちゃんと、自分てば、愛されてるみたいだ。
end.
高火で、好きあってる二人。
7/24分。
- 主人公 -
火神の事が好きだなーっと思ったので、告白したら、結構あっさり受け入れてくれて、俺たち付き合ってる。
誰しもが、自分の人生での主人公だけど、俺の相棒の真ちゃんもそうだけど、ソイツが居るだけで、中心人物がぐっと変えられる感覚がある奴が居る。奇跡のメンバーとか、俺の周りにはそんな奴らが沢山いるけど、その中にもちろん、火神も名を連ねてる一人。
俺が勝手に、思ってるだけなんだけど、火神は、本人の中でも全力で主人公をやっていて、ついでに一緒にいると俺の中の主人公にもなってしまうんだ。
すげぇ、感覚的なもんなんだけども。
自分の時間なのか、火神の部分を貰ってるようにも感じる。俺も誰かの主人公になれたりするのかな。逆を言えば、火神にとって、俺は、一人の主人公になりえるのか。
そんな魅力的な奴が俺の恋人。
「火神ってさ、すごく主人公っぽいよな」
「なんだそれ」
さっきまでストバスして、みんなで、マジバで涼んでから帰ろうぜっと、話になり、夕日の沈みそうな、赤い時間を一緒に歩く。前方に緑間、黒子、青峰が歩いてる。
俺たちは、少し遅れて続くように歩いている。鞄の中のボールを愛おしく掌で撫でる。
「や、俺みたいなモブはトップには立てないから」
「お前人気じゃん、この間、出かけたとき待ち合わせの場所で女子に声かけられてた」
「えっ、なに、見てたの?!いやいや、ちゃんと断ったよ」
「や、うん、わかってっけど」
「道聞かれて、分かんないから一緒に行ってって言われただけだって。喋りやすいだけだって。人気とかじゃないって」
皆に見えないように、鞄の端を軽く引っ張り、拗ねたそぶりを見せる。口をとがらせて、信じてよっと、言えば、曖昧な返事が返される。
「俺の言葉信じれないわけぇ」
「違うって、お前、カッコいいし連れてかれちゃったら困るなって」
「えっ、火神が困るの?!」
「困るよ、だって、どうやって好きになってもらえばいいか分かんない」
今度は火神が拗ねたように、俺の鞄の端を軽く引っ張ってきた。
「いやいやいや、お前十分魅力的だって、普通にしてて、めちゃくちゃ好き」
「・・・そういうこと、ド正面から言うなよ、照れるだろ」
照れて顔をそむける火神の前に一歩走り出て、「可愛いー」と、言うと、「やめろ」と、再度逃げようとする火神の手をとらえた。
「主役に存在を知ってもらいたいので、俺の方が一杯いっぱいだよ」
と、真剣な顔で口にすれば、「お前、すっげー魅力的だから、俺の手を離すなよ」と、言われた。
「いえー、絶対に放しませーん、逃がしませーん」と、繋いだ手を上に掲げて、浮かれて少々大きくなった声を聞いて、前を歩いていた三人が「なんだなんだ?」と、こちらを見る。
「大丈夫ー!なんでもなーい!」と、言うと、つまらなそうに、また前を向いてしまった三人。
「ね、今夜、電話してイイ?」
「寝る前に少しだけな」
「OK、OK寝る前でもなんでもイイ。俺だけの火神~」
機嫌よく歌うように火神の名前を呼ぶ。火神だけの僕ですよぉ~と、続けて言うと、ギュッと握った手に力が籠められる。
案外、火神の中でもちゃんと、自分てば、愛されてるみたいだ。
end.
黒火/パラダイス
一日一火神くん。
黒火で、水風呂に入る二人。
7/23分。
- パラダイス -
「火神くん!暑いので、水風呂に入りましょう!!」
部活後、当然のように俺の家に二人で帰り、俺の家に入った途端、勢いよく黒子が言った。玄関で俺は靴を脱いで、後ろに続いて入ってきた黒子がまだ靴も脱がずに俺を見上げる。
驚いて、半分体をひねって後ろを見ると真剣な顔。全身が汗でぐっしょりと濡れている。俺もだけど。
鞄と、買い物してきた夕飯の材料が入ったマイバックを廊下に卸す。帰宅時間を見計らって、タイマー設定しておいたクーラーが動いている音がする。
返事を返さない俺に痺れを切らした黒子が、後ろ手に玄関のカギを締め、肩にかけていたバックを廊下の隅に卸した。押し出されるように、俺も一歩前進し、そのまま風呂場へ押しやられた。
「聞いていました?水風呂です」
「あ?昨日水変えたばかりだから、桶には水はってあるけど・・・」
慣れた動作で、黒子が、棚からバスタオルを出し、動けずにいる俺に「脱がせてほしいんですか?」と、一言。
「えっ、いや、脱がせてほしくないけど」
汗で濡れた衣服を脱がせるのは、張り付いてやりづらいだろうし、それに、ベタベタな状態を触らせたくない。
「そう、ハッキリ言われると、それはそれでムカつきますね・・・」
溜息をワザとらしく吐いた黒子は、自身の制服を脱ぎ始めた。自分も、脱ぎ始め、「じゃぁ、ついでに洗濯するから練習着も・・・」
洗濯機に、シャツを入れた所で、先ほど、二人ともバックを廊下に置いてきたのを思い出し口ごもると、黒子が、パンツ一丁の状態で廊下に出ていき、二つのバックを持ってきてくれた。
「サンキュ、お前も練習着も入れとけよ」と、声をかけると、パンツも投げ入れて、「火神くんも入るんですよ」と、一足先に、入って行った。
俺は、服を脱ぎ、鞄から練習着やタオルなどを取り出し、洗剤を入れ、洗濯機のスイッチを入れた。軽快な音を鳴らし、機械がグルグルと動き出した。
それを見届けてから、あっ、買ってきたの冷蔵庫に入れなくては!っと、生ものだけ取り出して、冷蔵庫に、とりあえず入れた。さっき黒子がパンツ一丁で出て行ったけど、俺は全裸か。黒子が先に風呂入ってて良かった。
風呂場へ戻り、一応ノックをし、「入るぞー」と、声をかけると、既に身体を洗い終わった黒子が浴槽に足を入れていた。
「お前早いよな、風呂。あれだよ、スズメの行水?」
「カラスです」
「黒くて一緒だな」
「僕は黒くありません、名前に黒が付くだけです」
わりぃわりぃと、シャワーを出し、身体を洗う。髪の毛も洗い、手ぐしで垂れる前髪を後ろになでつけた所で、黒子がじっといていたのに気が付いた。
「見てて楽しいのか?」
「楽しいですよ?冷たくて気持ちいいし、快適です」
人の裸見て、楽しいとかあるんだな。君も早く入ってくださいと、身体を端へ寄せつつ、足を開いて、僕にもたれてくださいと、面倒くさそうな指示があったので、ジトッとした視線を送りつつ、言われたように黒子に重なるように、座ってやった。
「こうやってお風呂入ってみるの夢だったんです、ありっ」
がとう、そう続く言葉が途切れた。俺がわざと、背中で押したからだ。ムギュッと背に、黒子のつぶれる感触。軽くだけど。お腹に回された手も軽く抓ると、「もぅいいです」と、声が聞こえたので、ニシシと、笑って、開放してやった。
腰を上げて、完全に片側へより、並ぶように風呂につかる。
足は延ばせないが、冷たい水の感触が確かに心地よい。この冷えた状態で、早くクーラーの冷たい風に当たりたい。
「火神くん、気持ちいいですね」
「あー、飯作ったら、また汗かいちまう」
「そしたら、またお風呂入りましょう」
「お前、食べるだけじゃん」
「お皿洗うの手伝います。出来たら、二度目のお風呂では僕が君も洗います」
「んー、二つ目のは却下」
「何でですか・・・」
身体を滑らせ、黒子と同じぐらいの方の高さにし、頭を倒し、黒子の方に頭をもたれさせると、頭を撫でられる。
「今日はゆったりしたい気分」
「じゃぁ、甘やかしますか、ゆっくり」
「エロは、無しの方向で~~」
「仕方ないです、善処します」
よしよしと、撫でられるのが心地よい。少しだけ目を閉じて、優しい感触を堪能した。
end.
黒火で、水風呂に入る二人。
7/23分。
- パラダイス -
「火神くん!暑いので、水風呂に入りましょう!!」
部活後、当然のように俺の家に二人で帰り、俺の家に入った途端、勢いよく黒子が言った。玄関で俺は靴を脱いで、後ろに続いて入ってきた黒子がまだ靴も脱がずに俺を見上げる。
驚いて、半分体をひねって後ろを見ると真剣な顔。全身が汗でぐっしょりと濡れている。俺もだけど。
鞄と、買い物してきた夕飯の材料が入ったマイバックを廊下に卸す。帰宅時間を見計らって、タイマー設定しておいたクーラーが動いている音がする。
返事を返さない俺に痺れを切らした黒子が、後ろ手に玄関のカギを締め、肩にかけていたバックを廊下の隅に卸した。押し出されるように、俺も一歩前進し、そのまま風呂場へ押しやられた。
「聞いていました?水風呂です」
「あ?昨日水変えたばかりだから、桶には水はってあるけど・・・」
慣れた動作で、黒子が、棚からバスタオルを出し、動けずにいる俺に「脱がせてほしいんですか?」と、一言。
「えっ、いや、脱がせてほしくないけど」
汗で濡れた衣服を脱がせるのは、張り付いてやりづらいだろうし、それに、ベタベタな状態を触らせたくない。
「そう、ハッキリ言われると、それはそれでムカつきますね・・・」
溜息をワザとらしく吐いた黒子は、自身の制服を脱ぎ始めた。自分も、脱ぎ始め、「じゃぁ、ついでに洗濯するから練習着も・・・」
洗濯機に、シャツを入れた所で、先ほど、二人ともバックを廊下に置いてきたのを思い出し口ごもると、黒子が、パンツ一丁の状態で廊下に出ていき、二つのバックを持ってきてくれた。
「サンキュ、お前も練習着も入れとけよ」と、声をかけると、パンツも投げ入れて、「火神くんも入るんですよ」と、一足先に、入って行った。
俺は、服を脱ぎ、鞄から練習着やタオルなどを取り出し、洗剤を入れ、洗濯機のスイッチを入れた。軽快な音を鳴らし、機械がグルグルと動き出した。
それを見届けてから、あっ、買ってきたの冷蔵庫に入れなくては!っと、生ものだけ取り出して、冷蔵庫に、とりあえず入れた。さっき黒子がパンツ一丁で出て行ったけど、俺は全裸か。黒子が先に風呂入ってて良かった。
風呂場へ戻り、一応ノックをし、「入るぞー」と、声をかけると、既に身体を洗い終わった黒子が浴槽に足を入れていた。
「お前早いよな、風呂。あれだよ、スズメの行水?」
「カラスです」
「黒くて一緒だな」
「僕は黒くありません、名前に黒が付くだけです」
わりぃわりぃと、シャワーを出し、身体を洗う。髪の毛も洗い、手ぐしで垂れる前髪を後ろになでつけた所で、黒子がじっといていたのに気が付いた。
「見てて楽しいのか?」
「楽しいですよ?冷たくて気持ちいいし、快適です」
人の裸見て、楽しいとかあるんだな。君も早く入ってくださいと、身体を端へ寄せつつ、足を開いて、僕にもたれてくださいと、面倒くさそうな指示があったので、ジトッとした視線を送りつつ、言われたように黒子に重なるように、座ってやった。
「こうやってお風呂入ってみるの夢だったんです、ありっ」
がとう、そう続く言葉が途切れた。俺がわざと、背中で押したからだ。ムギュッと背に、黒子のつぶれる感触。軽くだけど。お腹に回された手も軽く抓ると、「もぅいいです」と、声が聞こえたので、ニシシと、笑って、開放してやった。
腰を上げて、完全に片側へより、並ぶように風呂につかる。
足は延ばせないが、冷たい水の感触が確かに心地よい。この冷えた状態で、早くクーラーの冷たい風に当たりたい。
「火神くん、気持ちいいですね」
「あー、飯作ったら、また汗かいちまう」
「そしたら、またお風呂入りましょう」
「お前、食べるだけじゃん」
「お皿洗うの手伝います。出来たら、二度目のお風呂では僕が君も洗います」
「んー、二つ目のは却下」
「何でですか・・・」
身体を滑らせ、黒子と同じぐらいの方の高さにし、頭を倒し、黒子の方に頭をもたれさせると、頭を撫でられる。
「今日はゆったりしたい気分」
「じゃぁ、甘やかしますか、ゆっくり」
「エロは、無しの方向で~~」
「仕方ないです、善処します」
よしよしと、撫でられるのが心地よい。少しだけ目を閉じて、優しい感触を堪能した。
end.
赤火/不思議な夜
一日一火神くん。
赤火で、一緒に夜空を見る二人。
7/22分。
- 不思議な夜 -
「とても素敵なプラネタリウムが有るんだ」
そう言われて、食えもしないし、風景とかも今日見ない俺としては、どうすれば良いんだろう、ぐらいに思った。
赤司はいつも突拍子もない。
彼の顔を見ると、どこか危うげで、怪しげで、ドキドキするなぁっと、思っていた。
それを桃井に話した。ストバスで青峰、黄瀬、緑間、高尾、黒子と集まった時に「こんな暑い時に外でバスケするなんて、自殺行為よ。せめて私がキッチリ、水分補給とか管理してあげるわ!」っと、青峰と一緒に現れた彼女と、交代で休憩よ!っと、時間を計り、俺の順番が回ってきたときに、何となく。
もしかしたら、暑さでどうかしていたのかもしれない。
冷たいスポーツドリンクを喉に流し込んで、日陰となるベンチに腰を下ろし、ホッと息が零れるのと同時に、「あのさ」と、話しかけていた。
目の前では、緑間と青峰がボールを取り合いしていて、黄瀬と高尾が足りなくなったドリンクを買出しに行き、黒子は、早々に暑さにやられ、もう一つとなりのベンチで、ダラッとしている。相変わらず体力がない。
なぜ彼女に話したのかわからない。別段親しくもなく、俺はどちらかというと、少し苦手なにかもしれないなぁっと、考えていた相手に、何とも言いきれない赤司への思いを漏らしていた。
そして、自分では形容しがたいと思っていたこの気持ちを、彼女は、目をキラキラさせて「恋よ!!」と、言い切った。
「こ、恋・・・・」
「かがみん、ちゃんと自覚するのよ。私がテツくんを好きなように。あなたも、彼の事が好きって事よ」
「え?」と、驚いて、そのままその日一日、どう過ごしたのか忘れてしまった。
気づいたら、家にいた。バスケだけはキッチリやりきってみんなと別れて気もするし、あまりにもぼんやりとしているものだから使い物にならなくて帰るように言われたような気もする。
気づいたら、シャワーを浴び終え、ソファにボンヤリと座っていた。
時計を見ても、いつからココにいたのかわからない。どうしていたっけ?
「俺が恋してるかぁ」と、自然と独り言が落ちた。
言葉が見えるわけもないのに、落ちた言葉を探すように、視線を足元へ向けたタイミングでピンポーンと、チャイムが鳴った。荷物でも頼んでいたっけ?
それとも、親父から何か送られてきたのかもしれないなっと、チャイムボタンを押すと、扉前に立つ人物の映像が映し出された。
「あっ、赤司!?」
「やぁ、大我。ココを開けてくれるか?」
ニッコリとした表情が涼しげな声で俺に呼びかける。おうだとか、わかったとか何と返事をしたか、また気づいたときには、赤司が目の前に立っていた。
スッとした顔立ちが俺を見上げてくる。この気持ちが恋なのかもしれないと、まだ疑惑ではあるが、”恋”と名前を付けられてしまったせいか、意識してしまう。
そして、赤司が言った。
「とても素敵なプラネタリウムが有るんだ」
また「え?」と、驚いている間に、部屋着から、外へ出る服へ着替え、赤司の用意した車に乗っていた。とても高級な車。何より、一緒に乗る相手が、対面している。
ドキドキしていると、「大我、昼間僕の話をした?」と、声をかけてきて。こいつは、何処まで知っているんだろうか?まだ本当に恋とも判別していないこの気持ちさえ、赤司には、ちゃんとなんていう気持ちなのかわかってしまっているんじゃないかと思わせた。
「え?」と、聞き返すふりをして、時間を稼ごうとしたけど、あっさり相手はネタばらしをした。
「桃井に聞いたんだ」
「え?」今度は、聞き返すわけでもなく、理解できなくて自然と声が漏れていた。
「もしかして、聞いた?」と、小さな声で続けて尋ねると、「何がだ?」と、にっこりと笑いかけられた。ドキリと胸が跳ねた気がする。
「今から、夕食を食べ、プラネタリウムを見に行こう」
「えっ、どうして俺と」
「君と見たいと思ったから」
それが、さも当然という風に、赤司は、返事をした。本当に突拍子もないし、急にあらわれる。
連れて行かれた料亭では、自分の服装で入っていいのかもわからないし、少量を沢山綺麗な器に盛られて、少しずつ出てきた。「足りないだろう?もっと頼んでもらって構わない」と、手渡されたメニュー表には値段が記載されていなかった。
もうずっと、驚いてばかりで、料理は本当においしいはずなのに、味を楽しむ余裕がなかった。
「ココの料理美味しいかい?口にあったかな?」
問いかけられても、「美味しい」としか返事が返せなかったし、緊張からか普段より食べれなかった。
再度、車に乗せられ、件のプラネタリウムへ連れてかれた。
夏の間だけオープンするプラネタリウムで、クラスの女の子が「あそこ行ってみたいんだよねぇ」とか、「今度行くんだ」等、話しているのを耳にしたことがあった。
良かった、想像もつかないような所に連れて行かれなくて。
「赤司、悪い、俺、あんま持ってねぇから、飯代は今度返すから、あとでこっそり教えてくれ。プラネタリウム代は大丈夫だ」
と、耳打ちすると。
「バカだね大我。これは、僕が君に来てほしくて連れ出したデートだから、当然僕のおごりだ、気にするな」
「・・・・デッ・・・・!!!??」
デート??!!?き、聞き間違いだろうか。もしかしたら、昼間の熱さにやられて、倒れて、現在夢を見ているとか?!
自分が信じれなく、頬をつねる。痛い・・・。
「何をやっているんだ?僕にもやらせてくれ」と、反対側の頬を引っ張られた。
「やわらかいな」と感想を残し、赤司がプラネタリウムの入口へ歩いていく。「早く来るんだ」と、声をかけられて、頬を抑えながら後についていく。
「席はココだよ」
促されるまま、席に座る。隣に赤司も腰を下ろた。一つ一つの椅子は、それぞれに肘掛がついていて、ゆったりとした広さと、ふかふかのすわり心地。身体を預けると、ぐーっと、後ろに凭れ掛かって、上を見やすい。
「す、すげぇ、フカフカだな」
顔を赤司の方へ向けると、俺の方を見ていたようで、驚いて、語尾が浮ついてしまった。
ふふふっと、柔らかく笑い、「フカフカだな」と、返され、恥ずかしさを誤魔化すように「でも俺、こんな横になって上見てたら、寝ちまいそうだぜ」と、言うと、
「起こしてやるから大丈夫だ」と、肘掛に乗せていた手の上に赤司の手が乗ってきて、また驚いてしまう。ドキドキと心臓がうるさい。
「赤司・・・??」
「言っただろ、これはデートだ。僕は君をエスコートしてるんだ。満足させたい」
「お、おう・・・」
「後で言おうと思っていたが、折角だし、僕が今日誘ったのは、告白するためだ」
「え?」
「今日は驚いてばかりだな、大我。でも、そんな君も愛おしいよ。もちろん僕とお付き合いしてくれるだろ?」
その問いかけには、答えることが出来なかった。
館内放送が入り、もう少しで始まることと、足元が暗くなることの注意と、おしゃべりは禁止です、最後に、「存分に夜空をお楽しみください」と締めくくられ、返事を返そうと開けた口を赤司は人差し指を押し当て、「しー」と言った。
しーと、言うなら、俺の口ではなく、自分の口にあてがう指が、唇に触れる。暗くなった部屋に夜空の星たちの淡い光が、赤司の顔を照らす。
結局、俺は、眠ることは出来なかった。握られたままの手の感触と、混乱とドキドキで、落ち着くことが出来なかった。
プログラムが終了し、他のお客さんも席を立つ中、ゆっくりと、上体を起こすと、赤司がニッコリと上品な笑顔を浮かべ、「僕たち付き合おう」と、決まったことみたいに言って、覗き込むようにキスをした。
驚いて声を上げそうになった俺に、「大我、しー、だよ」っと、今度は、自分の唇に人差し指を当てて注意をした。
さっき触れ合った唇を意識するようで、赤司の唇を見て、顔が熱て仕方がなかった。
end.
赤火で、一緒に夜空を見る二人。
7/22分。
- 不思議な夜 -
「とても素敵なプラネタリウムが有るんだ」
そう言われて、食えもしないし、風景とかも今日見ない俺としては、どうすれば良いんだろう、ぐらいに思った。
赤司はいつも突拍子もない。
彼の顔を見ると、どこか危うげで、怪しげで、ドキドキするなぁっと、思っていた。
それを桃井に話した。ストバスで青峰、黄瀬、緑間、高尾、黒子と集まった時に「こんな暑い時に外でバスケするなんて、自殺行為よ。せめて私がキッチリ、水分補給とか管理してあげるわ!」っと、青峰と一緒に現れた彼女と、交代で休憩よ!っと、時間を計り、俺の順番が回ってきたときに、何となく。
もしかしたら、暑さでどうかしていたのかもしれない。
冷たいスポーツドリンクを喉に流し込んで、日陰となるベンチに腰を下ろし、ホッと息が零れるのと同時に、「あのさ」と、話しかけていた。
目の前では、緑間と青峰がボールを取り合いしていて、黄瀬と高尾が足りなくなったドリンクを買出しに行き、黒子は、早々に暑さにやられ、もう一つとなりのベンチで、ダラッとしている。相変わらず体力がない。
なぜ彼女に話したのかわからない。別段親しくもなく、俺はどちらかというと、少し苦手なにかもしれないなぁっと、考えていた相手に、何とも言いきれない赤司への思いを漏らしていた。
そして、自分では形容しがたいと思っていたこの気持ちを、彼女は、目をキラキラさせて「恋よ!!」と、言い切った。
「こ、恋・・・・」
「かがみん、ちゃんと自覚するのよ。私がテツくんを好きなように。あなたも、彼の事が好きって事よ」
「え?」と、驚いて、そのままその日一日、どう過ごしたのか忘れてしまった。
気づいたら、家にいた。バスケだけはキッチリやりきってみんなと別れて気もするし、あまりにもぼんやりとしているものだから使い物にならなくて帰るように言われたような気もする。
気づいたら、シャワーを浴び終え、ソファにボンヤリと座っていた。
時計を見ても、いつからココにいたのかわからない。どうしていたっけ?
「俺が恋してるかぁ」と、自然と独り言が落ちた。
言葉が見えるわけもないのに、落ちた言葉を探すように、視線を足元へ向けたタイミングでピンポーンと、チャイムが鳴った。荷物でも頼んでいたっけ?
それとも、親父から何か送られてきたのかもしれないなっと、チャイムボタンを押すと、扉前に立つ人物の映像が映し出された。
「あっ、赤司!?」
「やぁ、大我。ココを開けてくれるか?」
ニッコリとした表情が涼しげな声で俺に呼びかける。おうだとか、わかったとか何と返事をしたか、また気づいたときには、赤司が目の前に立っていた。
スッとした顔立ちが俺を見上げてくる。この気持ちが恋なのかもしれないと、まだ疑惑ではあるが、”恋”と名前を付けられてしまったせいか、意識してしまう。
そして、赤司が言った。
「とても素敵なプラネタリウムが有るんだ」
また「え?」と、驚いている間に、部屋着から、外へ出る服へ着替え、赤司の用意した車に乗っていた。とても高級な車。何より、一緒に乗る相手が、対面している。
ドキドキしていると、「大我、昼間僕の話をした?」と、声をかけてきて。こいつは、何処まで知っているんだろうか?まだ本当に恋とも判別していないこの気持ちさえ、赤司には、ちゃんとなんていう気持ちなのかわかってしまっているんじゃないかと思わせた。
「え?」と、聞き返すふりをして、時間を稼ごうとしたけど、あっさり相手はネタばらしをした。
「桃井に聞いたんだ」
「え?」今度は、聞き返すわけでもなく、理解できなくて自然と声が漏れていた。
「もしかして、聞いた?」と、小さな声で続けて尋ねると、「何がだ?」と、にっこりと笑いかけられた。ドキリと胸が跳ねた気がする。
「今から、夕食を食べ、プラネタリウムを見に行こう」
「えっ、どうして俺と」
「君と見たいと思ったから」
それが、さも当然という風に、赤司は、返事をした。本当に突拍子もないし、急にあらわれる。
連れて行かれた料亭では、自分の服装で入っていいのかもわからないし、少量を沢山綺麗な器に盛られて、少しずつ出てきた。「足りないだろう?もっと頼んでもらって構わない」と、手渡されたメニュー表には値段が記載されていなかった。
もうずっと、驚いてばかりで、料理は本当においしいはずなのに、味を楽しむ余裕がなかった。
「ココの料理美味しいかい?口にあったかな?」
問いかけられても、「美味しい」としか返事が返せなかったし、緊張からか普段より食べれなかった。
再度、車に乗せられ、件のプラネタリウムへ連れてかれた。
夏の間だけオープンするプラネタリウムで、クラスの女の子が「あそこ行ってみたいんだよねぇ」とか、「今度行くんだ」等、話しているのを耳にしたことがあった。
良かった、想像もつかないような所に連れて行かれなくて。
「赤司、悪い、俺、あんま持ってねぇから、飯代は今度返すから、あとでこっそり教えてくれ。プラネタリウム代は大丈夫だ」
と、耳打ちすると。
「バカだね大我。これは、僕が君に来てほしくて連れ出したデートだから、当然僕のおごりだ、気にするな」
「・・・・デッ・・・・!!!??」
デート??!!?き、聞き間違いだろうか。もしかしたら、昼間の熱さにやられて、倒れて、現在夢を見ているとか?!
自分が信じれなく、頬をつねる。痛い・・・。
「何をやっているんだ?僕にもやらせてくれ」と、反対側の頬を引っ張られた。
「やわらかいな」と感想を残し、赤司がプラネタリウムの入口へ歩いていく。「早く来るんだ」と、声をかけられて、頬を抑えながら後についていく。
「席はココだよ」
促されるまま、席に座る。隣に赤司も腰を下ろた。一つ一つの椅子は、それぞれに肘掛がついていて、ゆったりとした広さと、ふかふかのすわり心地。身体を預けると、ぐーっと、後ろに凭れ掛かって、上を見やすい。
「す、すげぇ、フカフカだな」
顔を赤司の方へ向けると、俺の方を見ていたようで、驚いて、語尾が浮ついてしまった。
ふふふっと、柔らかく笑い、「フカフカだな」と、返され、恥ずかしさを誤魔化すように「でも俺、こんな横になって上見てたら、寝ちまいそうだぜ」と、言うと、
「起こしてやるから大丈夫だ」と、肘掛に乗せていた手の上に赤司の手が乗ってきて、また驚いてしまう。ドキドキと心臓がうるさい。
「赤司・・・??」
「言っただろ、これはデートだ。僕は君をエスコートしてるんだ。満足させたい」
「お、おう・・・」
「後で言おうと思っていたが、折角だし、僕が今日誘ったのは、告白するためだ」
「え?」
「今日は驚いてばかりだな、大我。でも、そんな君も愛おしいよ。もちろん僕とお付き合いしてくれるだろ?」
その問いかけには、答えることが出来なかった。
館内放送が入り、もう少しで始まることと、足元が暗くなることの注意と、おしゃべりは禁止です、最後に、「存分に夜空をお楽しみください」と締めくくられ、返事を返そうと開けた口を赤司は人差し指を押し当て、「しー」と言った。
しーと、言うなら、俺の口ではなく、自分の口にあてがう指が、唇に触れる。暗くなった部屋に夜空の星たちの淡い光が、赤司の顔を照らす。
結局、俺は、眠ることは出来なかった。握られたままの手の感触と、混乱とドキドキで、落ち着くことが出来なかった。
プログラムが終了し、他のお客さんも席を立つ中、ゆっくりと、上体を起こすと、赤司がニッコリと上品な笑顔を浮かべ、「僕たち付き合おう」と、決まったことみたいに言って、覗き込むようにキスをした。
驚いて声を上げそうになった俺に、「大我、しー、だよ」っと、今度は、自分の唇に人差し指を当てて注意をした。
さっき触れ合った唇を意識するようで、赤司の唇を見て、顔が熱て仕方がなかった。
end.
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